達成しても満足感が続かないのはなぜ?人間の願望と幸せの関係
大きなプロジェクトが終わった知人が「頑張って仕事をやり抜いたけど、満足感はそんなになかった。どこまでいってもゴールはないんだなぁ」と、ふと漏らしていました。
私にも似たような経験があったので、共感しました。
願望が叶っても、なぜ満足感が続かないのでしょうか。
そのヒントは、私たちの【願望】にあります。
人間の願望の実態とは
人間の願望を挙げてみましょう。
食べたい、眠りたい、結婚したい、仕事で成功したい、お金がほしい・・・など。
これらを仏教では五欲(ごよく)と教えられます。
すべての人間が持っている欲望です。
【五欲】
(1)食欲 - 食べたい、飲みたい欲
(2)財欲 - お金や物が欲しい欲
(3)色欲 - 性的な欲求
(4)名誉欲 - 褒められたい、悪く言われたくない欲
(5)睡眠欲 - 眠りたい、楽がしたい欲
五欲は、私たちが生きるため、そして子孫を残すために必要不可欠です。
分かりやすいのは、三大欲求と言われる食欲、色欲(性欲)、睡眠欲でしょう。
財欲、名誉欲といったお金や地位が得られれば、より生活が豊かになり、生き延びやすくなります。
日々の生活は、五欲に突き動かされるといっても過言ではないでしょう。
五欲を満たす喜びの弱点
五欲を満たすと、一時的な満足感はありますが、すぐに慣れてしまいます。
これについて、弊社発行の『月刊 人生の目的』で連載中の「私たちはなぜ生きるのか」というコーナーに書かれていますので、ご紹介します。
やっとの思いで名声や財を獲得しても、すぐそれに慣れてしまうのは、なぜでしょうか。
現状に甘んじるより、さらなる権力や財力を求めたほうが、生き残るのに有利だからです。際限なく広がる五欲は、決して私たちを休ませてはくれません。
達成した満足が慌ただしく立ち去ると、今度は「もっと所有すれば満足できるはず」という思い込みが生まれ、新たな苦労が始まります。しかし、車輪の中に閉じ込められたネズミと同様、どこまで走ってもスタート地点に逆戻りで、不満から脱することはできません。この現象は、心理学で「ヘドニック・トレッドミル」(快楽の回し車)と呼ばれています。
私たちは、恋人が欲しいとか、マイホームが欲しいとか、何か欲しいものができると、それが手に入らない間は、ほかの何よりも光を放って見えます。ところが望みをかなえると、今度は別のものが欲しくてたまらなくなるのです。
五欲に振り回されるだけの人生では、心の底からの安心満足は得られないでしょう。
仏教では、五欲とは質の違う心の幸福について教えられています。
【心の幸福】について、詳しくはこちらの記事をごらんください。
九条えみ
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