タイミングを逃さないように|「善は急げ」の由来は仏教
「思い立ったときに躊躇してしまい、チャンスを逃してしまった」
タイミングを逃したために、後悔することはあるでしょう。
「善は急げ」といいます。
「よいことはためらわず、すぐに行え」という意味で、由来は仏教です。
なぜ、善は急げといわれるのでしょうか。
経典にはこのように書かれています。
「善をなすのを急げ。悪から心を退けよ。善を為すのにのろのろしたら、心は悪事をたのしむ」
善を急がず、のろのろしていると「まぁ、そこまでしなくてもいいか」と楽に流されてしまいます。
勉強しなくちゃと思っていても、後回しにすると、結局やらずじまいになることも。
募金でも、被災地の深刻な状況を見聞きした直後の金額と、一晩経ったあとでは、同じ金額を出そうと思うでしょうか。
「善は急げ」を教えられたブッダのエピソードをご紹介します。
◆◇◆◇◆◇◆
愚かな男が大勢の客を招いてご馳走しようとした。“さて何を出そうか”。いろいろと考えた末、家に乳牛が一頭いたので、牛乳でもてなそうと決めた。
しかし、一頭の牛ではとても大勢をもてなすことはできない。
さればといって、あらかじめ乳を搾ってためておけば腐ってしまう。思案した結果、
「そうだ、牛の腹に蓄えておけば腐る心配はなかろう。これは名案だ」
独り合点して、その日から乳を搾らずに招待の日を待っていた。
やがて当日、大勢のお客がやって来た。男は牛小屋へ行き、蓄えていたはずの乳を一挙に搾ろうと一生懸命になったが、牛の腹はもはや萎んでしまい、乳は一滴も出なかった。
客たちは腹が空いてもご馳走が出ないので騒ぎだした。男が一切を打ち明けると、怒るやら、あざけるやらして帰っていったという。
このような話をなされてからブッダは仰せられた。
「布施(親切)を行おうとする者で、“今にお金がたまり、余裕ができたら大いに施そう”と言っているのをしばしば聞くが、それはちょうどこの男の話と一緒で、布施(親切)など到底できるものではない。
金も財産もできぬうちに、盗賊に奪われたり、災厄に遭ったりと、ついには思いを果たさず死んでしまうのである。善いことは思い立った時に行うがよい」
◆◇◆◇◆◇◆
ブッダは善を徹底して勧められました。
善い行いをすれば、善い結果が現れる
悪い行いをすれば、悪い結果が現れる
自分のやった行いが、自分の結果を作り出す
これが、ブッダの教えられた仏教の本です。
やった行いに応じた結果が必ず現れるのですから、大いに善を実行せよと教えらえたのです。
タイミングを逃さず「善は急げ」を心がけていきたいものですね。
九条えみ
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