あなたの悲しみは優しさに変えられる|思いやりのある世の中を作るには
人生には楽しいこともあれば、悲しいこともあります。
過去の悲しみを引きずって、今なお苦しんでいる方もおられます。
しかし、葛藤を乗り越え、悲しみをバネに強く生きている人もいます。
「優しい人」は「悲しい人」?
優しい人は、実は悲しい人かもしれません。
なぜでしょうか。
「優しい」という字を分解すると、部首が人偏(にんべん)で、つくりが「憂い」です。
憂いとは心配、悲しみ、嘆きのこと。
優しいという字は「悲しむ人に寄り添っている人」を表現していると読み取れます。
悲しみに寄り添えるのは、自分も過去に似たような悲しい経験や辛い境遇に遭ったからこそ、「そうですねぇ。お辛いですよねぇ」と共感できるのではないでしょうか。
これを表現した言葉が「同病相憐れむ」ということわざです。
同じ苦しみを持つ者同士は、互いに思いやる心を起こすという意味です。
悲しみに寄り添える優しい人は、同じように悲しみを経験した人だと思うのです。
生まれてこのかた順風満帆で何もかも絶好調!という境遇では、なぜ悲しむのか、辛いのか、痛むのか、理解しづらいものがあるでしょう。
悲しみは優しさに変えられる
「自分と同じような悲しい気持ちには、誰もなってほしくない」
そういった信念から、啓もう活動やボランティアに参加されている方もあります。
「テラスハウス」に出演中、SNSの誹謗中傷により自殺に追い込まれた木村花さん。
そのお母さんの木村響子さんは、NPOを設立し、SNSでの誹謗中傷を無くすために活動されています。
あるインタビューでは次のように話されています。
闘わなきゃ歴史は変えられないんですよね。例えば女性差別がなんで今減ってきたかっていったら、最初に声を上げた人がいたからなんですよ。最初に声を上げた人がいて、そこに続く人が現れて、そうやって歴史を変えていく。
だから私が死ぬまでにこの状況は変わらないかもしれないけど、種をまくことはできると思うんです。やっぱり花の次の世代、子どもとか、その孫の世代に向けて、少しでも優しい世界を作る義務は、それぞれ一人ひとりにあると思うし。しかも私はもう本当に花を失って、これ以上怖いものもないし、できる限り種をまこうって決めて。
木村響子さんの活動がきっかけとなり、侮辱罪を厳罰化する改正刑法が2022年6月13日に成立しました。
法改正まで活動するのはものすごくエネルギーを使うと思いますが、その原動力は悲しみを優しさに変えたことだと思います。
もし怒り憎しみだけで終わっていたら、SNSでの誹謗中傷はエスカレートし、更なる被害者を生み出していたかもしれません。
思いやりのある世の中を作るには、人への優しさに心を向けていくのが大事なのですね。
九条えみ
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