部下・後輩の指導方法で悩む方へ|6つの基礎能力を知ってますか?

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こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。

あなたは部下や後輩の指導方法がわからずに悩むことはないでしょうか。

「やるように言ったことをやってくれない」
「やってもこちらの思った通りにできない」
「自分がやった方が早いから結局自分がやってしまう」

こんなことはないでしょうか。
どうすればいいのかと悩む内にだんだん腹が立ってくるかもしれません。

私が以前いた会社では100%新入社員を潰すという恐ろしい先輩がいました。
1分に1回は何かしら怒鳴る。
5秒立ち止まってると「何止まっとんだ!」と怒鳴る。
初めてのことでもできなければ「何やっとんだ!」と怒鳴る。
という実に恐ろしい先輩でした。
「あの人、自分の特徴を活かしてヤクザになればいいのに。そっちのほうが合ってると思う」
とみんなで噂していたぐらいです。

私と違う部署だったため直接の影響はありませんでしたが、時々その先輩のところに行くとほぼ毎回怒鳴られました。
下に付いた新入社員は必ず辞めてしまい、辞めてしまった人の代わりにその先輩の下に回された別の社員さん(その先輩から見たら後輩)も次々と辞めていきました。

さすがにあなたはここまでメチャクチャな指導はしていないと思いますが、「なかなか部下(後輩)が仕事を覚えてくれない」「仕事ができなかったことに対してつまらない言い訳をした」などでイライラしてつい荒っぽい対応をしたことはあると思います。

では部下や後輩があなたの懸命な指導の甲斐なく仕事ができないのは、部下や後輩があなたの若いころとは違って、やる気がなく、非常識で、頭が悪く、鈍くさくて、緊張感がなく、不真面目で、根性なしのいい加減な人間だからなのでしょうか

神戸大学大学院経営学研究科の松尾睦(まつおまこと)教授は著書「職場が生きる人が育つ「経験学習」入門」の中で「育て上手な指導者は『目標のストレッチ』『進捗確認と相談』『内省の促進』『ポジティブ・フィードバック』の4つの指導方法をとっている」と言っています。

そして4つの指導方法は、「ストレッチ」「リフレクション」「エンジョイメント」の3要素に対応すると主張しています。(これらについては後で説明します)

この松尾教授の主張を元に部下・後輩の指導に必要な能力について研究した論文「OJT を指導するために必要なコミュニケーション能力・知識・経験が指導方法に与える影響」の中で、指導能力に必要なものは

  1. 他者対応力
  2. 自己対応力
  3. 解読力
  4. 表現力
  5. 経験
  6. 知識

だと言われています。
今回はこの6つの能力について解説します。

指導に必要な6つの基礎能力とは

上に挙げた6つの基礎能力を具体的に言いますと、

1,他者対応力

他者対応力とは

  • 意見の対立による不和に適切に対処する
  • 感情的な対立による不和に適切に対処する

など、他人の言動に対してうまく対処する能力のことです。

2,自己対応力

自己対応力とは

  • 自分の感情をうまくコントロールする
  • 自分の衝動や欲求を抑える

など、自分の言動をコントロールする能力のことです。

3,解読力

解読力とは

  • 相手の気持ちを表情やしぐさから正しく読み取る
  • 相手の感情や心理状態を敏感に感じ取る

など、相手の気持ちを正しく読み取る能力のことです。

4,表現力

表現力とは

  • 自分の気持ちを表情やしぐさでうまく表現する
  • 自分の感情や心理状態を正しく察してもらう

など、自分の気持ちや感情をうまく表現する能力のことです。

5,経験

経験とは

  • 自分の覚えた方法を示す
  • 指導に自分の経験を活かす
  • 自分の経験談を伝える

など、仕事に対する深い経験のことです。

6,知識

知識とは

  • 専門領域を深く理解している
  • 作業手順が決まってる、また決まっていない知識を相手に教える
  • 自分に知識不足は事前に調べて準備する

など、仕事に関する深い知識のことです。

6つの基礎能力と指導方法との関係

これら6つの基礎能力が部下・後輩の指導とどう関係しているのでしょうか。

冒頭にも話しましたが、松尾教授は「上手な指導者は『目標のストレッチ』『進捗確認と相談』『内省の促進』『ポジティブ・フィードバック』の4つの指導方法をとっており、これらの4つの指導方法は『ストレッチ』『リフレクション』『エンジョイメント』の3要素に対応する」
そして
ストレッチ→リフレクション→エンジョイメント→ストレッチ→…というサイクルで人は成長していく
と言っています。

ストレッチとは、高い目標に向かって新しいことに挑戦することです。
リフレクションとは、経験を振り返り、内省することです。
エンジョイメントとは、仕事のやりがいを見つけて楽しもうとすることです。

つまり、目標に向かって新しいことに挑戦し、経験を振り返り、それを楽しんでまた新たなことに挑戦する、ことで人は成長していくのです。

今回の研究で、6つの基礎能力と部下・後輩の指導方法との関係を調べた結果、6つの基礎能力は「ストレッチ」と「リフレクション」を促すことがわかりました。

相手の意見や感情の対立に適切に対処し、相手の気持ちを読み取ること(他者対応力)と、指導者が自分の感情をコントロール(自己対応力)することで「他者受容」が高まります。

また、専門知識や手順を深く理解し(知識)、自分の気持ちを上手く表現して(表現力)、相手の気持ちを正しく読み取って、意見の対立に適切に対処する(他者対応力)ことで「自己主張」が高まります。

部下・後輩を受け入れる「他者受容」と自分の気持ちを伝える「自己主張」を土台として、自分の体験を活かした指導を行う(経験)ことで、部下・後輩の言い分を理解しつつ、正しいやり方を教えることができます。

このように、相手の意見や立場を尊重しながら(他者受容)、自分の考えを論理的に主張する(自己主張)ことで部下・後輩の「ストレッチ(挑戦思考)」が高くなり、指導者が成長への期待を込めて、懸命に手を伸ばせば届く目標に挑戦させることで「リフレクション(振り返り)」が促進されます。

また専門領域を深く理解していれば(知識)、「リフレクション(振り返り)」を促すことができます。

因果の道理

仏教には因果の道理という教えが説かれています。

因果とは原因と結果のことで、道理とはいつでもどこでも成り立つ普遍の真理のことです。

そして
「善因善果 悪因悪果 自因自果」
だと教えられます。
「善い原因は善い結果をもたらす。悪い原因は悪い結果を引き起こす。自分の行いが自分の結果を生み出す」
ということで、カンタンに言うと
「蒔かぬタネは生えないが、蒔いたタネは必ず生える」
となりです。

確かにあなたの部下・後輩はとてつもなくやる気がなく、幼稚園児並の非常識さで、鶏のように頭が悪く、牛のように鈍くさくて、ナマケモノのように緊張感がなく、笑えるほど不真面目で、根性がドロドロに腐っていて、約束を守らないことについては右に出る者の無い、いい加減な人間なのかもしれません。

ですが、自分がその部下や後輩の立場だったら自分の言い方、態度をどう思うかを考えたことはあるでしょうか。
「おい、そこの役立たず」と言わんばかりの態度では相手のやる気も出ないでしょう。

「自分の6つの基礎能力は十分だろうか」と自問自答すると、足りていないところが見えてくるかもしれません。
自分を変えるのは難しいですが、部下・後輩の性格を変えるよりは楽なはずです。

「自分に起こる悪い結果は自分の悪い行いが生み出している。自分の行いを正せば善い結果が返ってくる」と信じて、相手の意見を聞くところから始めてはどうでしょうか。

まとめ

部下・後輩の指導に必要な基礎能力は

  1. 他者対応力
  2. 自己対応力
  3. 解読力
  4. 表現力
  5. 経験
  6. 知識

の6つです。

これらの基礎能力を土台にして「他者受容」と「自己主張」が生まれます。
そして相手の意見や立場を尊重しながら、自分の考えを論理的に主張することで、部下・後輩の目標に対する挑戦意欲がわき、自分の行動を振り返り、仕事を楽しんでまた新たなことに挑戦するようになっていきます。

「蒔かぬタネは生えないが、蒔いたタネは必ず生える」と教えられたお釈迦さまの言葉を信じて、自分の行動を変えることで、あなたを悩ませる部下・後輩の行動も変わっていくと思います。

これらの6つの基礎能力はチームワークを育む5つの要素にも関係しています。
組織のチームワークで悩んでいませんか?チームワーク能力5つの要素

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こんぎつね

チューリップ企画デジタルコンテンツ事業部にてサポートとインターネット業務にも携わっているこんぎつねです。(こんぎつねの記事一覧へ)チューリップ企画に来る前は愛知県で主に60代以上向けのイベントを運営していました。人について学ぶのが好きで、大学では生物学を専攻しました。よく読む本のジャンルは心理学、脳科学など人の心や体の行動に関するものが多いです。ブログもそれらの本を参考に、この悩みは 仏教ではこう解決するという内容を専門語を使わずになるべくわかりやすい言葉で発信することに心がけています。もっともっと多くの方の悩み疑問にお答えしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
心が穏やかになった人へ
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