職場の人間関係でストレスを感じた時の対処法6選|職場ストレス解消
私たちが職場で過ごす時間は、朝から晩まで1日の大半を占めますので、職場での人間関係が上手くいくかどうかは、人生の明暗を左右するほどの影響があるといえるでしょう。
誰もが上手くやっていきたいと思うものの、パワハラやセクハラ、モラハラなどが社会問題ともなり、苦しんでいる人も少なくありません。
そこで今回はさまざまな角度から職場での人間関係のストレスの原因を明らかにし、どうしたらその原因を解消し、職場での人間関係がうまくいくようになるか、その方法を紹介していきます。
職場の人間関係で苦しんでいる方が、この記事を読まれて少しでも心の痛みが軽減されれば、それほど嬉しいことはありません。
①職場の人間関係がストレスになる原因
職場の人間関係に疲れるのは、嫌われたくない心が強いから
職場の人間関係が疲れると悩むのは、嫌われたくないという心が強いからだと言われます。
嫌われたくないと思っているから、上司や同僚、部下の自分に対する接し方がものすごく気になるのです。
この嫌われたくという心は、仏教では名誉欲と教えられます。
そして、この名誉欲が大きな山のようにあり、それに振り回されているのが人間だと言われています。
鎌倉時代に仏教を多くの人に伝えられた方として知らされる親鸞聖人(しんらんしょうにん)は、ご自身のことを
名利の大山に迷惑し 『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』
と言われています。
名は名誉欲で、嫌われたくない、よく思われたいという心のことです。
利は利益欲で、お金や物が欲しいという心のことです。
大きな山ほどの名誉欲と利益欲に朝から晩まで振り回されているとご自身のことを仰っておられます。
嫌われたくないという心は、誰もが持っているものであり、なくすこともできなければ、少なくすることもできないものなのだと教えられるのです。
今の仕事をやめて、職場を変われば、人間関係の疲れはなくなるように思う人もおられますが、職場が変わっただけでは人間関係の悩みは尽きないのではないでしょうか。
嫌われたくない心と向き合うことについては、下記の記事に詳しく書いていますのでご参照ください。
>>>職場の人間関係に疲れると悩んだら|嫌われたくない心と向き合おう
なぜ人間関係でストレスを感じるのか
職場の人間関係において、なぜストレスを感じてしまうのでしょうか。
アドラー心理学の書『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社・岸見一郎(著),古賀史健(著))に次のような話が書かれています。
自分の周りに10人いるとすると、その中の2人は自分を好きになってくれる人、7人は好きでも嫌いでもない人、残りの1人は自分のことを嫌う人、だと言われています。
ストレスを感じる人でよくありがちなのが、嫌われたくないという心理から自分を嫌いに思う1人に対して、どうにかして好かれようと尽力してしまう、ということです。
その1人はどれだけ頑張っても自分のことを好きになってくれない人なのにも関わらず、何とか何とかと嫌われないようにと気をかけてしまい、気苦労ばかり積み重なってしまうのです。
頑張ったら頑張った分、自分に好意を持ってくれてもよいのに…と考えますが、悲しいかな、その1人はどう頑張っても好きになってくれず、それがストレスになっていってしまいます。
職場での人間関係とストレスとの関係
(参考:職場の人間関係と就労者の心理的ストレスの関連 : パーソナリティの調整効果についての検証)
こちらの調査では、ストレス反応と職場の人間関係などに関する質問を社会人に尋ね、得られた回答を分析しました。
その結果、自己志向性の高低はストレスの高低に直結し、協調性が低い人は上司への満足度が高いと職場でのストレスが軽減されることがわかりました。
ストレスと最も関係が深いのは自己志向性です。
自己志向性とは自分に対して自信、自尊感情、自己肯定感を持ち、自分で決めた目標に向かって進んでいく性質のことです。
また協調性のある人は、寛容、同情的、協力的であるとされています。
あなたが協調性のある人ならば上司との人間関係とストレスとはあまり関係ありませんが、協調性が低い人ならば上司との人間関係はストレスと関係があります。
一方、職場の人間関係は直接的にストレスにつながりませんでした。
この研究結果から考えられることは、職場の人間関係は表面上はストレスの原因のようですが実際はストレスの本当の原因ではなく、本当の原因は自分の中の「自己志向性」にあるということです。
②職場の人間関係のストレスへの対処法
あきらかに観ることがストレス軽減法
どうすれば職場の人間関係におけるストレスを少なくすることができるのでしょうか。
それは、全ての人に好かれようとしても無理である、とあきらかに観ることです。
もう少しこうしたら、あんなことをしたなら、と考えて、何とか何とかと対応しますが、結局思うようにいかず、それがストレスになってしまいます。
あまり受け入れたくない内容ではあるのですが、それが人間ですのでどうしようもできません。
しかしそれをあきらかに受け止めることがストレスをやわらげる方法です。
ストレスをあまり感じない人は、どう頑張っても自分を嫌う人があれば、その人は自分を好きになってくれない人だとみて、その人に対して尽力しません。
もっと別の自分の応対によって好きにもなり嫌いにもなる人に対して、どうすれば好きになってもらえるだろうかと、そこに注力します。
また、自分を好いてくれる人を大切にすることで、多くの人に好かれるようになっていきます。
良好な人間関係を築くことができれば、ストレスを感じることも少なくなっていくことでしょう。
職場の人間関係が少し楽になる3つの方法
①ストレスの元になる人を反面教師にする
職場の人間関係でストレスを抱えるのは、自分と気の合わない人がいるからでしょう。
嫌がらせをしてくる相手はその最たるものです。
「そんな相手には仕返ししてやりたい!」誰もが思うところです。
しかし、相手のしてきた嫌がらせに対して、自分も同じことをしてしまうと、自分の株を落とすことになってしまいます。
ストレスの元になっている人は、反面教師にして、自分は逆に人を喜ばせる行いを心がけていきましょう。
②仕事に一生懸命取り組む
できれば仕事を続けたいと思っているあなたは、その仕事が好きなのでしょう。
それなら、職場にいる間は仕事に一生懸命取り組むのがよいと思います。
仕事に一生懸命取り組んで文句を言う人はいません。
取り組むほど、自分のスキルは上がっていきますので、そのことで自分を認め、味方になってくれる人がきっと現れると思います。
③ありのままに受け止める
たくさんの人間がいれば、自分と合う人も合わない人も必ず出てきます。
どんな人もそれは同じです。
そして、どの職場に移ったとしても、それは同じだと思います。
相手の性格や考え方を変えるのは難しいですが、自分の考え方を変えるのは意識すれば簡単にできます。
「嫌だ」と思う前に、一旦その状況を客観的に見てみましょう。
「何も特別なことじゃなく、最初からこういうものだ」と思えば、少し気が楽になるかもしれません。
自己志向性を高めるには
自己志向性を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。
「自尊感情や自己肯定感に関する研究 – 東京都教職員研修センター 」を参考に自尊感情を持つための5つの観点を問いにしました。
- 「今日、がんばったことは何か」
- 「今日、人の役に立った行動は何か」
- 「今日の行動の中で、自分なりに考えてやった行動は何か。またそれに対して他の人はどう言ったか。なぜそう言ったと思うか」
- 「今日誰かに感謝したいことは何か」
- 「今日努力して上手くいったことは何か」
これらの考え方を育成していくときにおすすめなのは、自分で自分にそれぞれの項目に対して今日どうだったかを問いかけ、紙に書くことです。
これら5つの問いの答えを週に2~3日でいいので、紙に書いて残しておきましょう。
これを続けるとだんだんと自尊感情、自己肯定感が高まっていきます。
自己肯定感が育まれた状態で、自分で決めた目標に向かっていけば、自己志向性が高まっていきます。
そして職場の人間関係でストレスを感じることが少なくなっていきます。
ストレスに対する考え方を変える
上記の自己肯定感を高める方法は効果は高いですが、時間がかかるという欠点があります。
短期間でストレスを解消したいときに役立つのが、健康心理学者のケリー・マクゴニガル博士のストレスに関する提案です。
ケリー・マクゴニガル博士はストレスへの対処について、以下の3つのステップを勧めています。
その1
「いま自分にはストレスがかかっているな」と冷静に受け止める。
その2
次に、「このストレスがあるということは、まさにいま、脳と体がわたしを応援しようとしてくれているんだ」と考える。
その3
そしてそのまま、自分のストレスを「利用できるエネルギーだ。このエネルギーを使って、どんなことをしよう?」と思い、この後の行動を決める。
(参考:「わたし」を肯定する研究。- ほぼ日刊イトイ新聞 )
このほかに、家族や友人とスキンシップを取ることもストレスによる消耗から回復させる力があります。
スキンシップを取れる相手がいなければ、誰かと直接交流することも効果があります。
それもできなければSNS上でのやり取りでもいいです。
また、思いやりをもって誰かと接したり、誰かに相談に乗ってもらうことでもストレスが緩和されます。
嫌われたくない心と向き合って心穏やかに
職場の人から嫌われたくない心とどう向き合えば、心穏やかに過ごせるのでしょうか。
嫌っている人がいても、どうせみんな死んでいく
会社の同僚が、小学生の娘さんが人間関係で元気をなくしていたので、あるアドバイスをしたら元気になったそうです。
それは
「その人もやがて、みんな死んでいくんだから、気にしても仕方がないよ」
というアドバイスだったそうです。
嫌っている人がいても、私は私で変わらない
私たちは嫌われると悲しくなり、良く思われるとうれしくなります。
しかし他人からの評価によって、私自身は変わらないのではないでしょうか。
私自身が全く変わらないのに、他人から嫌われると言って落ち込んだり、好かれていると言って有頂天になるのは、滑稽(こっけい)なことでしょう。
他人からどう思われるかよりも、自分が今やるべきことをしっかりとやり、自分が向上することが大事ではないでしょうか。
私は嫌われないために生まれ生きているの?
職場の人間関係に悩んだ時に、考えてもらいたいのは、「私は上司や同僚から嫌われないために、良く思ってもらうために生まれてきたのだろうか、生きているのだろうか?」ということです。
職場の人に嫌われないために生きているのではないとすると、時間は限られていますから、職場の人間関係を気にするあまりに疲れ果ててしまってはもったいないことになりはしないでしょうか。
職場にいる「苦手な人」との人間関係を良くする3つの対処法
1.プラスに目を向ける
好きな人のことは、一般的には短所と思われることであっても、長所の面から見ることができます。
反対に、 嫌いな人・苦手な人のことは、たとえ正論であっても素直にうんと言えない、短所ばかりに目を向けてしまいがちです。
しかし、短所ばかりに目を向けていると、職場の人をどんどん苦手になり嫌いになって、ささいな言動がストレスになり、結局、職場での居心地が悪くなり疲れてしまうのは自分自身です。
そういう時は、あえて プラスの面から見るように努力してみましょう。
・おせっかいな人は「面倒見が良い」と思うようにする。
・寡黙な人は「思慮深い」と思うようにする。
・神経質な人は「細かいところまで気がつく」と思うようにする。
・大雑把な人は「おおらか」と思うようにする。
・容量が悪い人は「丁寧に仕事をしている」と思うようにする
など、 プラスの面から見るだけで、相手の言動で嫌だなと思うことは少なくなります。
2.学べる所を探す
「賢い人は何人からも学び取る」と言われますが、職場にいる苦手な人にも学べる点はあるはずです。
むしろ、苦手な人にこそ、自分にはない能力や長所があったりするものです。
たとえば、なんでもテキパキと素早く行動したいという人は、慎重で行動が遅い人に対してイライラすることがあります。
しかし、慎重な人は物事の全体像を俯瞰(ふかん)してから、段取りを立てて、一つ一つの仕事を丁寧にする傾向にあります。
素早く仕事を進める姿勢は大切なことですが、慎重で行動が遅い人に対して、もし不満を持つのであれば「慎重に丁寧に仕事をする姿勢を学ぼう」というように気持ちを切り替えることをおすすめします。
職場にいる苦手な人からも学んでいけば、自分にはないノウハウや思考法がどんどん蓄積され自己成長に繋がります。
悪いところは反面教師にしましょう。
3.人間の幅を広げるチャンスと感謝する
自己防衛本能から変化を恐れるのが私たちです。
それは人付き合いにも言えます。
職場の苦手な人は、耐性がない人だといえましょう。
耐性がないなら少しずつ鍛えれば良いのではないでしょうか。
どんなタイプの人とも上手にコミュニケーションを取れる人は、どんな人にも関心を持って積極的にコミュニケーションを取っているので耐性があるのでしょう。
攻略が難しそうなタイプの人と上手にコミュニケーションできるようになれば、あなたの人間の幅はだいぶ広がっているはずです。
どんな人とのご縁も「一期一会」です。
似たような意味で「会者定離(えしゃじょうり)」という仏教の用語があります。
出会ったならば、必ず分かれる時が来るという意味です。
職場の人間関係がストレスになり、会社を辞めたいと思うほど悩まれていても、その相手とも会者定離です。
いつかは必ず分かれる時が来るのですから、嫌な思い出を積み重ねるよりも、何か理由を見つけてその相手に感謝できる思い出を積み重ねていった方が、過去を振り返ったときに苦しまず喜べるのではないでしょうか。
③職場の人間関係がストレスが限界だと感じたときは?
会社を辞める?辞めない?
職場の人間関係にストレスを感じるようになると、私たちには一つの考えが浮かびます。
会社を辞めるということです。
職場を離れれば、今まさに悩んでいる人間関係からは離れることができますので、手っ取り早く解決ができるでしょう。
だからこそ、すっぱりと決断して辞めていく人もいますが、一方で悩む人もいます。
職場を辞めるべきか、それとも続けるべきかで揺れ動いているのです。
なぜ悩むのでしょう?
会社を辞めたところで新しい就職先が見つかるか分からない。
新しいところでも人間関係に悩むことがあるかもしれない。
新しい職場で1から仕事を覚えるくらいなら、今の仕事を続けた方が見込みがある。
新しいところに行けば給料の面でも1からのスタートだけれど、今の職場にいれば給料は心配ない。
職場の人間関係のストレスから離れたいということの他に、会社を辞めることのリスク、会社を続けることのメリットも頭にあるからではないでしょうか。
会社を離れることと、人間関係のストレスに立ち向かうこと。
どちらの方が自分にとって都合が良いのか、今一度考えてみることも大切です。
辞表を書く前にしてほしい3つのこと
1 有休を使用する
気分転換や気持ちの整理の為に時間を置く事は大切です。積極的に有休を使用することをオススメします。
趣味や旅行に行ったり、買い物をしたり、自分の為に時間を使うことで、心に余裕が生まれるため、上司や同僚との向き合い方にも変化があるかもしれません。
2 スキルアップ
まず、目の前のできることをしていきましょう。
具体的には、業務の効率化や資格試験の勉強、ビジネスセミナーの受講などです。
一見、人間関係の問題とは何の関係ないようにも思えますが、スキルの取得によって、会社や周囲の評価も変わります。
また、万一、転職する場合にも、スキルや業務経験は有益なものになりますので、悩んでいるときこそ、技能研鑽(けんさん)をするべきなのです。
3 割り切って考えてみる
上司や同僚との関係はあくまで仕事上の関係と割り切って、ドライに考えてみることはできないでしょうか。
多くの場合、人間関係の問題は「妬み」や「自尊心」からくるものです。
なので、褒められても喜ばず、叱られても腐らず、亀にでもなったつもりでどっしりしていれば、他人が付け入るスキはありません。
できれば人間関係は良好に保ちたいものですが、できないならば切り捨ててしまうのも自分を守る方法の一つです。
④まとめ
私たちは「すべての人に好かれたい心」があるので、人間関係のストレスは人生につきものです。
「職場のあの人とは仲良くなれない」というストレスは自然なことなんだ、と受け止めてみてはいかがでしょうか。
そして人からどう思われるかのストレスを今回紹介したような発想転換をして、自己のスキルアップに力を注ぎたいですね。
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