生きる居場所がない苦しさと大切な命について考える
こんにちは。みさきです。
仏教では「苦が惑を生む」と教えられています。
「惑」とは「迷い」、苦しくなると人は迷ってしまう、ということです。
薬物使用は再犯率が高いことで知られています。
刑期を終え出所するときは「もう懲りた、二度と薬物はやらない」と、あれほど決意したはずなのに、なぜ再び手を出してしまうのでしょうか。
それは「苦しいから」です。
出所しても「犯罪者」として見る世間の目は冷たく、仕事もない、家族とは離婚。
「こんな自分は生きていても仕方ない」と苦しくなり「とても平常心ではいられない」と薬物を求めてしまいます。
つまり薬物がないと自殺しそうなほど追い詰められている、といえます。
一例を挙げると、たとえば芸能人が覚せい剤で逮捕された時。
マスコミはすごい勢いで報道します。
詐欺や収賄や公文書偽造や窃盗などの犯罪よりもずっと問題にし、「信頼を壊した」「ファンを裏切った」と断罪します。
再犯には「あきれた」「いい加減にしろ」「ふざけてる」とマスコミもSNSも辛らつなコメントをします。
「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」という広告などは、「覚せい剤を使っている人は人間ではない」と言っているようなものです。
これではせっかく薬物を克服しようと決意して出所しても、居場所がない苦しさから、再び依存してしまうだけです。
ではどうしたらいいのか。
参考になるのはポルトガルの取り組みです。
かつてのポルトガルは、薬物犯罪が蔓延していましたが、2001年に薬物使用を犯罪として扱うのをやめました。
治療が必要な患者と捉え、必要な治療や支援を行うこととしたのです。
その結果、どうなったか。
薬物使用者が激減したのです。
ポルトガルの成功例から、ヨーロッパ各国では厳罰主義は薬物克服にならないどころか、再犯ばかりふえてしまうと意識されるようになってきました。
これは薬物依存だけでなく、ギャンブル依存、アルコール依存、買い物依存なども同じことが言えます。
周囲の人が怒り、あきれ、見捨て、ついには生きる居場所をなくしてしまい、大切な命を自ら絶ってしまうような悲劇が起きないよう、「治療」のサポートが求められているのです。
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みさき
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