【心が軽くなる】「誰もわかってくれない」孤独感との上手な付き合い方
こんにちは。伝わる技術研究家のみさきです。
先日、占い師への相談に1000万以上使ったと話す女性に会いました。
まず金額に驚きましたが、なんでそんなに高額を、と訊きましたら「夫も友人も自分の話を聞こうとせず、心が限界だったから」と言われていました。
そんな孤独に打ちひしがれるその方の話を、その占い師は親身に聞いてくれたので、お金がかかり過ぎるとためらいながらも、通うのをやめられないのだそうです。
誰も自分をわかってくれないから苦しいと思っている
「自分のことをわかってくれない」と、さまざまな立場の人が孤独に苦しんでいます。
部下は「上司が全然理解してくれないんだ。このままこの職場で続けていく自信がないよ。もっと話をわかってくれる上司だったらなぁ」と悩み、上司は「新入社員の○○とは、会話が成り立たんよ。こちらの思いを全然わかろうとしないんだから…参ったよ」と愚痴る。
夫は「妻は俺の努力をちっともわかってくれない。どれだけ苦労しているかなんて、考えたことがないんだ」とぼやき、妻は「主人はいつも自分ばかり”忙しい忙しい”と言って、なかなか向き合ってくれない。何を聞いても、だいたい面倒くさそうに”好きにしていいよ”と言われるだけだし」と苦しんでいます。
相手の気持ちがわからないから自分は悩んでいると思っている
反対に、相手の思いが分からずに悩んでいる人もあるでしょう。
最近、中学生の息子がほとんど口をきかなくなり、悩んでいるお母さんもあります。
「夕食ができたよ」と声をかけても、「うるさい!」と返される。会話が減り、何を考えているのかもわからない。思春期だと思って、そっとしておくのが良いのかとも思うが心配だと言われていました。
好きな人がいる時、相手の本音が知りたくて頭がいっぱいになった経験のある人は多いでしょう。
「もし、あの人にこう思われてたら」
「あの人は私のことをどう思っているだろうか」
とクヨクヨしたりしてしまうものです。
みんな、自分の考えや気持ちをもっとわかってもらえれば、相手の考えていることがもっとわかれば、深い人間関係が築け、幸せになれるのに、と求めています。
では果たしてお互いわかり合える世界は幸福なのでしょうか。
ちょっと考えさせられる話があります。
『キノの旅-the Beautiful World-』という小説があります。
シリーズ770万部を超えた人気作品です。
キノという旅人が世界旅行のように、独特の制度や技術、価値観を持つ国を訪れ、そこの国民と関わっていきます。
1話完結のストーリーで、寓話(ぐうわ)のように教訓が秘(ひ)められています。
その中で、お互いわかり合える世界は幸福なんだろうか、と考えさせられる話がありましたので、紹介します。
キノはある時、「人の痛みが分かる国」を訪れました。
その国は、レストランも市街も無人で、機械だけが動いています。
キノが滞在して3日目の朝、ようやくこの国の住人男性と会いました。その男性は、
「君は、私の思っていることがわからないのか?」と、妙(みょう)なことを尋ねてきました。その男性は、明らかな対人恐怖症で、人と会うのを恐れていました。
実はその国の人は皆 対人恐怖症で、一人孤独に住んでいるというのです。
なぜそうなったのか、男が語りました。この国では、会話を交わさなくても、相手の考えていることがわかる薬が開発されました。
これでもう「自分の気持ちをわかってくれない」という苦しみも、「相手の気持ちがわからない」という悩みもなくなり、国民は幸せになれると皆喜び、国民全員がその薬を飲んだのです。その男は薬を飲んだら、片思いの女性の気持ちが自分に向いていることが分かり、女性も自分の想いを分かり、すぐ結婚できたことに大喜びでした。
ところが一緒に住むようになり、男はすぐにとんでもない薬だったことが分かるのです。
お互いの心は何でも通じてしまいます。
「この料理、まずいな」
「この人のこういうところ、イライラする」
「こんなこと言う人だったのか」
「結婚するんじゃなかったな」オブラートに包んだ会話ができません。思ったままがお互いに通じてしまいます。
すぐに結婚生活は破局をむかえてしまいました。その国は、事故現場で死にかけている人の思いが周囲の人達に伝わり、発狂(はっきょう)させたり、政治家がお互いにいつか裏切ろうとしていることを知り、殺し合いになりました。国中がパニックで、住人はお互いの思いが伝わらないよう、距離を置き、引きこもって生活するようになったのです。
自分の気持ちをわかってほしい、相手の気持ちを知りたい、と誰もが願うことですが、それが本当にかなったら、幸せかと考えさせられる話でした。
常にきれいな心だけを持っていれば良いのですが、私たちは誰にも知られたくない醜(みにく)い心を持っています。
また見たくなかった心まで見せつけられたら、その人と今まで通りにつきあえるでしょうか。
私たちはお互いの心をわかり合えず悩むこともあれば、逆にわかってしまったことで、嫌な心が見えて苦しむこともあります。
振子(ふりこ)のように、どちらに振られても、悩むのが人間です。
すべての人が孤独な人生を旅している
仏教で「独生独死独去独来」(どくしょうどくしどっこどくらい)という言葉があります。
私たちが
生まれてくるのは独り
そして死にゆくのも独り。
来たときが独りなら、去るときも独り。
底知れないほど孤独なのが人生であるという意味です。
いつもたくさんの人に囲まれて、孤独とは無縁の人もいるでしょうと思いますが、お釈迦様はすべての人が孤独だといわれるのです。
円満な夫婦でも、お互いの心の底すべては分かり合えませんし、親子でも、親は子供の考えていることはわかりませんし、子供は親の話も理解できません。
夫婦や親子は寝食共にして、近くに身を寄せてはいますが、心はすべて共感することなどあり得ず、孤独を抱えているのが人間だと教えられています。
寂しいことです。
しかし孤独で分かり合えないもの同士だとわかってくると、そんな者同士が何の不思議か心を通い合わせ、共に支え合う中になるのですから、少しでも相手を受け容れようと、共感に努めるようにもなってくるのです。
まとめ
「誰もわかってくれない」という心の孤独は、自分の本当の心を知るサインです。
自分の気持ちをわかってほしいと苦しみますが、私たちには知られたくない心もあるのです。
どうしたら孤独な私たちがお互いに幸せになれるのか。
私たちが本当に心から幸せになるにはどうすればよいのかを徹底的に探究されたのがお釈迦様でした。
みさき
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