苦手であることは利点、得意であることは欠点?|苦手に向かう心がけ
こんにちは。こころの悩みサポーターのこうへいです。
今回は目次からスタートです。
誰だって得意なことと苦手なことがある
最近、何だか忙しくなってきました。
みんながいろいろな任務を抱えて、様々なことに取り組んでいくことになると、どうしても苦手なことにも取り組んでいかねばならない状況が生まれてきます。
人によって得意なことと不得意なことがありますから、基本的には、それぞれが前向きに取り組めることに向かっていくのがいいと言われます。
ところがそうとばかりは言っておれないのが現実です。
どうしても苦手なことに取り組んでいかねばならない時があります。
苦手なことを前にすると、気持ちが塞ぎ込んでしまいます。
そして次のような様々なマイナスの感情が出てくるかもしれません。
「どうして自分がやらなきゃならないんだ。得意な人がやればいいじゃないか」
「得意な人はいいな。どうして自分は苦手なんだろう」
「もうどうしようもないよ。仕方ないじゃん、苦手なんだから」
得意な人や上手く出来る人はいいな、苦手な自分はダメだ。
こう感じる人が多いかもしれません。
『徒然草』の意外な言葉「優れていることが欠点」
日本の三大古典の一つである『徒然草』には、
他人よりも優れていることは、大きな欠点である
と述べられています。
これはどういうことでしょうか。
『徒然草』の167段の一部を現代の言葉で紹介します。
他人よりも優れていることは、むしろ大きな欠点だといっていいでしょう。
地位が高い、家柄がよい、才能がある……などと、他人よりも自分は優れていると思っている人は、たとえ言葉に出さなくても、心の中に、「慢心」という非常に恐ろしい悪が潜んでいるのです。
「他人よりも自分が上だ」「偉いんだ」「才能があるんだ」という思いが出てきたら、慎むべきであり、忘れるべきなのです。人から「馬鹿じゃないか」と見られたり、ひどく非難されたり、災いを呼び寄せる原因は、ひとえに、この慢心にあるのです。
一つの道を本当に究めた人は、どこまで向上しても、「これで完成した」とは思えません。常に自分の欠点を明らかに知らされていますから、目標に向かって努力を続けます。だから最後まで自慢することがないのです。1万年堂出版『こころ彩る徒然草』(木村耕一著)より
得意な人は「自分はできるのだ」という心になり、努力を怠りがちになってしまう危険性があります。
「自分はできる」と思えば、そこで成長は止まってしまいます。
反対に、苦手だと感じている人は、真剣に工夫をし、努力しようとしますから、大きく向上し自己を磨くことができるのです。
その姿と心がけは、『徒然草』で言われる“道を本当に究めた人”にも通ずる姿です。
憧れの先輩も苦手があるから輝いていた
私は他人と話をすることが得意ではありません。
ある程度まで縁が深くなると、余計なことを言ってしまうほど、話ができるのですが、初対面の相手やそこまで親しくなっていない人と話をするのは苦手です。
私の学生時代の先輩に、初対面の人にも積極的に声をかけ、すぐに打ち解けて話をすることのできる人がありました。
その先輩を私はいつも羨望(せんぼう)のまなざしで見ていました。
ある時「先輩は初対面の人とそんなに話ができてすごいですね」と私が言うと、先輩は「僕は本当は初対面の人と話をするのは苦手なんだよね」と答えたことがありました。
私が信じられないという表情をしているのを見た先輩は、
「初対面の人と話なんてできない自分だから、どういうように声をかけたらいいか、どんな話題がいいのか、常に考えているんだよ」と教えてくれました。
苦手だから努力や工夫が出てくる。努力をするから向上できて、良い結果が返ってくるのだと知らされます。
「他人よりも優れていることは、大きな欠点である」との『徒然草』の言葉を借りれば、
苦手であることは、すばらしい長所になりうると言ってもいいかもしれません。
まとめ
苦手なものは苦手、好きになれと言われても難しいでしょう。
苦手なことに取り組まねばならないとなったなら、努力し向上するチャンスと捉えてみてはいかがでしょうか。
本当に苦しくて倒れそうになったら、助けを呼べばいいと思います。
自分の心と向き合いながら、取り組んでみてはいかがでしょうか。
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こうへい
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