腹が立つ相手を許す方法とは?仏教に学ぶ他人を許す3ステップ
「あの人が許せない」と、ずっと根に持ってしまう人を許すにはどうしたら良いのでしょうか。
まず第一段階として、なぜ許せないのか?怒りの原因に目を向けることが大事です。
ステップ1 怒りはなぜ起きるのか?
怒りが起こる原因は欲が妨げられるからだと仏教では言われます。
「あの人のせいで儲け話がおじゃんになった」と怒るのは、自分の財欲が妨げられたからです。
「みんなの前で叱責されて恥かかされた」と憤慨するのは、名誉欲を傷つけられたのです。
このように、自分の利益や自分の名誉など、自分の欲が妨げられると、妨げた相手に怒りが出てくるのです。
ステップ2 自分の心を見つめる
相手を許せないとき、相手が悪い、自分は悪くない、という思考になっていると思います。
この考えでいると、怒りはずっと治まらないかもしれません。
しかし、本当に相手だけが悪いのでしょうか?
そもそも、怒りの発端は、自分が欲を起こしたことにあります。
もっと儲けたい、もっと良い物が欲しい、もっと認められたい、もっと褒められたい、もっと楽したい…と、欲にはキリがありません。
そして、もっと欲しいもっと欲しい、と追い求めているのは自分一人だけではありません。
周りの人も自分と同じように、お金や物や名声や自分の時間や好きな人など、それぞれに追い求めているのです。
求めている者が相手と違えば争いになりませんが、重なった場合、競争相手に敗れて自分の欲が妨げられることとなります。
「部活で自分の代わりにライバルがレギュラーに抜擢された」
「家事が終わり、自分の時間を持とうと思っていたのに、小さい子どもがぐずって付き添わなくちゃいけない」
「企業のコンペで他の会社に仕事が取られた」
こういう時に、自分の欲を妨げた相手に怒りが出てきます。
しかし「あの人が許せない」と言っている自分も、何かの形で他人の欲しているものを奪ってその人から恨みを買っている、ということもあるでしょう。
そう考えると、何に対して怒っているかは人それぞれですが、欲にはキリがなく、その欲が妨げられて怒る、という点ではみんな同じなのです。
ステップ3 すべての人の姿を知る
すべての人の共通する姿を仏教では「煩悩具足(ぼんのうぐそく)」と言います。
「煩悩」とは煩わせ悩ませるものという意味で、煩悩の代表的な3つが欲の心・怒りの心・ねたみ恨みの愚痴の心です。
「具足」とは、それで出来ているという意味です。
煩悩具足とは、人間は煩悩で出来ている、煩悩の塊であるということです。
全人類、国籍や文化は違えども、70億人が共通して欲・怒り・愚痴の煩悩で動いているのです。
自分の心を見つめてみると、日常の言動は欲・怒り・愚痴から引き起こされていることが見えてきます。
そして、周りの人も同じように煩悩で動いていることが知らされます。
すべての人は煩悩の塊だと知らされてくると「相手が悪い、自分は悪くないという考えは、必ずしもそうではない」のだと分かります。
煩悩で悪い行いをした他人に腹を立てていたとしても、その腹を立てること自体が煩悩から起きていますので、そういう点では憎い相手も腹を立てている自分も同じなのです。
相手が悪いと言っている自分も、煩悩で相手に腹を立てているという点では同じなのです。
すべての人は煩悩具足ということが知らされるほど、その点で平等であり、差別がないことが分かります。
ここに、人種・国籍・文化などを超えた本当の平等が見えてくると思います。
ともに煩悩で欲・怒り・ねたみ恨みの愚痴で振り回され、迷惑しているのが私であり、周りの人たちであると思えば、いちいち腹を立てている時間が勿体ないなぁとも思えてきます。
九条えみ
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