人付き合いに疲れたあなたへ|人付き合いについて考える3つの話
こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
あなたは人付き合いで悩むことはないでしょうか。
「あの人と一緒にいたくない」
「本当にこの人と友達でいなきゃいけないのかな」
「この集まりにずっと参加しなきゃいけないと思うと気が滅入る」
悩みは誰にでもどこにでもありますが、中でも悩ませるものが人付き合いではないでしょうか。
「縁」という言葉があります。
私たちは多くの縁の中で、日々生活しています。もちろん人付き合いも縁の1つです。
一口に「縁」と言ってもいい縁もあれば悪い縁もあります。
あなたは一緒にいたくない人と、本当にずっと一緒にいなければならないのでしょうか。
私は嫌です(おい、
色々な縁が私たちの周りにはありますが、どのような縁を選んでいけばいいのでしょうか。
社会学教授、中国の思想家、東洋哲学から人付き合いのヒントをもらいましょう。
ラノヴェッター教授の理論
私たちは周りに大きく影響されます。
「赤信号 皆で渡れば 怖くない」
と自分1人ではやらないことでも他の人がやっているとついついやってしまいます。
「悪人の友を捨てて善人の敵を招け」ということわざがありますが、「ちょっとこの人は…」と思う人と付き合っていると自分までそのようになってしまいます。
グラノヴェッター教授はスタンフォード大学社会学部の教授で熱狂状態について研究した人です。
グラノヴェッター教授の唱えた理論に「閾値(いきち)モデル」というものがあります。
例えば、あるデモ活動について考えた場合、まず1人の人が
「税金下げろー」
とデモを起こします。
それを見た人のほとんどは
「あの人、1人で何やってるんだろう…」
と思いますが、1人の共感した人がデモに加わったとします。
2人でデモ活動をしているのを見て冷ややかに見ている人も多いですが、3人めの人が入ってきます。
これがだんだん膨れ上がり、たいして税金に対して不満のない人も「なんかみんな参加してるから」とやがて多くの人がデモに参加するようになります。
このようなモデルでは、1人がデモをしている場合には参加しなくても、10人がしているなら参加する人があり、10人が参加しているだけなら参加しなくても、100人が参加しているなら参加する人があることになります。
人それぞれに、どのくらいの人が参加しているかで自分もそこに参加するかどうかを決める判断点(閾値)があります。
これをグラノヴェッターの「閾値モデル」と言います。
人付き合いが始まった小学生の頃の夏休みを思い出してください。
周りのみんなが夏休みの宿題をやらないなら自分もやらないけど、みんながやり始めているなら自分もやり始めるという経験はないでしょうか。
これも小学生のあなたには夏休みの宿題をやるかどうかの閾値があり、それを超えた時にやり始めたと言えます。
友だちに宿題を早めにやる子が多ければ多いほど、あなたも宿題に手を付けるのが早くなりますし、宿題をやらない子が多ければ多いほど、あなたも宿題に手を付けるのが遅くなり、最終日に泣くことになるのです。
孟子の母の親心
ここで中国の孟子の話をしましょう。
孟子とは儒教の学者で、人間は道徳から物事を判断し、善いことをするという性善説を唱えた人です。
この孟子のお母さん(孟母と言われます)は孟子が小さい頃、我が子を立派な人物にするために3回居場所を変えたと言われ、孟母三遷の故事となって今に残っています。
まず初め孟子は墓地の近くに住んでいました。
その地域では近所の子供たちが集まったとき、みんなで葬式のマネごとで泣きまねをしたり埋葬ごっこをして遊んでいました。
それを見た孟母は
「こんな遊びが流行っている地域に住んでいるのは子供教育上良くない」
と引っ越しをしました。
次に引っ越した地域は市場の近くで、孟子は周りの商売人のマネをして、友だちと商売ごっこをして遊び始めました。
「ここも子供を育てるのには良くない」
と思い、再度引っ越しをしました。
次に引っ越した先には学校があり、そこで孟子は友だちと祭礼の儀式や礼儀作法のマネごとをして遊ぶようになりました。
「これなら教育にいいだろう」
とそこに住むことにしました。
やがて孟子は頭角を現し、歴史上有名な人物へとなっていきました。
孟母が墓地や商家の近くに住まわせたままだったら孟子は生まれなかったでしょう。
悪い縁となりそうな地域を避けて、人付き合いを変えることで孟子の人生は大きく変わったのです。
東洋哲学の言葉
有名な僧侶として歴史の教科書にも出てくる「親鸞」という人があります。
その言葉に
「悪をこのまん人には慎みて遠ざかれ、近づくべからず」とこそ、説かれて候え。「善知識・同行には親しみ近づけ」とこそ説きおかれて候え(末灯鈔)
「悪を好んでする人からは離れて、近づいてはいけない。善い先生・善い友達に近づきなさい」
師をそしり、善知識をかろしめ、同行をもあなづりなんどしあはせたまうよしきき候うこそ、あさましく候え。すでに謗法のひとなり、五逆のひとなり。なれむつぶべからず。(末灯鈔)
「先生や友達をないがしろにするような者がいると聞いたが、そのような者には近づくな」
という言葉があります。
仏教では結果を引き起こすためには原因と縁が必要だと教えられます。
これを「因縁果の道理」と言い
「善い結果は善い原因と善い縁によって引き起こされ、
悪い結果は悪い原因と悪い縁によって引き起こされる」
と教えられます。
私たちはみんな不幸にはなりたくない、幸福になりたいと思っていますが、それには善い縁を選ばなければなりません。
「自分がいくら善い原因を日ごろから作っていても、縁がなければ善い結果は来ないから善い縁を求めなさいよ」とお釈迦様は言われています。
縁でも大きなものは人付き合いでしょう。
善い人付き合い、悪い人付き合い。これを考えることが善い縁、悪い縁を考えることになります。
3つの話からわかること
紹介した閾値モデル、孟母三遷、因縁果の教えについて共通することは悪い環境にいると自分に悪い影響を及ぼし、良い環境にいると自分に良い影響を及ぼす、ということです。
周りが真面目なら自分も真面目になり、周りが怠けていたら自分も怠けてしまう。
周りがお互いに感謝の気持ちを持っていたら自分にも感謝の気持ちが起こり、周りがお互いに悪口を言い合っていたら自分も言いたくなってしまう。
お釈迦様の教えでは善い原因は善い結果を生み出し、悪い原因は悪い結果を引き起こすと言われていますが、悪い環境にいれば悪いことをしたくなってしまい、その結果に苦しむのは自分です。
自分を不幸にする悪い人付き合いから離れて、良い人付き合いを積極的に選んでいくことで不幸からサヨナラしたいものです。
対人関係を4つに分けると
だからといって職場を変えたり、引っ越しをするのは簡単ではありません。
「この人と一緒にいるとイライラする」という人とどうしても付き合っていかなければならない場合はどうしたらいいのでしょうか。
心理学者のアドラーは対人関係を以下の4つに分けて分析しました。
- 自分
- 相手
- 相手との関係
- 自分のいる環境
この中で一番簡単に変えられるのが自分です。
「あの人が悪いのに、なんでこっちが変わらなきゃいけないんだ」と思われるでしょうが、他の3つを変えるよりはあなたが変わるほうが簡単なのです。
そうは言っても、いきなり嫌いな人と仲良くすることはできませんので、あなたの行動を変えて相手を変えていきましょう。
そのためにまず、その人が悪いことをしたときにどうしてそんなことをするのか聞きます。
相手は独自の理論を展開すると思いますが、あなたはそれを聞いた後
「あなたの気持ちはよくわかります。私が同じ立場ならきっと同じことをやったでしょう」
と言います。表現は変わってもかまいませんが相手の気持ちを汲み、その行動は決しておかしな行動じゃないと伝えます。
これを聞いた相手の心にはあなたの言うことを素直に聞く心が生まれます。
そこでその相手に
- あなたがしてほしいことを頼み、「自分は◯◯をする」と口で言わせる
- 「周りの人もあなたは◯◯な人(褒め言葉)だ」と言っているよと伝える
- 相手を褒めた後に「こんな人がいるみたいだけどあなたはしないよね」と釘を刺す
の3つをしてみてください。
1は一貫性の原理
2は期待の法則
3は好意の返報性
という心理テクニックを使った方法です。
3つ同時にしなくても大丈夫です。
時間を空けてこの3つをあなたが繰り返すことできっと相手の心は変わっていきます。
まとめ
良い環境は自分に良い結果をもたらし、悪い環境は悪い結果をもたらします。
悪い結果、不幸な運命がイヤならば悪い環境から離れるか、悪い環境を良い環境に変えるしかありません。
今の環境から離れられない場合は
- あなたがしてほしいことを頼み、「自分は◯◯をする」と口で言わせる
- 「周りの人もあなたは◯◯な人(褒め言葉)だ」と言っているよと伝える
- 相手を褒めた後に「こんな人がいるみたいだけどあなたはしないよね」と釘を刺す
の3つをやってみたら、悪い環境が少しずつ変わっていくかもしれません。
こんぎつね
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