イライラはぶつけるのもダメ!抑えるのもダメ!じゃあ正解は?
こんにちは。暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
あなたは誰かの言動にイライラしたときにどのように行動するでしょうか。
「イライラさせた相手に抗議する」
「イライラしているのが分かると人間関係が壊れるから抑えて平静を装う」
「イライラを人やものにぶつけて八つ当たりする」
イライラするのは健康に悪いとよく言われますし、イライラした人が近くにいると周りの雰囲気が悪くなります。
お釈迦さまは怒りの心は悪い結果をもたらすので、悪い心だから怒らないようにしましょうと教えられています。
ですが、イライラを表に出さない方がよいとは分かっていても、抑えられないことがよくあります。
なるべくイライラを他の人にぶつけない方がよいのですが、どうしても誰かに言いたい、話したい、わかってもらいたい、とにかく自分の言いたいことをぶちまけたいと思ったときに、どのようにイライラを向けるのがよいのか、こちらの論文を参考に考えてみたいと思います。
(参考:怒り反応傾向と精神的健康および個人内要因との関連)
イライラの向け方による違い
あなたはイライラしたときにどのように反応するでしょうか。
怒りの分け方は心理学者の中でも確定しておらず様々に分けられていますが、この論文ではイライラの向け方について代表的な、以下の3通りに分ける方法を採用しています。
- イライラしても外には向けずに自分の中で抑える(怒り抑制)
- 適切な形で、イライラを相手に伝える(怒り主張性)
- イライラを攻撃的に表してぶつける(怒り表出)
その上で、これら3つのイライラの出し方と
- 心は健康か(精神満足度)
- 生活に満足しているか(生活満足感)
- 社会にうまく適応しているか(社会志向性)
- 自分の能力を発揮して決めた目標に向かっているか(個人志向性)
- 他人に自分の意見を伝えられているか(対人関係における信念・態度)
などとの関係について調べました。
その結果、
- “怒り抑制”の傾向が高い人ほど、家族関係や友人関係に満足しておらず、社会のルールに従わず、自分で決めた目標に向かわず、友人関係は広くて薄い
- “怒り主張性”の傾向が高い人ほど、生活に満足しており、社会のルールに従い、自分で決めた目標に向かっている
- “怒り表出”の傾向が高い人ほど、精神の悪化が身体症状に現れ、不安と不眠の傾向があり、自分で決めた目標に向かわない
ということがわかりました。
イライラの向け方・まとめと考察
結果を通して論文内ではこのようにまとめられています。
- イライラを適切な形で相手に伝えられる人は、いろいろな問題が解決しやすくなり、生活に満足できる環境を自分で整えられるようになると考えられます。
また自分の個性を尊重して自分で考えて行動できますが、他人との共存や社会への適応もできるという、個性化においても社会化においても成熟した大人な人です。
友人関係は少数と深く関わろうとします。 - イライラを外に攻撃的にぶつける人は、心も体も不健康になります。
自分さえよければいいという利己心が強い人です。
自分で目標を決めて向かうことができない人ほどイライラを外にぶつけやすい傾向があります。 - イライラを外に出さずに抑えて我慢してしまう人は、多くの友人と幅広く付き合っていこうという考えを大事にするため、イライラしてもケンカになるのが嫌なのでそれを表に出しません。
その分、「他人とコミュニケーションが十分に取れた」と思えなくなるため、家族や友人との関係に不満を持ったまま過ごすことになってしまいます。
さらに自分の意志が弱く、自分の目標がないため、他人に対して迎合してしまいがちです。
イライラの向け方により生き方まで変わってしまうことがわかります。
イライラしたときには抑えて我慢するのではなく、周りに怒りをぶつけるのでもなく、その場その状況に適した伝え方で相手になぜ自分はイライラしたのかを伝えるのがいいでしょう。
イライラと仏教
先ほど仏教では怒りは悪い心だと教えられると書きましたが、怒りの心を仏教では「瞋恚(しんに)」と言われます。
怒りを他人にぶつけるときには言ってはいけないことを言ったり、やってはいけないことをやってしまいます。
人間関係も立場も焼いてしまう恐ろしい心です。
「瞋恚(しんに)」の反対を「忍辱(にんにく)」と言い、耐え忍ぶことです。
お釈迦さまは「怒りの心は悪い結果を生み出しますよ。悪い結果が嫌ならば、嫌なことがあっても耐え忍びなさいよ」と教えられました。
イライラを外に攻撃的にぶつければ、自分が不健康になったり、人間関係が壊れたりします。
逆に抑えればよいのかと言えば、イライラを抑えて我慢してもいつまでも不満が残ります。
カッと腹が立っても、そこを耐え忍んで「その意見はここがおかしい。それはこういう理由だからだ」と適切に返したいものです。
「そうは言っても腹が立ったら我慢できないよ」という人はとりあえず6秒待ちましょう。
以前思春期の子供を叱るとき怒鳴るのはいいの?|怒鳴って叱る悪影響の記事で紹介しましたが、
自然科学研究機構・生理学研究所の柿木隆介教授は
「怒りの発生と理性の発動には時間的なズレがあります。脳の中で理性の制御をする部位が本格的に働きはじめるまでにかかる時間は3~5秒程度と考えられます」
と言っています。
ですから腹が立ったときには6秒耐えればある程度冷静になれ、攻撃的ではなく主張性のあるイライラの向け方ができるでしょう。
まとめ
怒りの向け方には「イライラをぶつける」「イライラを主張する」「イライラを抑える」の3通りあります。
- イライラをぶつける人は身も心も不健康になります。このタイプは自己中心的で自尊感情が低い傾向があります。
- イライラを適切に伝えられる人は社会のルールに適応し、自尊感情が高い成熟した人です。
- イライラを抑える人は他人に迎合しやすく、コミュニケーションに不満が残ったまま人付き合いをしていくことになります。
以上のことから、イライラしたときには適切に伝えられるようにするのが自分にとっても、相手にとっても幸せなことでしょう。
私は基本的にはイライラを抑えていて、ある時抑えきれなくなってぶつけてしまうことが多いのですが、イライラしたときにはぶつけるのでもなく、抑えるのでもなく、相手にわかるように「あなたのこういうところが、こういう言い方が、こういう理由で嫌に感じました」とその場に応じて適切に伝えられるようになりたいものです。
イライラがストレスになってしまうという方はこちらの記事も参考になると思います。
→まだストレスでイライラしてるの?|ストレス+思いやり=幸せ(前)
こんぎつね
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