ドラマ「3年A組」最終回に込められたSNSによる言葉の暴力を考える
こころ寄り添う研究家の九条えみです。
2019年冬ドラマで視聴率1位になった「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」が反響を呼んでいます。
ストーリーは、卒業まで残り10日となった生徒29人を人質に、教師・柊一楓が立てこもる所から始まります。
柊一楓は「最後の授業を始める」と言い、学園のスターでありながら自ら命を絶った景山澪奈の「死の真相」を突き詰めていきます。
(※以下、ネタバレあります)
影山澪奈は、全国の水泳大会で優勝する実力の持ち主で、容姿も良く、学園のスターでした。
しかし、ドーピングの疑惑動画がネット上に投稿されたことにより、ネット上で心ない誹謗中傷を浴びせられ、影山澪奈の心を壊してしまったのです。
ネット上で発信された無責任な言葉の暴力が、影山澪奈を自殺に追いやった真相であることを世間に発信するために、立てこもり事件を起こして社会の注目を集めたのでした。
3年A組最終回のセリフで訴えたかったこと
3年A組最終回では、教師・柊一楓を演じる菅田将暉さんの涙ながらの訴えが印象的でした。
言葉は時として凶器になる。
ナイフなんて比にならないくらい、重く、鋭く、心をえぐってくる。
右へ倣って吐いた何気ない一言が、相手を深く傷つけるかもしれない。
独りよがりに偏った正義感が、束になることでいとも簡単に人の命を奪えるかもしれないってことを、そこにいる君に、これを見ているあなたに、ひとりひとりの胸に刻んで欲しいんだよ。
他人に同調するより、他人を貶すより、まずは自分を律して、磨いて作っていくことが大切なんじゃないのか?
その目も、口も、手も、誰かを傷つけるためにあるわけじゃない!
誰かと喜びを分かち合うために、誰かと幸せを噛みしめるためにあるんじゃないのか?
もっと他人に優しくなろうぜ!
もっと自分を大事にしようぜ!
俺の言葉が、どれだけ届いているのか・・・
きっと殆どの人間には痛くも痒くもないだろう。
でも誰か一人でいい。君一人でいい。
感情に任せた言葉が、景山澪奈のような犠牲者を作るかもしれない。
そう思って踏みとどまってくれたら、今俺がここに立ってる意味がある。
そして、いつかきっと、その一人が10人になって、100人になって、1000人になっていく。
俺は、そう信じてる!
だからどうか!だからどうか!あなたに届いて欲しい!
聞いてくれてありがとう。
Let’s think.
(「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」最終回より)
言葉で殺す「語殺」
最終回を通して、心のままに言葉の暴力をSNS上に発信する恐ろしさを感じました。
仏教では、「語殺(ごさつ)」という言葉があります。
自分の怒り、憎しみを、心にまかせて口に出せば、時として命を奪ってしまうことがあるのです。
ネットで発する言葉の暴力は、発した本人にとっては、ただのストレス解消やうっぷん晴らしかもしれません。
叩く当事者の背景や面識もないまま、情報に踊らされて右へ倣(なら)えの無責任な発言が、不用意に誰かを傷つけることを自覚していくことが、今後ますます大切になっていくのでしょう。
一方で、言葉を「良い方向」に使えば、相手も自分も幸せになれます。
九条えみ
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