ストレスは体に良い!?|ストレスは悪影響という考えが悪影響の元
こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
あなたは毎日ストレスを受けて疲れていませんか。
ストレスのせいで胃が痛みませんか。
ストレスでうつな気分になっていませんか。
安心してください。気のせいです。
いえ実際に、人間関係に疲れていたり、明日を思うと胃が痛かったり、うつ病のような気分であることには間違いないでしょう。
しかしそれはストレスのせいではありません。
「ストレスは体に悪い。自分はストレスを受けている。だから体に異常が出る(出ている)に違いない」という心が実際に体に表れてしまうのです。
以前「ポジティブ思考になる方法は?|ポジティブ思考のカギは「与える」こと」の記事で紹介したこちらのハーバード・ビジネス・レビューの投稿ですが、前の記事では全文を翻訳したわけではなく割愛した部分があります。
それはストレスに関する部分です。
そのときのテーマとは内容が違ったため、省いたのですが、大事なことが書かれていたので別記事として今回取り上げます。
目次
ストレスとの関係を変えればポジティブ思考になれる
ストレスは仕事中の幸福に関係する大きな要素です。
多くの企業が「ストレスは健康に悪影響だ」と言って、ストレスを緩和するトレーニングを提供しています。
しかし問題は、人はストレスを受けていることについてストレスを感じていることです。
ストレスには逆の効果があることを覚えておくことが重要です。
ストレスは成長の障害にはなりません。
ストレスはストレスの燃料になるのです。
ストレスに対しての考え方を変えれば、ストレスから受ける影響を劇的に変えることができます。
ショーン・エイカー氏は実験で、参加者を2つに分け、片方に「ストレスは効率を下げる」という内容の映像を見せ、もう片方には「ストレスは人間の脳と体を強化する」という内容の映像を見せました。
6週間後に参加者を調べたところ、「強化」ビデオを視聴した人はストレスが効率を低下させるのではなく、向上させると考えるようになりました。
そして、健康上の問題が著しく減り、仕事中の幸福度が大きく増えていました。
ストレスは仕事をしている限り避けられません。
今度あなたがいっぱいいっぱいになっていると感じたら、ショーン・エイカー氏が勧める以下の方法を試してみてください。
- ストレスを受けている項目をリストに挙げる
- それらを2つのグループに分ける。2つとは「自分でコントロールできるもの(仕事や散らかった引き出しのようなもの)」と「自分ではコントロールできないもの(株式市場、住宅価格など)」
- コントロールできるストレスの中から1つを選択し、それを減らすためにできる小さくて具体的なステップを考える
こうすれば、あなたの脳をポジティブ思考に戻すことができます。
ストレスは人を幸せにする
ショーン・エイカー氏以外にもストレス自体は体に悪影響を及ぼさないと言っている人がいます。
「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」の著者であるスタンフォード大学教授のケリー・マクゴニガル博士は「ストレスは人を成長させ、健康で幸せにする」と言っています。
どうしてそのようなことを提唱したのでしょうか。
ストレスの研究
1998年にアメリカで、3万人を対象としたストレスに関する調査が行われました。
・1年間でどれくらいのストレスを感じたか?
・ストレスは健康に悪いと思うか?
の2つの質問を行い、8年後の追跡調査を行いました。
その結果、強度のストレスがある場合、死亡リスクが43%高まることがわかりました。
しかし実際に死亡リスクが高まった人は「ストレスは健康に悪い」と考える人だけで、「ストレスは健康に悪くない」と考える人はストレスによる死亡リスクが上昇しませんでした。
このことから「ストレスは健康に悪い」と思う人だけ、ストレスが健康に悪影響を及ぼすことがわかりました。
過去8年間のアメリカでのストレスが発端と思われる病気で亡くなった人の数は18万2千人です。
これらの人々は本当はストレスのために命を落としたのではなく、「ストレスは体に悪い」と思うことで命を落としたことになります。
ストレスとホルモンの関係
ストレスとホルモンとの関係を調べるためにコロンビア大学の心理学者アリア・クラムはこのような実験を行いました。
まず参加者を2つのグループに分け、1つは「ほとんどの人はストレスは体に悪いものだと考えています。ところが研究によって、ストレスにはよい効果があることがわかっています」と伝え、ストレスが健康によく、成長を促すことを説明しました。
もう1つは「ストレスは心身を消耗させる」と伝え、ストレスが健康に与える悪影響を説明しました。
その後参加者に模擬面接を受けてもらいましたが、その中で面接官はわざと参加者をイライラさせるために、回答に対して一々ケチを付けました。
面接後、参加者の唾液を採取してコルチゾールとデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)というストレスホルモンの量を計りました。
この2つのホルモンには、コルチゾールの割合が増えると免疫機能の低下やうつ病の症状が表れ、DHEAの割合が増えるとうつ病、心臓病などのストレスに関係する病気にかかりにくくなるという関係があります。
その結果双方ともコルチゾールの量は増えていましたが、「ストレスは体に良い」と説明された参加者のほうが「ストレスは体に悪い」と説明された参加者よりもDHEAの分泌量が増えていました。
これにより、「ストレスは体に良い」と思っている人のほうがうつ病や心臓病などにかかりにくくなることがわかりました。
ストレスは人とのつながりを強める
ストレスを感じるとオキシトシンというホルモンが分泌されます。
オキシトシンが分泌されると他の人とより親密になろうし、誰かと身体的接触をしたくなったり、他人の意見に共感したり、大事な人を守りたい助けたいという心が出てきます。
実はオキシトシンはストレスホルモンの1つで、ストレスを受けると脳が「誰かに助けを求めろ。誰かに支えてもらえ」と他人との接触を促すために、オキシトシンが分泌されるのです。
そのため、ストレスを受けることで他人と交流したくなり、人とのつながりが強まります。
このようなことからストレスは体に悪いものではなく、「ストレスは体に悪い」と思うことで体に悪くのであって、ストレスには他者とのつながりが強まる良い面もあることがわかります。
「病は気から」のことわざは本当のことだったのです。
心の行い
仏教では私たちの行いには3つあると教えられます。
その3つとは
- 意業(いごう)…心の行い
- 口業(くごう)…口の行い
- 身業(しんごう)…体の行い
です。
この中で最も重いのは意業、心の行いと言われます。
心で思ったことが口や体に現れるからです。
「心で何を思っていても口や体に出さなければ問題ないだろう」と思って、好きなことを頭の中で考えていますが、心で「ストレスは体に悪い」と思っていることでコルチゾールが分泌され、実際に健康に害を及ぼしてしまっていたのです。
また逆に心で「ストレスは体に良い」と思っていればDHEAが分泌されて、うつ病や心臓病などにかかりにくくなります。
目に見えないので軽く見られがちな心の行いですが、実は私たちの体に大きな影響を与えていることがわかります。
健康になりたいと思うならば、まずは心の行いから変えていくことが重要なのです。
まとめ
- ストレスは体に悪いものではなく、「ストレスは体に悪い」と思うことが体に悪影響を及ぼす
- 「ストレスは体に良い」と思うことでDHEAが分泌され、うつ病や心臓病にかかりにくくなる
- ストレスを感じたら、その原因の内で自分でコントロールできるものを探し、その原因をどうしたら無くせるかを考えることでポジティブ思考になれる
- ストレスを感じたら誰かと交流することでストレスが軽減される
- 仏教では私たちの行いに意業(いごう)、口業(くごう)、身業(しんごう)の3つがあると教えられ、その中でも最も重いのが意業=心の行いである
ストレスを感じたときに他者とのつながりを求めるためにオキシトシンが分泌されます。
そのため誰かと交流したいという感情が出てくるのですが、そのときにはただ一緒におしゃべりをしたり、食事をするだけではなく、相手に何かを与えることをおすすめします。
こちらの記事を読んでいただければ、その理由がわかると思います。
前半で紹介したショーン・エイカー氏の記事のポジティブ思考に関する部分です。
→ポジティブ思考になる方法は?|ポジティブ思考のカギは「与える」こと
こんぎつね
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