葬式や法事の費用は高すぎる?|本当の供養を知るのに大切なことは?
こんにちは。仏教の話を聞くのが週末の楽しみになっているこうへいです。
3年ほど前に講座で知り合った年配の男性からこんな声を聞きました。
法事の度に寺からお金を要求されて困っている。
お経をあげるからいくらとか、板に字を書いたあれを用意するからいくらと言ってくる。
あの板も1本5000円だと言われるけれど、そんなにするものなのかな?
高すぎないだろうか。
寺に対して不満一杯の様子で、こう言われていました。
仏事の費用に不満を持っている人は多い?
法事の時に用意する、板に字を書いたあれとは、卒塔婆(そとば)とか塔婆(とうば)のことを言われていたようです。
浄土真宗では卒塔婆(そとば)を用いませんので、浄土真宗の家に生まれ育った私はあまり卒塔婆(そとば)を見たことがありませんでした。
調べてみたところ、卒塔婆は先祖や故人を供養する追善供養のために立てられるものだそうです。
以前はすべて墨で1本1本書いていましたが、今は卒塔婆用のプリンターも開発されて、印刷されたものもあるようです。
値段も1000円~10000円と開きがありますが、5000円くらいが一般的な相場となっているとのことでした。
先ほどの男性の言われた5000円という額も“妥当な”金額と言えます。
この男性のようにはっきりと寺に対する不満や不信を口に出して言われる方は少ないと思います。
ただ実際に葬式や法事などを行う際の費用には不明確な点が多いことに内心では困惑し不満に思っておられる方も多いようです。
しかしそう思っていても、亡くなった家族や先祖の供養のためだからとほとんどの人はお金を出していると思います。
「亡き両親の供養のために仏事をしたことがない」親鸞聖人の驚くべきお言葉
ちゃんとした葬式や法事を勤め、墓を用意することが亡くなった家族や先祖に対する追善供養になると多くの人が信じています。
ところが、有名な古典『歎異抄(たんにしょう)』に親鸞聖人がこのように仰ったと書かれています。
親鸞は父母の孝養のためとて念仏、一返にても申したることいまだ候わず (『歎異抄』第5章)
(親鸞は、亡き父母の追善供養のために、念仏を1回もいまだかつて称えたことがない。)
一度の念仏も称えたことがない仰るのですから、読経をしたこともなければ、年忌法要を勤めたこともないし、卒塔婆(そとば)を立てたこともないということです。
親鸞聖人は4歳でお父さんを亡くされ、8歳でお母さんを亡くされました。
幼くしてご両親を亡くされた親鸞聖人のご両親を慕われる気持ちは、どれだけ強いものであったかは想像に難くないと思います。
そんな親鸞聖人が、「亡き父母の追善供養のために、一度の念仏も称えたことがない」と仰っておられるのを聞くと驚きます。
亡き人への本当の供養とは
なぜ親鸞聖人はこのようなことを言われたのでしょうか。
それは、本当の追善供養を教えられるためだと言われています。
私たちが追善供養をしようと思うのは、それが亡くなった家族や友人、先祖のためになると思うからでしょう。
亡くなった人のために何かをしたいと思うならば、亡くなった人が喜ぶことをしなければなりません。
ですから、まず大切なことは、亡くなった人が私たちに何を望み願っているかを知ることではないでしょうか。
亡くなった家族や先祖が何を願っているかを真面目に考えてみると、私自身が自分の子孫や家族に何を望んでいるかを考えてみればわかります。
生きていればいろんな困難や災難がやってきますが、わが子にはどんな苦難も乗り越えて、正しく生きてほしい。そして真の幸福になってほしい、これ一つではないでしょうか。
とすれば、私たちが正しく生きて、まことの幸せになることが、亡き先祖の最も喜ぶことであり、私の命を生み育んでくれたご恩に報いることになるでしょう。
この世の幸福は、どんなに懸命に努力して手に入れても、しばらくすると色あせ、崩れ、なくなって悲しみに沈みます。
「何のために生きているのかナァ」
「はー、いっそ生まれてこなければよかった」
と、タメ息をつく日々では、亡き家族や先祖もどんなに悲しい思いをするでしょう。
仏教に説かれる絶対の幸福に生かされて初めて、
「生まれてきてよかった!」
の生命の歓喜があり、
「こんな幸せになれたのも、生み育ててくれたおかげです。ありがとうございます」
と先祖のご恩を心から感じる身になることができるのです。
それが、亡き人のいちばん喜ぶことではないでしょうか。
まとめ
今は亡き大切な人を思う時、誰しもが亡くなった人の幸福を願うものです。
亡くなった人のことを思うならば、亡くなった人が何を望んでいるのかを知ることがまず大事です。
私自身が仏教に説かれる絶対の幸福に生かされて、「こんな幸せになれたのも、あなたがいてくれたから。本当にありがとう」と心から言えるようになることこそが、亡き大切な人の願うことだと思います。
葬式や法事の費用が高いのか、安いのかを議論する前に、これをご縁に本当の追善供養とは何かを知ってもらいたいと思います。
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こうへい
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