世界一の贅沢国ナウルに学ぶ「幸せの条件」とは
こんにちは。みさきです。
「働かなくても、不労所得で悠々自適な生活、これぞ人生の理想」とあこがれる人も多いと思います。
しかし果たしてこれが本当に「人生の理想」なのでしょうか。
考えさせられる事例があるので今回紹介いたします。
ナウル共和国の繁栄
ナウル共和国。
南太平洋に浮かぶ品川区ほどの面積しかない小島の国です。
かつては農業と漁業の貧しい国でしたが、この島全体が大変貴重な資源であるリン鉱石でできていることがわかってから、国民の生活は一変しました。
1980年代には国民1人当たりのGNPは2万ドル。
これは当時の日本(9,900ドル)の約2倍、アメリカの約1.5倍です。
医療費も学費も水道・光熱費は全部タダ。
税金も払わなくていい。
それどころか、生活費まで支給され、新婚家庭には国から一軒家がもらえたのです。
外国人労働者を国が雇い、一切の労働は出稼ぎ外国人任せにし、国民はまったく働かなくてもよくなり、そんな生活が30年も続いたのです。
まさに楽園、と思いますが、この生活は国民を幸せにはさせませんでした。
ナウル共和国の悲劇
毎日が外食で、ゴロゴロ寝てばかりいたので、ナウルの全国民の90%が肥満、30%が糖尿病になり、メタボ・生活習慣病で苦しむようになりました。
昔のナウルで親から子へと伝えられてきた勤勉や努力の大切さも教える昔話は馬鹿にされ、軽んじられるようになり、教育もすたれていきました。
競争意欲もなくなり、政府も国民も自堕落になっていきます。
1990年代に入ると、悲劇は本格化します。
ナウルのリン鉱石が底をつき始めたのです。
やがて枯渇することはすでに20年も前から予測されていたのに、ナウルの人たちは何の対策も努力もしてきませんでした。
せめて「これからは働こう」とすればよかったのですが、すでにリン鉱石の過剰な採掘により地表の90%で石灰石が剥き出しになっており、農業や産業を営むこともできない状況であり、その苦境を跳ね返す意欲や勤勉はナウルの人たちにはもはやなくなってしまったものでした。
現在は失業率が非常に高く、経済は破綻し、劣悪な環境から子どもや女性に対する虐待が横行し、世界中から非難される国家となってしまっています。
悠々自適な生活の落とし穴
こうしたナウルの事例から、「働かなくても悠々自適な生活」が必ずしも人に幸せをもたらさないことがわかります。
時間もお金も有り余る生活でナウルが失ったものは「競争意欲」「勤勉」「努力」「向上心」「情熱」「充実感」「成功体験」といったものでした。
「時間と金を奪えば人はダメになるのではない。逆だ。人をダメにしようと思えば、その人に時間とお金をふんだんに与えることだ」という先人の言葉を思い出します。
時間が有り余っていて、ヒマでヒマでしょうがない、しかも湯水のごとく使えるお金がある、としたら、自分だったらどうなってしまうだろう、と考えてみるとわかります。
どこどこまでも脱線して、ろくでもないことをし始めてしまうのではないか、と危うく思います。
時間もない、使える金も限られている、そんな中、寸暇を惜しんで努める仕事だからこそ、アイデアも湧くし、気力も充実するものなのでしょう。
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みさき
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