「生まれてこなければよかった」は大間違い|仏教で言われるその理由は?
こんにちは。こころの悩みサポーターのこうへいです。
先日、大学時代の友人に子供が生まれたと聞きました。
心から「おめでとう」と言わずにおれません。
SNSにアップされていた友人の満面の笑顔に、我が子が生まれた喜びの大きさが表れていました。
その一方で、インターネットやSNSを見ていると「生まれてこなければよかった」という声がちらほら見られます。
今が苦しく、未来に対する明かりが見えない中で、「生まれてこなければよかった」と嘆く気持ちはよく分かります。
そこで今回は、仏教では「生まれてこなければよかった」というのは大間違いだと教えられていることを、仏教のお言葉からお聞きしたいと思います。
比較してみると「生まれたことは喜ぶべきこと」
平安時代に活躍なされた高僧・源信僧都(げんしんそうず)に次のような言葉があります。
まず三悪道(さんあくどう)を離れて人間に生まるること、大きなる喜びなり 『横川法語(よかわほうご)』
このお言葉は、かけがえのない人間に生まれたことを喜んでおられるお言葉です。
三悪道(さんあくどう)とは、ものすごく苦しい3つの世界のことです。
その3つの世界とは畜生界、餓鬼界、地獄界の3つです。
畜生界は、犬や猫、動物の世界のことです。弱肉強食の境界(きょうがい)で、常に不安におびえている世界です。
餓鬼界は、食べ物も飲み物も皆、炎となって食べられず飲めもせず、飢えと渇きで苦しむ世界だと説かれています。
地獄界は、最も苦しみの激しい世界だと教えられています。
その中の1つに等活地獄という地獄がありますが、「人間界の九百万年を一日一夜とし、五百歳の寿命を持つ」とされます。ここに堕ちた人は「悉く手に鉄の爪を生じ、互いの肉を破り合う」と説かれています。
三悪道(さんあくどう)の苦しみと比較をすると、三悪道(さんあくどう)に生まれずに、人間に生まれたことは喜ばねばならないことなのだとつくづく思います。
源信僧都(げんしんそうず)は、人間に生まれたことの有難さが分からない私たちに、三悪道(さんあくどう)の苦しみと比較されて、生まれ難い人間に生まれた喜びを分かりやすく教えられています。
源信僧都(げんしんそうず)がこのように教えられたのは、仏教を説かれたお釈迦さまが生まれがたい人間に生まれた喜びを教えておられるからです。
「生まれがたい人間に生まれてよかった」お釈迦さまの宣言
人身受け難し 今已に生く
お釈迦さまのお言葉にこのようなお言葉があります。
「人身」とは私たち人間のことです。
「人身受け難し」とは、「人間には生まれ難い」という意味です。
人間界に生を受けることは、どれほど有り難いことなのでしょうか。
次のようなエピソードが残っています。
あるとき、お釈迦さまが阿難というお弟子に、
「そなたは人間に生まれたことをどのように思っているか」
と尋ねられました。
「大変喜んでおります」
と阿難が答えると、お釈迦さまは次のような譬えをお話しになっています。
「果てしなく広がる海の底に、目の見えない亀がいる。その盲亀が、百年に一度、海面に顔を出すのだ。
広い海には一本の丸太ん棒が浮いている。
丸太ん棒の真ん中には小さな穴がある。
その丸太ん棒は風のまにまに、西へ東へ、南へ北へと漂っているのだ。
阿難よ。百年に一度、浮かび上がるこの亀が、浮かび上がった拍子に、丸太ん棒の穴にひょいと頭を入れることがあると思うか」
聞かれた阿難は驚いて、
「お釈迦さま、そんなことはとても考えられません」
と答えると、
「絶対にないと言い切れるか」
お釈迦さまが念を押される。
「何億年かける何億年、何兆年かける何兆年の間には、ひょっと頭を入れることがあるかもしれませんが、無いと言ってもよいくらい難しいことです」
と阿難が答えると、
「ところが阿難よ、私たちが人間に生まれることは、この亀が、丸太ん棒の穴に首を入れることが有るよりも、難しいことなんだ。有り難いことなんだよ」
と教えられています。
このたとえ話は盲亀浮木(もうきふぼく)の譬えと言われています。
人間に生まれるということはこんなに難しいことなのかと思われると思います。
このような生まれがたい人間に生まれたということは、人間に生まれなければ果たすことのできない大事な目的があるということだとお釈迦さまは仰っておられます。
そして、その大事な目的を果たしたときに、「生まれてきてよかった」と心の底から喜べるのだと教えられます。
この目的はどんな人でも果たすことができるから、みんなに知ってもらいたいとお釈迦さまはこの人間に生まれてきた目的を説き続けられました。
まとめ
「生まれてこなければよかった」と悩んでいる人は、ぜひお釈迦さまのお言葉を聞いてもらいたいと思います。
そして願わくば「生まれてきてよかった」と喜べる身になってもらいたいと思います。
「生きるよろこびをすべての人に」を企業理念に掲げる弊社では、出版事業のほかにも移動映画館での上映会を行っています。
今日も全国で生きる喜びを届けています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
移動映画館で「心の復興」を届けよう!|チューリップ企画の事業とは
こうへい
最新記事 by こうへい (全て見る)
- 醜いねたみの心に悩む青年が心惹かれたのは仏教だった - 2018年12月30日
- 高齢者の孤独が犯罪を生む|お釈迦さまの示す孤独を生きる力 - 2018年11月17日
- いつの時代も変わらぬ願い「自由に生きられたら幸せ」は本当か - 2018年11月10日