「仏」とは、亡くなった人のことをいうのですか?
仏とは亡くなった人のこと?
世間では、死んだ人のことを「仏(ほとけ)」といわれます。
葬式では「この仏さん、綺麗な死に顔していなさるなぁ」と耳にしますし、亡くなって間もない人のことを「新仏」といいます。刑事ドラマでは「仏の身元を洗え」とか「犯人が捕まらなければ仏も浮かばれない」と聞きますね。
亡くなったおじいさんや、おばあさんの遺影を仏壇に飾るのも、仏になって残された家族を見守ってくださっているのだろう、と思うからでしょう。
親や先祖に感謝して命を尊ぶのは、もちろん素晴らしい大事なことですが、仏教でいわれる「仏」とは意味が全く異なりますので、正しい意味をぜひ知っていただきたいと思います。
最高のさとりを開かれた方を仏という
「仏=死人」と常識のように思われていますが、仏の正しい意味を知るために、「仏教」の漢字を分解してみましょう。
仏教とは、仏の説かれた教えと書きます。もし、仏が死人のことならば、仏教は「死んだ人の説いた教え」ということになってしまいます。死んだ人が教えを説けるはずがありませんから、おかしいとお分かりになるでしょう。
では、仏とはどんな方を言われるのでしょうか。
仏とは、「最高のさとり」を開かれた方のことです。
「さとり」といっても、低いものから高いものまで52の段階があります。低いものから順に、十信(じっしん)、十住(じゅうじゅう)、十行(じゅうぎょう)、十回向(じゅうえこう)、十地(じゅうじ)、等覚(とうがく)、妙覚(みょうかく)といいます。
一番高い位である「妙覚(みょうかく)」は「仏覚(ぶっかく)」ともいい、「仏の覚り(さとり)」のことを指します。ですから、仏覚(ぶっかく)まで到達された方だけを「仏」とか「仏さま」と言われるのです。
選挙などで目玉を入れる赤いダルマは、インドの達磨大師(だるまだいし)をモデルにしたものです。壁に向かって9年間、修行に打ち込んだために手足が腐ってしまったのでした。それでも、さとりは三十段そこそこであったといわれますから、仏のさとりを開くことがいかに大変なことかが分かります。
地球に現れられた仏は「お釈迦様」だけ
今日まで、仏のさとりまで到達された方は、この地球上では お釈迦様ただお一人です。これを「釈迦の前に仏なし、釈迦の後に仏なし」といわれます。
小釈迦とまでいわれる龍樹菩薩(りゅうじゅぼさつ)や無著菩薩(むじゃくぼさつ)でさえ、41位までしか達していません。
さとりの階梯が一段違うだけでも、人間と虫ほどに境涯(きょうがい)が違うと言われますから、お釈迦様が到達された仏のさとりが人智を超えた世界であるのも頷けます。
大宇宙で最も尊い仏さまとは
地球に現れた仏はお釈迦様だけですが、大宇宙には数多くの仏さまがおられると経典に説かれています。中でもお釈迦様が師匠と尊敬し礼拝されるのが、阿弥陀仏(あみだぶつ)という仏さまです。経典の中で阿弥陀仏ばかりを褒め称えています。
無量寿仏(むりょうじゅぶつ)の威神光明(いじんこうみょう)は最尊第一にして、諸仏の光明(こうみょう)の及ぶこと能わざる所なり。
『大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)』
(阿弥陀仏のお力は、大宇宙の仏の中で最高であり、諸仏の力のとても及ばぬ、ずば抜けたものである)
諸仏の中の王なり、光明の中の極尊なり
『大阿弥陀経(だいあみだきょう)』
(阿弥陀仏は、十方世界の諸仏の王である。そのお力は、群を抜いて勝れたものである)
さらに、お釈迦様だけでなく全ての仏さまが阿弥陀仏を絶讃されているとも経典に書かれてあります。
無量寿仏(むりょうじゅぶつ)の威神(いじん)極まり無し。十方世界(じっぽうせかい)の無量無辺不可思議の諸仏如来(しょぶつにょらい)、彼を称歎(しょうたん)せざるはなし
『大無量寿経』
(大宇宙の無数の諸仏方で、阿弥陀仏を絶讃しない仏はないのである)
このように全ての仏さまが尊敬し、褒め称えられる阿弥陀仏ですから、いかに尊い仏様であるかわかるでしょう。
まとめ
仏とは死んだ人のことではありません。
仏とは「最高のさとり」を開かれた方のことです。
お釈迦様が師匠と尊敬し礼拝されるのが、阿弥陀仏(あみだぶつ)という仏さまです。
その違いについては、こちらの記事をお読みください。
お釈迦さまと阿弥陀如来は同じ仏さまですか?阿弥陀如来の力とは?
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九条えみ
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