組織のチームワークで悩んでいませんか?チームワーク能力5つの要素
こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
組織のリーダーは本人の能力だけでなく、チームをまとめる能力も求められます。
しかし組織は友人関係で集まっているわけではありませんから、仲の良し悪しが出てきます。
「能力は高いはずなのにチームワークで損してるなぁ」
「なんかうちのチーム、空気が重いんだけど」
「チームワークなんて言葉は我々の辞書には無い、無い…」
こんな悩みを持っていないでしょうか。
あなたはきっと何かのチームに所属していると思います。
学校なら部活のチーム。
職に就いていれば会社組織がチーム。
現役引退していれば町内会やサークル活動、ボランティア活動などもチームです。
それらチームの中でもリーダーやまとめ役をしているという方もあるでしょう。
人が集まって何らかの目標に向かったときに発生するのがチームワークです。
ただの遊びならばチームワークなど関係なしに、てんでバラバラにやっていてもいいですが、スポーツ大会で優勝する、ビジネスを成功させるなどになれば好き勝手にやっていては戦えません。
孫子の兵法の勢篇には「善く戦う者は、之(これ)を勢に求めて、人に責(もと)めず」とあります。
意味は「戦上手な将軍は、集団の力で戦い、個人の力で戦わない」ということです。
チームの中には優秀な人もいればそうでない人もいます。
なので個々に任せれば優秀でない人が足を引っ張って全体に悪影響を与えてしまいます。
そのため組織力を高め、チームワークを良くして集団の力で戦うよう孫子は説いています。
しかし、組織に集まった人は色々な人がいますので放っておいてはチームワークは良くなりません。
どうすれば組織のチームワークを良くして、より高い力を発揮できるのでしょうか。
この問題について研究した2つの論文
1.「企業組織において高業績を導くチーム・プロセスの解明」
2.「個人のチームワーク能力を測定する尺度の開発と妥当性の検討」
を元に考えてみたいと思います。
目次
チームワークとコミュニケーション
1つめの論文では複数の企業のチームに、チーム内での行動と業務成績に関するアンケートを取り、分析しました。
その結果、
- ・わからないことがあれば同僚に気軽に尋ねている
- ・日常の業務の中で、遠慮すること無くコミュニケーションを取っている
- ・仕事に直接関係ないコミュニケーションや挨拶・声かけをひんぱんに行っている
などのチーム内でのコミュニケーションが豊かだと、
- ・目標を達成するための道筋が明らかになっている
- ・仕事のやり方などで間違っているメンバーがいたら、それを本人に伝えている・他のメンバーの仕事の状況・進み具合について、常に注意を払っている
- ・仕事を遂行する上でのコツや知識・技術の向上に向けた情報を伝え合っている
など、目標に向かってのチームワークが良い傾向があり、チームワークが良いと成績が良いことがわかりました。
チームワーク能力の5つの要素
コミュニケーションが豊かだとチームワークが良くなり、成績が良くなることはわかりました。
しかしコミュニケーションを良くするにはどうすればいいのでしょうか。
ここで2つめの論文を元にコミュニケーションについて詳しく見てみましょう。2つめの論文ではチームワーク能力は
- コミュニケーション能力
- チーム志向能力
- バックアップ能力
- モニタリング能力
- リーダーシップ能力
によるもので、チームワーク能力が高ければチームの成績が良くなるとしています。
1つめの論文で「コミュニケーションが豊か」と言われていたことは2つめの論文では「チームワーク能力が高い」と言い換えることができます。
「コミュニケーション能力」は、チーム内の人に自分の考えを適切に伝え、また他の人の考えを適切に読み取る能力のことです。これは他の4つの基礎となる能力です。
「チーム志向能力」は、自分の目標よりもチームの日標を優先させて、組織の他のメンバーとの対立を避け、一緒に目標に向かうことを重視する能力のことです。
「バックアップ能力」は、他のメンバーを励ましたり、助言や手助けをする能力のことです。
「モニタリング能力」は、チームの今の現状を把握し、他のメンバーの様子を観察して、状況に応じて自分の行動を調整していく能力です。
「リーダーシップ能力」は、メンバー同士の情報交換を促したり、組織の目標を達成できるよう他のメンバーに働きかける能力のことです。
論文内にはそれぞれの能力に対して多くの項目が載っています。
その中から少し例に出しますと
コミュニケーション能力の具体例
- ・話をしているときに、相手の表情のわずかな変化も感じ取れる
- ・表情が豊かである
- ・自分が不愉快な思いをさせられても、はっきりとは苦情を言わない
チーム志向能力の具体例
- ・メンバーと意見の不一致が生まれないようにする
- ・多少イヤでもメンバーと歩調をあわせる。
- ・チームの調和を保つことが自分にとって重要だと思う
バックアップ能力の具体例
- ・メンバーが落ち込んでいるときに励ます
- ・メンバーに問題の解決方法を教える
- ・仕事が終わらないメンバーがいたら手伝う
モニタリング能力の具体例
- ・仕事中は内容を理解しているかどうかメンバーと確かめながら行う
- ・リーダーのアドバイスを聞いて、自分の意見を考え直す
- ・話し合いではメンバーの意見と自分の意見を比べながら聞く
リーダーシップ能力の具体例
- ・自分からお手本を見せて指導する
- ・メンバー全体がなじめるような雰囲気を作る
- ・チームの問題に対して、自ら対処する
これらの例に対してあてはまる項目が多ければチームワーク能力が高く、少なければチームワーク能力は低いということになります。
もし「自分はチームワーク能力が低いんじゃないか」と思われた方はこれらの項目に注意しながら組織のメンバーと接するようにしてはどうでしょうか。
また「うちの組織はこれができていない」と思われる項目がありましたら、自ら率先垂範することをおすすめします。
自利利他(じりりた)と我利我利(がりがり)
仏教では「我利我利(がりがり)では自分が不幸になりますよ。幸せになりたければ自利利他(じりりた)に心がけなさい」と教えられます。
自利利他とは「他人を幸せにするままが、自分の幸せになる。まず他人を幸せにしよう」という利他心です。
我利我利とは「自分さえ良ければいい、他人なんてどうなってもいい」という利己心です。
上で挙げた具体例はどれも、相手のことを考えた行動です。
相手がどんな顔をしていても平気で言いたいことを言い、やりたくないことはチーム内で決まったことでもやらず、メンバーが困っていても助けず、自分の意見ばかり主張し、チーム内の問題の解決は誰かに押し付ける。
このような我利我利(がりがり)の行動を取っていればチームワークはガタガタで、目標を達成することができず、結局自分が苦しむことになります。
自分さえ良ければいいという我利我利な心を捨てて、自利利他(じりりた)の心でみんなで目標に向かっていけたらいいですね。
まとめ
チームワークは円滑なコミュニケーションにより生まれ、チームワークから目標に対して一緒に向かう意識が生まれて、より良い成果が出ます。
そのコミュニケーションは細かく分けると「コミュニケーション能力」「チーム志向能力」「バックアップ能力」「モニタリング能力」「リーダーシップ能力」の5つになります。
これらの根底にあるのは「みんなのために自分のできることをしよう」という利他の心です。
自利利他についてはこちらの記事でも紹介しています。
→ギブアンドギブの意味は?|ギブアンドテイクよりギブアンドギブを!
こんぎつね
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