任せたいけど任せられない人へ 「任せる相手」は誰がよいのか(1)
『いつも忙しそうにしている割に、あまり成果が出せていない人』
『いつも余裕があるのに、多くの仕事をこなし、成果をバンバン出している人』
その違いは、どこにあるのでしょう。
いろいろな要因があると思いますが、仕事は一人でしているのではなく、チームで行っていますので、
「どれだけ自分の周囲の人の力を生かせているか」
これが大きな要因として考えられます。
これを 『 任せる力 』と呼びたいと思います。
他人に任せることは、簡単なように見えて、実は難しいのです。
失敗すると、かえって自分を忙しくさせることにもなりますので、任せたいけど、任せられず、結局、他人に任せずに、自分でそのままやってしまう人も少なくありません。
この『 任せる力 』を身につけるには、「 技術 」だけでなく「 メンタル 」も非常に大事になります。
「 技術 」だけなら短期間に身につくのでしょうが、「 メンタル 」もありますので、身につけるのが難しいのです。
『 任せる力 』を身につけるには、「 メンタル 」と「 技術 」の両方が必要です。
1章 「メンタル」
2章 「何を任せるか」「任せる目的」
3章 「任せる相手」
4章 「任せる技術」(自分の仕事を整理整頓する)
5章 「任せる技術」(引継の方法)
この順番で説明していきたいと思います。
今回から3章「任せる相手」を説明します。
自利利他の心がけで「まだ任せられないではなく、任せるから任せられるようになる」と思い、任せようという気持ちになりました。
何を任せるかも、整理できました。
では、誰に任せればよいのか。
どんな人にでも、任せてよいのではありません。
任せる相手を間違えますと、後から、しばらくして、また、自分が受け持つようになる、「リバウンド」状態になるだけです。
では、どんな相手に任せればよいのでしょうか。
仕事内容によって、適材適所、能力、経験等が関係するのは、もちろんですが、その前の段階で、考えてみたいと思います。
目次
「任せる相手」とは
「任せる相手」とは、別の言葉でいえば「信頼できる相手」と言えましょう。
どんな人が信頼できるでしょうか。
2つの面を挙げたいと思います。
1.約束を守る人
2.責任感のある人
約束を守る人
逆に考えれば、約束を守らない人を信用できるでしょうか。
2つの例で考えてみたいと思います。
ケース1 上司から部下の○○さんに書類を渡してくれと依頼された時
1.○○さんに渡したら、すぐに事後報告する。
電話・携帯メール・パソコンメールかは、上司の予定と状況に使い分ける
2.次に上司に会った時に、事後報告する。
3.上司に会った時に、上司から「渡してくれたかな」と聞かれて、はじめて報告する。
その時に「すいませんでした」と、まだ悪気がある。
4.上司に会った時に、上司から「渡してくれたかな」と聞かれて、はじめて報告する。
しかし、全く悪気がない。
5.そもそも、○○さんに渡すのを忘れていた。
★5は、信頼できるかどうかの問題ではなく、基礎から、まず、教えていかねばならない人です。
★4は、言われたことはちゃんとやっていますよと、自分のことだけ考えて、上司が、ちゃんと渡っているかどうか、不安に思っていることに気づいていない人です。
次回、同様なことがあっても、報告しないでしょう。
★3は、まだ、上司に心配させてしまったことに悪気がありますので、次回は、報告するかもしれません。
★1と2は、案件に応じて使い分けることになりますが、1と2は、信頼できる人と思います。
ケース2 13:00に○○駅で待ち合わせ
1.何かあるといけないから、早目に駅に到着して、時間調整する
2.13:00に間に合うように、ちょうどに到着するようにする
遅れるような時はすぐに連絡する
3.13:00に間に合うように、ちょうどに到着するようにする
少し遅れるぐらいなら、連絡しない。
4.13:00に間に合わず、
相手から連絡があってから、遅れると伝える。
5.最初から遅れてもよいと思っていて、待ち合わせに間に合わない。
相手から連絡があっても、遅れることも伝えない。
★5は論外ですが、3と4は、待ち合わせ時間を過ぎているのに、本人から連絡しませんから、やはり自分のことしか考えていなく、待っている人の立場に立っていません。
★2は、ギリギリマン、ギリギリガールと言います。
スマフォで、路線案内で検索して、13:00に間に合うように、出発時間を調べます。
特にハプニングがなければ、ちゃんと13:00までに待ち合わせの場所に着けます。
ところが、何かハプニングが起きますと、待ち合わせの時間に間に合わなくなります。
・出発したら忘れ物を思い出して戻った
・ウロウロしている間に、出発時間が遅れてしまった
・急に電話がかかってきて、対応せざるをえなくなった
・自転車がパンクしていた
・電車のダイヤが乱れていた
何もなければ間に合うが、何かあると遅れてしまいます。
また、電車に乗っている間も、遅れるのではないか、待たせるのではないかと、心の中で、ハラハラしますので、電車の中で、安心して、本を読んだり、休んだりすることができません。
★1のギリギリマン、ギリギリガールでない人は、13:00に、余裕をもって到着するように移動します。
早く着いたら、相手が来るまで、待っている時間がもったいない!
そう思う人は、ギリギリマン、ギリギリガールでしょう。
早く着いたら、ファーストフードや喫茶店、ベンチなどで、読みたい本を読んだり、覚えたいことを覚えたり、スマフォで情報収集したり、SNSをやったり、その場で、できることは、いろいろあります。
それだったら、出発する前でもできるじゃないかと思う人は、これまた、ギリギリマン、ギリギリガールでしょう。
同じようにやるにしても、移動時間は、安心して、本も読める、休むこともできます。
また、早めに到着すれば、相手を待たせる心配もありませんが、待ち合わせの時間まで、安心して、やりたいことができます。
費やす時間、労力がたとえ同じであっても、心の安心が違いますので、効率には、歴然とした差が生じます。
★1が信頼できる人になります。2が任せられるギリギリラインの人だと思います。
上記の2つのケースで、1、2の人に、「任せるから任せられるようになる」人です。
3,4,5の人は、まだ、任せられる状態ではありませんので、1,2になるように、教育していく必要があります。
約束を守らない人
約束を守らない人、守れない時にすぐに連絡をしない人には、いろいろな原因が考えられますが、術というよりも、本人の心に、一番の原因があります。
感情にまかせて、叱っても、相手の心は、変わらず、黙ってしまうだけです。
約束を守らない、また、守れない時にすぐに連絡しないことによって、どのようなことが生じてしまうか、冷静になって、具体的に書き出してみましょう。
本人が気づいていることもあれば、気づいていないこともあるでしょう。
まず、本人が気づくことからです。
そして、自分が相手の立場になったら、どう思うか、想像してもらいます。
これを繰り返しながら、具体的な対策を実行していきます。
「約束を守る・守らない」はその人の将来の成長と密接な関わりがある
実は「約束を守る・守らない」は、その人の将来の成長と密接な関わりがあります。
それは、約束は他者だけではなく、自分との約束もあるからです。
自分との約束とは、自分が決めたことは必ずやるという実行力です。
他者との約束を守らない人は、自分との約束も簡単に破りますので、これをやろうと決意しても、ちょっと思い通りいかないことがあると、簡単に諦めてしまいます。
人との約束はいい加減だが、夢に向かってしっかり進んでいる、という人はありえません。
「した約束は必ず守る、守れない約束はしない」
単純なようですが、これをちゃんとできるかどうかで、その人の将来の成長を予測することができます。
まとめ
・「任せる相手」とは、
1.約束を守る人
2.責任感のある人
・約束を守る人は、将来の成長が予測できる人
あさだ よしあき
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