同居老親との上手い付き合い方とは|大事なのは「老親が抱える心」
こんにちは。伝わる技術研究家のみさきです。
「注文をまちがえる料理店」をご存知でしょうか。
ウェイターがみんな認知症のスタッフのお店です。
昨年、厚生労働省内に期間限定でオープンし、話題となりました。
このレストランを訪れた人からは
「認知症を知る機会となった」
「心温まる空間だった」
という声が相次ぎ、反響をよびました。
今後大切な家族が認知症になることだってあるかもしれない私たちにとって、認知症への理解を深めるためにも、こういう経験ができるのは大事なことだなと感じました。
今回は老親との付き合い方について考えてみたいと思います。
老親介護が始まったら
年老いた親(老親)の介護には、様々な不安があります。
一例をあげますと
・家族の誰が介護をするのか、ほかに頼れる人はいるか
・認知症にかかったら自宅で介護しようか、施設に預けたほうがよいのか
・仕事をしながら老親の介護との両立はできるのか
・診察や介護の費用はどれくらい必要か
などです。
私は祖母が認知症とガンを患い、家族で話し合った後、最期まで在宅介護の形をとりましたが、介護は毎日、休日も関係なく続くため、介護疲れで思いやりを持って接せられなくなることがありました。
今思えば、認知症や老親介護という未知の世界に直面して戸惑っていた状態でした。
同居老親と上手く付き合っていくのに大事な視点
その時私はお世話になったヘルパーさんに「患者が抱える心」について教えてもらったことが介護をする上で大きな支えとなりました。
「患者が抱える心」とは次のようなことでした。
行動が制限され、ストレスを抱える
患者は大きなストレスを抱えていることを知る。
病気が進行するとできないことが増えてきて、何もさせてもらえなくなる。
体調が良いときに、掃除をしようと思っても、家族は心配をして止めようとする。
一人で出かけることもできず、自分一人で動けなくなってくる寂しさを感じる。
これらのストレスがたまってきて、そのいらだちを家族にぶつけるようになる。
病気に戸惑いながら、精一杯生きようとしている
病気がつらくても、自分で食事をしようとしたり、本を読んだり、散歩をしようとしたりと、精一杯生きようと頑張っている。
病院に通うのは、何とか元気になろうという気持ちの現れ。
それを家族が憂鬱な顔で付き添うと「家族に面倒をかけているな、自分はいないほうがいいのでは」と、心を閉ざしてしまう。
排泄の失敗
これは本人にとっては大ショックで、恥ずかしく、悔しく、自分を許せない気持ちになっているので、嫌な顔をしたらさらに落ち込む。
ヘルパーさんの話を聞いて、自分が祖母の心に少しも寄り添えていなかったことがショックでした。
祖母は体の自由が利かなくなることに戸惑いながらも、何とか生きようとしていたのです。
一方の私は認知症・ガン患者というレッテルを貼り「あれも、これもできないだろう」と思い込んで、祖母を苦しめてしまっていたのだなと身の置き場がない気持ちでした。
それからは祖母の前では憂鬱そうな顔をしたり、疲れた態度を取らないように気をつけ、祖母の話に耳を傾けるように心がけました。
それでも、ガンを経験したことのない家族には祖母の心に寄り添えたとはいえませんが、「病院で死ぬのは嫌だ」と言っていた祖母の願いを、家族で叶えることはできました。
祖母の介護の経験を通してわかったのは、年老いて認知症や病気になっても、人は一生懸命に生きようとしていることです。
自分でできることは少なくなっていきますから、家族の介護は必要です。
しかし、人は生涯を終えるその時まで生きようとしている姿に寄り添い、サポートしていくことが大切なのだと思います。
「注文をまちがえる」料理店のウエイターは全員が認知症です。
オーダーを取りに来たのに自分が何しにきたのか忘れたり、注文と異なる料理を運んでくることがよくあるのだそうです。
普通のレストランであればクレームになることでしょうが、認知症の人が一生懸命働こうとしている姿に心打たれたお客は応援したくもなり、心温まったのでしょうね。
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みさき
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