和顔愛語でみんな幸せ!(後)|優しい言葉の共通点とは?
こんにちは。暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
あなたは和顔愛語(わげんあいご)という言葉を見たり聞いたりしたことがあるでしょうか。
和顔愛語は「わげんあいご」と読みます。
元は「大無量寿経」というお経に出てくるお釈迦さまが教えられた言葉です。
和顔とは和やかな顔をいうことで笑顔のことです。
愛語は優しい言葉のことです。
前回の「和顔愛語でみんな幸せ!(前)|笑顔のチカラを科学します」では和顔愛語(わげんあいご)の和顔についてお話しましたので、今回は愛語についてお話しします。
あなたは辛いときや苦しいときに優しい言葉をかけられて、心が明るくなったことはないでしょうか。
私は大学受験の当日の朝、母から
「どんな結果になっても、あなたががんばってきたことはよくわかってるから」
と言われて気持ちが軽くなったことを覚えています。
「優しい言葉をかけましょう」とはよく言われますが、具体的にはどのような言葉が優しい言葉なのでしょうか。
どんな言葉を私たちは優しい言葉と思うか、具体例を分析したところ「認めること」という共通点が見つかりました。
優しい言葉の具体例
どのような言葉を私たちは「優しい言葉」と感じるのでしょうか。
キッコーマンニュートリケア・ジャパンが40代・50代の既婚女性に“優しさを感じる言葉”を、自由回答形式で聞いたところ、
1位「ありがとう」(512件)
2位「お疲れ様」(86件)
3位「大丈夫?・無理しないで」(64件)
となりました。
旦那さんからの感謝の言葉を求めている奥さんが多いようです。
(参考:「キッコーマンニュートリケア・ジャパン からだ想い」調べ)
また、私がアンケートサイトで
「あなたがかけられてうれしかった優しい言葉を教えてください」
と質問したところ以下の回答が寄せられました。
- 達成した業務に対して、「本当によく頑張ったな」(50代男性)
- わかる人はわかるから大丈夫(30代女性)
- 人間関係が悪い会社を退職するとき、後輩から「出会えてよかった」と言われたこと。(60代女性)
- ありがとう。(50代男性)
- 「いつも頑張っているね」(30代男性)
- 「そこまでやってくれたの!?」(40代女性)
- 「気が利くね」と上司から。自分の努力が認めてもらえたと素直に感じてとても嬉しかったです。(50代女性)
- 内科医から「私(医師)はあなた(患者)ではないので痛さを真に理解するのは難しい」と言われたとき。即否定されなかった。(30代男性)
- あなたがどれほど頑張ってきたか、よーっくわかります。(50代女性)
- 「上手くいけばお前の手柄。失敗すれば俺の責任やから。責任と言っても別に何かマイナスがあるわけじゃないから安心しろ」新人の頃、上司が7割ぐらいお膳立てした大きめの仕事を、私に任せてくれた時のセリフ(30代男性)
- 夫の転勤を機に20年働いた会社を辞め専業主婦に。養われることに慣れず、自分の存在価値がなくなったように感じていたときに、夫が言った「明かりのついている家にただいまって帰ってくるのっていいなぁ」って言葉。(50代女性)
- 目つきが以前と比べて優しくなってる(30代男性)
- 頼りになるよ(30代男性)
- マラソン大会中、ヘロヘロだったとき、同級生の男子に「お前結構やるじゃん!がんばれ!」と声をかけられ、思いがけずやる気がわいてきました(20代女性)
- 「疲れてない?」と気を遣ってもらった事(30代男性)
- ありがとう(40代男性)
- 失敗したときに友人から「珍しいね」(20代男性)
- 「気を付けてね」です。疲れていても頑張れます。(20代女性)
- 会社を辞める時、それほど親しくなかった人に「いつも真面目に一生懸命に仕事をしているのを見ていたよ」と言われたときは嬉しかったです。(30代女性)
- 失敗したとき「学生時代も会社でもゆっくりでいいんだ、人間だから失敗はある、けど二度同じことをやるなよ」といってくれる人がいました(50代男性)
- 若手の頃、会社の上司から、「とことん、やりたいようにやれ。後の始末は俺がつけるから」と仕事の後押しをしてくれた。(50代男性)
- 頑張ってる(40代男性)
- 「頑張って」と優しいフォローの言葉をかけてもらったとき。どんなときでも見てくれている人は必ずいるんだ、ととても心強かったです。(50代女性)
- 「貴方と出会えて良かった」そう言われた時には心の底から嬉しくなりますね。(40代男性)
- 明日がある。(50代男性)
- 育児に行き詰まってたとき、となりのおばあちゃんが、いつでも預かってあげるからね、と。子供のお世話大変だねと言われた。(30代女性)
- 人からなんと言われようが気にする必要はない(40代男性)
- 人から非難されても自分の撮る写真に自信を持て。(10代男性)
- 自分に自信が持てなくてつらかった時に「そのままでいいよ」と声をかけてくれた人がいてうれしかった。(30代女性)
それぞれに心温まる言葉ですね。
これらのすばらしい言葉たちを分析してみましょう。
優しい言葉の共通点
優しい言葉の具体例を見ているといくつかの傾向が見つかります。
- 「ありがとう」のような感謝の言葉
- 「気が利くね」「頑張ったな」「頼りになるよ」などの能力、努力、存在を認める言葉
- 「優しくなってる」のような褒める言葉
- 「疲れてない?」のような気遣う言葉
です。
この4つをさらにまとめて、「感謝の言葉」を「能力や努力を認める言葉」に、「褒める言葉」や「気遣う言葉」を「存在を認める言葉」に収めると、私たちは誰かから「認める言葉」をかけられたときに「優しい」と感じることがわかります。
人間には誰かから認められたいという欲があります。
お釈迦様は褒められたい、認められたい、悪く言われたくない欲を「名誉欲」と言われ、「すべての人には自分のことを認めてほしいと思う心がある」と教えられました。
人間の欲求を階層で理論化した心理学者のマズローは「自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求」を「承認欲求」と呼んでいます。
「優しい言葉をかけましょう」ではピンとこなくても、「相手のことを認める言葉をかけましょう」と言われたら具体的に思い浮かびやすいのではないでしょうか。
優しい言葉を実践しよう
私たちは一人では生きられません。誰かの能力や努力のおかげで生かされています。
その能力や努力を認める言葉をかければ相手は喜ぶのですが、慣れていないとなかなか出てこないものです。
「どこか褒めるところあるかなあ。最近何かしてもらったかなあ」と悩んで声がかけられなくなってしまいます。
そこでまずは上のアンケートで特に多い
- 「いつもありがとう」
- 「よくがんばってるね」
の2つを心がけてみませんか。
だんだん慣れていけば自由に優しい言葉をかけられるようになっていくでしょう。
なんでも認めればいいのですから、キーボードを打っている人に「タイピング速いですね」でもいいですし、お茶を淹れてくれた人に「○○さんの淹れてくれたお茶はおいしいよ」でもいいのです。
このとき、他の人と比べてタイピングが速いことやお茶がおいしいことを証明してから言う必要はありません。
わざわざ褒めるに値する成果や長所を見つけなくていいのです。
成果ではなく努力を認めればいいのです。短所でも言い換えれば優しい言葉になります。
「相手の何かを認めること」
これを守ればかんたんに優しい言葉がかけられるようになります。
まとめ
お釈迦さまは和顔愛語(わげんあいご)を勧められています。
愛語(あいご)とは優しい言葉のことです。
私たちは自分を認めてもらう言葉を優しい言葉と感じます。
優しい言葉をかけようとするなら「相手の何かを認める」言葉を考えましょう。
優しい言葉をかける以外にもお釈迦さまは「こういうことをすると幸せに恵まれますよ」と言われている中に身施(しんせ)があります。
身施について、こちらの記事で紹介しています。
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こんぎつね
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