何を任せればよいか 失敗するとリバウンドして余計、苦しくなる
『いつも忙しそうにしている割に、あまり成果が出せていない人』
『いつも余裕があるのに、多くの仕事をこなし、成果をバンバン出している人』
その違いは、どこにあるのでしょう。
いろいろな要因があると思いますが、仕事は一人でしているのではなく、チームで行っていますので、
「どれだけ自分の周囲の人の力を生かせているか」
これが大きな要因として考えられます。
これを 『 任せる力 』と呼びたいと思います。
他人に任せることは、簡単なように見えて、実は難しいのです。
失敗すると、かえって自分を忙しくさせることにもなりますので、任せたいけど、任せられず、結局、他人に任せずに、自分でそのままやってしまう人も少なくありません。
この『 任せる力 』を身につけるには、「 技術 」だけでなく「 メンタル 」も非常に大事になります。
「 技術 」だけなら短期間に身につくのでしょうが、「 メンタル 」もありますので、身につけるのが難しいのです。
『 任せる力 』を身につけるには、「 メンタル 」と「 技術 」の両方が必要です。
1章 「メンタル」
2章 「何を任せるか」「任せる目的」
3章 「任せる相手」
4章 「任せる技術」(自分の仕事を整理整頓する)
5章 「任せる技術」(引継の方法)
この順番で説明していきたいと思います。
前回から2章「何を任せればよいか」「任せる目的」に入っています。
目次
重要・緊急の尺度で整理してみる
改めて、何を任せばよいのでしょうか。
どんなことでも任せればよいのではありません。
前回は、以下の3つを考えてみました。
1.部下でもできる仕事
2.上司の本来の仕事
3.上司の本来の仕事だが、時間がなくて、できていないこと
それをもう少し、以下のマトリックスで、考えてみましょう。
・重要でしかも緊急度が高いことは →“A”
・重要だが、急がないことは →“B”
・重要でないが、緊急度が高いことは →“C”
・重要でもないし、緊急でもないことは →“D”
★A:重要・緊急
突然のハプニングの対応、クレーム処理
期限が迫っている大事な仕事
★B:重要・非緊急
大事な仕事だが、期限はまだ先の仕事
将来の企画立案
夢に向かって(資格取得、キャリアアップなど)
家族サービス等のプライベートの充実
★C:非重要・緊急
突然の来客の応対
電話の処理
必要だが重要でない会議や行事への参加
期限が迫っているルーティンワーク
誰でもできる仕事
★D:非重要・非緊急
やってもやらなくてもいい雑務
将来に役に立たない行事への参加
気晴らし等
4つの中で何を任せるか
この4つの中で何を任せるか。
それは「C:非重要・緊急」です。
「C:非重要・緊急」には、ルーティンワークなど、自分でなくてもできるものが殆どです。
それを時間がないからといっても「B:重要・非緊急」を任せてはなりません。
上司と部下の関係ならば「C:非重要・緊急」は部下に任せるべきこと、そして、時間をつくって、上司は「B:重要・非緊急」をしなければなりません。
それが、「C:非重要・緊急」を上司がやって、時間がないといって、本来、上司がしなければならない「B:重要・非緊急」を放棄する、ずっと後回しにするのは、組織としては、大きな損失です。
アウトソーシング、外注は、まさに、これにあたります。
外注の場合は、この基準だけでよいですが、上司と部下の関係の場合、これだけではいけません。
これだけだと、部下は成長実感を感じることができず、やる気が出ず、場合によっては、また、上司が受け持つことになります。
作業だけ任せられて、成長実感を感じることができない。
若者が3年以内で辞めてしまう原因の一つに挙げられています。
これを「リバウンド」といいます。
リバウンドに注意
一時的に任せたので、軽くなったのですが、しばらくして、また、自分が受け持つようになる。
これだけなら、また、元に戻っただけですが、任せる為のやりとりの時間や手間がかかったことを考えると、まさに「リバウンド」、余計、重くなりました。
そうならない為には、更に基準を決めておきましょう。
1.部下が全くやったことのない仕事は、いきなり任せない。
失敗することがわかっていますから、部下はやる気が出ません。
2.部下の成長を考えた仕事も任せる
スキルアップができる、成長実感がある、小さな成功体験を味わえる、小さな範囲の責任者 など
特に「2.部下の成長を考えた仕事も任せる」が大事です。
自分が楽になる為に任せる、実は、これは、うまくいきません。
「我利我利」では、うまくいかないのです。
部下の成長を考えて任せる。
まずは、自分の為ではなく、相手の成長、幸せを考える。
そこから出発して、相手の幸せ、成長が、そのまま、自分の幸せ、相手の成長を共に喜び、自分も時間ができて、次のステージに進むことができるのです。
これを「自利利他」といいます。
自発的にやりたいと思うように
その時に、気を付けねばならないのは「2.部下の成長を考えた仕事も任せる」の時は、無理がかかるので、部下の自発性を重んじることです。
自発的でない、やらされていると思っていると、やる気が出ず、パフォーマンスが落ちて、成長もない。
部下が自発的にやりたいと思うようなことを任せる、また、その説明をすることが大事です。
また、部下のキャリアプランを一緒に考えることによって、部下は、より自発的にチャレンジしようという気持ちになります。
もちろん無理がかかることですから、良い面と悪い面があるならば、悪い面も当然、説明しなければなりません。
良い面だけしか説明しないのは、後から、部下から恨まれることになり、信用を失います。
これも自分の為ではなく、本当に相手のことを思って、任せようとしているかに、かかわってきます。
「何を任せるか」の問題も
「任せないから、任せられない。任せるから、任せられるようになる。」
この考え方に変わる為と同じように
「我利我利」ではなく「自利利他」を実行できるかどうかにかかっています。
まとめ
上司が部下に任せるのは「C:非重要・緊急」であって「B:重要・非緊急」であってはならない。
更なるルール
1.部下が全くやったことのない仕事は、いきなり任せない。
2.部下の成長を考えた仕事も任せる
「何を任せるか」の問題も、
「任せないから、任せられない。任せるから、任せられるようになる。」
この考え方に変わる為と同じように
「我利我利」ではなく「自利利他」を実行できるかどうかにかかっています。
あさだ よしあき
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