大切な人が苦しんでいる時、助けたいけど、どうしたらと悩む人へ
わかりやすく仏教を伝える研究家のあさだです
皆さんにとって大切な人が苦しんでいる時、どうしますか。
助けたいとは思うが、どうすればよいのか、悩むことはないでしょうか。
「逆に傷つけることを言ってしまったらどうしよう」
「相談されてもいないのに、でしゃばりじゃないか」
「私がしなくても他の人がやってくれるんじゃないか」
「いらぬおせっかいで、かえって迷惑になるかもしれない」
など、思う人もあるかもしれません。
いったん悩んで、行動が止まると、先延ばししてしまいます。
やがて、何もしなかったことに、うしろめたさを感じるかもしれませんが、その時には、後の祭りです。
「助けたいけど、どうすれば」と悩んだ時に、紹介したい話があります。
心理学のストレスに関する実験結果
心理学に、このような古典的実験があります。
参加者にランダムな間隔で発せられる不快な騒音を聞かせる。
そんな中、パズルに取り組んでもらう。
パズルは集中力が必要なので、当然、ミスを連発した。参加者の一部に騒音が不快になったら、押したら音を止められるボタンを用意した。
ボタンを与えられた参加者は冷静を保ち、ミスが減った。これは予想通りの結果です。
ビックリするのは、実際にボタンを押した参加者が1人もいなかったこと。騒音を止めたからミスが減ったのではなく、いつまで騒音を止められるという気持ちがミスを減らしたのである。
この心理学の実験から「騒音を止める」のも大事だが、「いつでも騒音を止められる」環境をつくることが大事だとわかります。
「ボタン」を押してもらわなくても、「ボタン」を用意することが大切なんですね。
「いつもそばにいるよ」のメッセージ
大切な人が苦しんでいる時、その苦しみを自分が解決しようとしなくてよいのです。
「ボタン」を用意すればよいわけです。
その「ボタン」とは、「いつもそばにいるよ」のメッセージ、それを口で言うのではなく、ただ顔を見せたり、何気ない会話をしたりして、伝えていく。
その「ボタン」の存在が、苦しんでいる人にとって、どれだけ大きな力になるか、わかりません。
実際に「ボタン」が押されたら、悩みを親身になって聞いて、しかるべき専門家を紹介すれば、その専門家が解決へと導いてくれるでしょう。
「いつもそばにいるよ」と知ってもらうだけで、実は大きな支えとなるのです。
親鸞聖人の「御臨末の書」
鎌倉時代に活躍された浄土真宗の開祖、親鸞聖人(しんらんしょうにん)の遺言、最後の言葉を「御臨末(ごりんまつ)の書」といって、今に残されています。
今から約700年前のお言葉です。
我が歳きわまりて、安養浄土(あんにょうじょうど)に還帰(げんき)すというとも、和歌の浦曲(わかのうらわ)の片男浪(かたおなみ)の、寄せかけ寄せかけ帰らんに同じ。
一人居て喜ばは二人と思うべし、
二人居て喜ばは三人と思うべし、
その一人は親鸞なり。
(意訳)
まもなく私の、今生は終わるであろう。
一度は弥陀の浄土へ還るけれども、寄せては返す波のように、すぐに戻って来るからな。
一人いるときは二人、二人のときは三人と思ってくだされ。
嬉しいときも悲しいときも、決してあなたは、一人ではないのだよ。
いつもそばに親鸞がいるからね。
「いつもそばに親鸞がいるからね」、この親鸞聖人のメッセージが、700年の時代を超えて、現代の苦しみ悩む人の心を、どれだけ励ましているか、わかりません。
私もこの言葉から勇気と元気を受け取りました。
臨終に、このようなメッセージを残された親鸞聖人は、どんなことを教えられた方なのか。
親鸞聖人の教えを漢字4字で「平生業成(へいぜいごうじょう)」といいます。
あさだ よしあき
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