ボランティアなんて無意味?ボランティアで得られる3つの効果
こんにちは。暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
最近Facebookを見ていたらミルクボランティアというものがあることを知りました。
ミルクボランティアとは、生まれたばかりで捨てられ、保健所や動物愛護センターに保護された子猫が自分でキャットフードが食べられるようになる生後約2ヶ月まで、自宅でミルクを与えて育てるボランティアだそうです。
ペットとして一生面倒を見る必要はなく、都合が付けられる期間にかわいい子猫と一緒に過ごせるミルクボランティアですが、誰でもミルクボランティアになれるわけではなく、研修を受けること、4時間以上留守にしないこと、決められた期日に動物愛護センターに健康確認のために連れて行くこと、などいくつかの条件を満たせる人だけと定められています。
ミルクボランティアに限らず、世の中にはたくさんのボランティアがありますが、あなたはボランティア活動をどう思われるでしょうか。
「時間も体力も使うのにお金をもらえないなんて意味ないよ」
と思われる方もあるかもしれません。
ですが、ボランティア活動には相手だけでなく自分も幸せにする効果があることがわかっています。
中高年者のボランティアに焦点を当てたこちらの論文を参考に、ボランティアの効果について紹介します。
ボランティアの3つの効果
この論文では2つの調査を行っています。
まず第1の調査では老人福祉施設でパソコンを教える中高年ボランティア(平均年齢62歳)に対する観察、聞き取り調査を行い、どんな意味があると思ってボランティアをしているのかを調べました。
すると以下の3つの効果を実感していることがわかりました。
- 利他的精神の高まり
- 人間関係の広がり
- 人生への意欲の高まり
それぞれ具体的にしますとこのようになります。
利他的精神の高まり
- 人や地域に貢献しようという気持ちが芽生えた
- 日常生活の中で人との対応が好ましい方向に変わった
- 自分にできることで社会と関わり、人の役に立つことができた
- 対象者の幸福・安寧のための新たな目標ができた
人間関係の広がり
- 活動そのものが楽しめた
- 仲の良い友達ができた
- 新しい出会いがあり、人間関係の輪が広がった
- 対象者や他のボランティアから様々なことを教えられ勉強になっている
人生への意欲の呼び起こし
- 「もっと~したい」など自分自身を高める目標が生まれた
- 気持ちの充足感が生まれた
- やりがいが生まれた
このようにボランティアの意味を実感していたそうです。
ボランティアは無意味とは言えないでしょう。
それぞれの効果の関係
第1の調査で判明したボランティアの意味の実感が他の様々なボランティアでも当てはまり、それぞれの効果がどのようにして起こるのかを調べたのが第2の調査です。
その結果、介護用品製作、デイサービスの手伝い、老人給食調理、一人暮らし高齢者の介助、昔ながらのおもちゃ作りなどの様々なボランティアでも同様の効果が得られました。
また3つの、ボランティアの意味への実感について、
「利他的精神の高まり」は、
- 「私の活動は、相手の役に立っている」と思う気持ち
- 「私の活動は、社会の役に立っている」という気持ち
のどちらもが影響しており、それらが強いボランティアほど他人を幸せにしたい気持ちを強く持っていることがわかりました。
「人間関係の広がり」は、
- 「私の活動は、相手の役に立っている」
という気持ちが影響しており、この思いが強いボランティアほど、人間関係が広がっていると思っていることがわかりました。
「人生への意欲の呼び起こし」は、
- 「私の活動は、相手の役に立っている」と思う気持ち
- 「私の活動は、社会の役に立っている」という気持ち
のどちらもが影響しており、それらの気持ちが強いボランティアほど新しい人生の意味を実感していることがわかりました。
他の分析を重ねますと、まず他人を助けることから「他人の役に立っている」と実感して「利他的精神の高まり」が生まれます。
次に、新たな人間関係からさまざまなことを吸収し活動そのものを楽しむことができる「人間関係の広がり」が出来て、最後に活動を通じてやりがいが生まれ、自分自身を高めようと奮起する「人生への意欲の呼び起こし」が起こっていました。
ボランティア活動は無意味な骨折り損などではなく、自分が他人や社会のための役に立っているという実感、新しい人間関係作り、人生への充実感などが生まれる、する側もされる側も得をする活動だったのです。
お釈迦さまが勧められた身施(しんせ)
自分の体を使って人のため、社会のために無償で働くことを仏教では身施(しんせ)と言われます。身体の布施(布施とは親切のこと)、ということです。
仏教を説かれたお釈迦さまは
「幸せになりたければ悪いことはやめて、良いことをしなさいよ」
と教えられましたが、具体的な善の1つが身施(しんせ)です。
単に「自分の労働力を使って他人を幸せにしなさいよ」だけならよく聞きますが、「自分の労働力を使って他人を幸せにしなさいよ。そうすればあなたが幸せになれますよ」と教えられたのがお釈迦さまです。
そしてお釈迦さまが教えられた通り、上の調査によるとボランティアをしている人はそれにより幸福を実感していることがわかります。
まとめ
- ボランティアは無意味な活動ではなく、
- 利他的精神の高まり
- 人間関係の広がり
- 人生への意欲の高まり
という効果をもたらします。
- これらは「私の活動は、相手の役に立っている」と思う気持ちと、「私の活動は、社会の役に立っている」という気持ちから生まれます。
- お釈迦さまは幸せになりたいなら自分の体を使って人のため、社会のために無償で働くことを善の1つとして勧められました。これを身施(しんせ)と言います。
- お釈迦さまの言われる通り、身施をすることで相手も自分も幸せになれることが調査によりわかりました。
お釈迦さまは他にも様々な善を勧められています。
その内の1つが場所を譲り合う親切である床座施(しょうざせ)です。
床座施について、こちらの記事で紹介しています。
→車間距離40mで渋滞知らず?|渋滞学が教える譲り合いの精神
こんぎつね
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