若手社員との円滑なコミュニケーションは加点方式【前編】|加点方式コミュニケーションとは?
心穏やかアドバイザーのヒロカズです。
平成22年5月「中学2年生の娘がとても友達関係に気を遣っている。私の頃には考えられない、気の遣いよう・・・」と語った40代のお母さんがありました。
そのお母さんは中学2年生の娘の大人顔負けの人間関係に不安を覗かせていたようです。
小さい頃からインターネットの発達で人間関係を基軸にした価値観を形成してきたと言われる今の若者は立場ではなく人を見て判断する傾向が年々強くなってきていると言われます。
その娘さんも今は21歳。まもなく社会人になろうとしています。
今回は大学を卒業して約20年、18歳から22歳の若者に毎年100人以上接してきた私が、今の20代の特徴と接し方の工夫を紹介します。
それにより若手社員とのコミュニケーションに悩んでいる方のコミュニケーションが円滑になるきっかけになれば幸いです。
目次
減点方式から加点方式へ|現代は加点方式の時代?
「テストの答案にすべて○をつけて返すんですよ」と耳を疑うような話を聞いたのは平成25年の6月。。。塾にアルバイトに行っていた学生と話をしていた時のことです。
詳しく聞いてみると
「間違えたところは生徒に正しい答えを書かせ、再度提出させるんです。その回答に○をつけ生徒に答案を返します。だから、生徒はすべて○のついた答案を毎回持ち帰っています」
この方法でこの塾は同じ系列の塾の中でもダントツの成果を上げているとのことでした。
これが今の中学生を個別指導している塾の実態です。
今から20年前の指導と言えば、間違えたところには大きく×印をつけられたものです。
×印が悔しくて発奮して勉強に打ち込んだことを思い出します。。。
自分の力で×を○に変えることが喜びであり、それが原動力でありました。
私よりも人生の先輩はもっとその想いが強いかもしれません。
いわゆる減点方式です。
ところが、今の20代はインターネットを鍋ややかんのように使う時代を生きてきました。
ネット世界では発言にどれだけコメントがつくか、あるいは「いいね!」ボタンが押されるのかということが評価の基準になります。
いわゆる加点方式の世界です。
今の20代にとって発言に「いいね!」が1つも押されていないというのはゼロではなくマイナス評価の対象になるのかもしれません。
フェイスブックの発達で匿名の世界だったネットの世界は実名へと変わり、ネットとリアルの境界は限りなく不透明になってきています。ネットだけでなく日々の現場でも減点方式から加点方式に大きくパラダイムがシフトしているのが現代社会なのではないでしょうか?
「最近の新入社員は何を考えているかわからん」
「指示を出したことができていないのに スミマセンの一言もない!」
「ちょっと注意すると引きこもって出てこなくなる。。。」
など管理職の知り合いの方からも耳にする機会が多くなりました。
孫子(そんし)は「敵を知り 己を知れば 百戦して あやうからず」という有名な言葉を残しています。
20代の若者への接し方を減点方式から加点方式に変えれば「まさに百戦して あやうからず」の接し方となり、若手社員とのコミュニケーションが円滑になるきっかけになるのではないでしょうか?
加点方式とは【いいね!】【いいね!】の接し方
冒頭にも書きましたが、知り合いの学生がアルバイトしていた個別指導の塾の指導法は加点方式の方法をとっています。
どのようにしているかというと小学生から中学3年生まで20人くらいを1クラスとして指導員3名で指導しているとのことです。
指導員が見て回って困っていそうな雰囲気の学生に声をかけて指導しているそうです。
また、テストの採点をする場合、正解には○印をつけますが、間違ったところは×印をつけずに学生に返します。
学生に間違えたところを消しゴムで消し、正解を書いた答案をもう一度持って来ます。
その答案に指導員が○印をつけて、すべて○のついた答案を学生に持って帰ってもらうよう指導しているそうです。
これは×印をつけない徹底した加点方式で育成していると思います。
いかに目の前にいる生徒に減点方式の否定的なメッセージではなく、加点方式の肯定的なメッセージを受け取って帰ってもらうかに力が注がれているのでしょう。
そこで、今回は加点方式で肯定的なメッセージを相手に与える話し方の工夫を紹介します。
加点方式の話し方とは
それではまず加点方式の話し方の例として、若手に目的が大切だと知ってもらうために私が話した内容について紹介します。
私:自分の目の前を全力で部下が走っていった。
「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「報告書を提出しにいくんですが、17時までが期限だから急いでいます」と言われれば、「そうか。急げよ」となる。
ところが、目の前を全力で部下が走っていて「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞いた時に「さぁーどこに行くのでしょう。よくわからないけどそれじゃ失礼します!」とニッコリ笑って全力で走っていったらどうかな?
「そうだよな。どこに行くかわからなくても 全力で走るってことあるよな。そうだよな。そうだよな。」となるか「おかしなことを太郎君は言うな。暑さで頭がどうかしてしまったのかな」と思うかどちらかな?
若手:「後者ですね」
私:「そうだよね。目的なくして全力で走っている人がいたらおかしいでしょ。」
このやりとりをもとにこれから4通りの話し方を紹介し、加点方式の話し方と比較してみたいと思います。
加点方式の話し方のポイントは「二択で聞いて発言を求めない」ということですが、それをわかっていただけるのではないかと思います。
若手に言いたいことを伝える時の話し方4通り
★4通りの話し方
①一方的に話す
②相手に意見を聞く
③二択で発言を求める
④二択で発言を求めない(加点方式の話し方)
①一方的に話す
私:自分の目の前を全力で部下が走っていった。
「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「報告書を提出しにいくんですが、17時までが期限だから急いでいます」と言われれば、「そうか。急げよ」となる。
ところが、目の前を全力で部下が走っていて「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「さぁーどこに行くのでしょう。よくわからないけどそれじゃ失礼します!」とニッコリ笑って全力で走っていったらおかしいでしょ?
若手:うなずく(うなずいてはいるが重い雰囲気になる)
②相手に意見を聞く
私:自分の目の前を全力で部下が走っていった。
「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「報告書を提出しにいくんですが、17時までが期限だから急いでいます」と言われれば、「そうか。急げよ」となる。
ところが、目の前を全力で部下が走っていて「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「さぁーどこに行くのでしょう。よくわからないけどそれじゃ失礼します!」とニッコリ笑って全力で走っていったらどう?
若手:「・・・」(どうと言われても。。。と答えに困っている)
③二択で発言を求める
私:自分の目の前を全力で部下が走っていった。
「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「報告書を提出しにいくんだけど、17時までが期限だから急いでいます」と言われれば、「そうか。急げよ」となる。
ところが、目の前を全力で部下が走っていて「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「さぁーどこに行くのでしょう。
よくわからないけどそれじゃ失礼します!」とニッコリ笑って全力で走っていったらまともかな?おかしいかな?
若手:「おかしいです」(答えは返ってくるが強制的に答えさせられた感はぬぐえない)
④二択で発言を求めない(加点方式の話し方)
私:自分の目の前を全力で部下が走っていった。
「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「報告書を提出しにいくんですが、17時までが期限だから急いでいます」と言われれば、「そうか。急げよ」となる。
ところが、目の前を全力で部下が走っていて「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「さぁーどこに行くのでしょう。よくわからないけどそれじゃ失礼します!」とニッコリ笑って全力で走っていったらどうかな?
「そうだよな。どこに行くかわからなくても 全力で走るってことあるよな。そうだよな。そうだよな。」となるか「おかしなことを太郎君は言うな。暑さで頭がどうかしてしまったのかな」と思うかどちらかな?
若手:「後者ですね」(当然という表情とともに発言がある)
結果として①から③の方法で話をした場合、尋問みたいな重い雰囲気になることが多かったです。
やはり加点方式の接し方でない為、肯定的なメッセージを送ることができなかったのでしょう。
ところが、④の方法で話をした場合、笑いが起きるようになりました。
しかも、若手社員の反応はほとんど同じ展開になったので驚きです。次にその反応を紹介します。
加点方式の際の若手社員の反応
反応を紹介する為に会話を分解すると
私:自分の目の前を全力で部下が走っていった。
「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「報告書を提出しにいくんですが、17時までが期限だから急いでいます」と言われれば、「そうか。急げよ」となる。
ところが、目の前を全力で部下が走っていて「おー太郎君。どこに行くんだ」と聞くと「さぁーどこに行くのでしょう。よくわからないけどそれじゃ失礼します!」とニッコリ笑って全力で走っていったらどうかな?
「そうだよな。どこに行くかわからなくても 全力で走るってことあるよな。そうだよな。そうだよな。」となるか、
若手→(ここでほとんどの若手は笑う。そんなバカなことあるかという笑い)
私:それとも「おかしなことを太郎君は言うな。暑さで頭がどうかしてしまったのかな」と思うか、
若手→(ここでほとんどの若手はうなずく。これは当然そう思うでしょといううなずき)
私:どちらかな
若手→「後者ですね」(答えた若手は必ずこの返答になる。)
この後で結論を述べる。
私:そうだよね。目的なくして全力で走っている人がいたらおかしいでしょ。
若手→(ここで若手は真剣な表情になって聞いている)
「二択で」「発言を求めない」加点方式の話し方をすることによって話した後で、若手の表情が真剣になり、前向きになっている人が多くありました。
加点方式の話し方の特徴8つ
加点方式の話し方の特徴は以下の8つです。
- 押し付けではない
- 笑いが起きる
- 相手に選択肢を示すだけ
- 決定権は相手にある
- 共感を持って納得させる
- 結論の一言が「確かに言うとおり」だと納得感が高くなる
- 第三者に対しての評価で話が進んでいるので若者が一度も否定されない
- 第三者の評価を私が言葉にするので若者は第三者を否定する「おかしい」というネガティブな言葉を発言しなくていい
まとめ
二択で発言を求めない(加点方式の話し方)をすることによって一人でも多くの若手とのコミュニケーションが変わり、若手がやる気をもって働くことができる環境が整うことを願っています。
(続き)若手社員との円滑なコミュニケーションは加点方式【中編】
ヒロ☆カズ
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