マニュアルにより完成した業務システムで大事なところを押さえる
『いつも忙しそうにしている割に、あまり成果が出せていない人』
『いつも余裕があるのに、多くの仕事をこなし、成果をバンバン出している人』
その違いは、どこにあるのでしょう。
いろいろな要因があると思いますが、仕事は一人でしているのではなく、チームで行っていますので、
「どれだけ自分の周囲の人の力を生かせているか」
これが大きな要因として考えられます。
これを 『 任せる力 』と呼びたいと思います。
他人に任せることは、簡単なように見えて、実は難しいのです。
失敗すると、かえって自分を忙しくさせることにもなりますので、任せたいけど、任せられず、結局、他人に任せずに、自分でそのままやってしまう人も少なくありません。
この『 任せる力 』を身につけるには、「 技術 」だけでなく「 メンタル 」も非常に大事になります。
「 技術 」だけなら短期間に身につくのでしょうが、「 メンタル 」もありますので、身につけるのが難しいのです。
『 任せる力 』を身につけるには、「 メンタル 」と「 技術 」の両方が必要です。
1章 「メンタル」
2章 「何を任せるか」「任せる目的」
3章 「任せる相手」
4章 「任せる技術」(自分の仕事を整理整頓する)
5章 「任せる技術」(引継の方法)
この順番で説明していきたいと思います。
現在は4章「任せる技術」(自分の仕事を整理整頓する)について、説明しています。
目次
業務システムの完成
今まで自分の仕事を整理整頓する方法を説明しました。
・チェックリストの完成
・チェックリストの更新
・マニュアルといわれるまでレベルアップ
この手順により、一つの業務システムが完成しました。
(入力)→(業務システム)→(出力)
この業務システムを保存しておけば、同じ入力をすれば同じ出力が期待できます。
いつでも同じ結果を生み出せます。
他の人に任せても同じ結果を生み出すことができます。
これを「再現性」といいます。
業務システムの全体把握で大事なところ
再現性といいましても、機械ではありませんので、誰に任せるかによって、入力から出力される時間は異なってきます。
業務システムのうち、全部、任せるのか、一部分を任せるのか。
将来、任せることを考えると、業務システム全体を把握しておく必要があります。
そこで大事になるのが「ボトルネック」「律速」という考え方です。
業務システムの「ボトルネック」とは
ボトルネックとは
コンピュータシステムで説明すると、コンピュータの処理速度やネットワークの通信速度の向上を阻む「隘路」(あいろ)となっている要素のことです。
「瓶の首のように細く、詰まりやすい」という意味に由来しています。
コンピュータやネットワークのシステムは様々な要素が複雑に絡み合っているため、全体の性能の向上を図ろうとしても、どこか一ヶ所が妨げとなって性能が上がらないことがあります。
こうした要因がボトルネックと呼ばれ、システム性能向上のためにまず解決しなければならない部分となります。
これは、コンピュータシステムだけでなく、業務システムでも同じことがいえます。
「瓶の首のように細く、詰まりやすい」業務があります。
それが業務システムのボトルネックとなるわけです。
隘路とは
ちなみに「隘路」(あいろ)とは、もともとは「狭くて通行の困難な道」という意味ですが、そこから派生して「物事を進める上で妨げとなるもの」というボトルネックの意味で使われます。
「隘路」は、兵法においては、少数で多勢からの攻撃をしのぐ際によく利用された地形でした。
もし、誰かの仕事を邪魔するならば「隘路」にあたる業務を押さえれば、少ない労力で、邪魔することができるわけです。(そんなことはしないと思いますが)
具体的に
ボトルネックにあたる業務はどんなことが考えられるでしょうか。
・限られた予算枠
・必要な協力者から協力を得る
・上司の承諾を得る、上司のスケジュール
・意思決定機関(会議)のスケジュール
・参加人数の最終締切日
・目玉企画の進捗状況
他にもあると思います。
ここをちゃんと押さえておかないと、予定通り進められないものです。
業務システムの「律速」とは
化学実験の「律速段階」とは
化学実験に「律速(りっそく)段階」という言葉があります。
逐次反応において最も遅い素反応(過程)を律速段階、あるいは律速過程といいます。
それは最も遅い素反応(過程)が、複合反応の反応速度に対して強い影響を及ぼし、その反応の振る舞いを決定づける為です。
他の反応が速くても、遅い反応があると、全体としては遅い反応にあわせることになるということです。
業務システムの「律速」とは
A・B・C・D・Eの5人がそれぞれ業務が分担され、それぞれの業務が遂行されてはじめて、仕事が完成するとします。
A・Bは要領がよい人、C・Dは普通、Eは要領が悪い人としますと、5人に同じように分担すると、全体がEにあわせることになります。
そうならないように、Eの分担を少なくして、その分、A・Bに多くすることを考えなければなりません。
A・Bが、前倒しにできるだけ早く進める努力をしても、Eがそのままでは、その努力は報われません。
まとめ
業務システムの、ボトルネック(隘路)は何か、律速段階はどこか、知ることによって、効率的に、計画的に、業務を進めることができます。
ここをしっかりできるかどうか、責任者の力量が問われるところです。
あさだ よしあき
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