誰もが病気の苦しみを避けて長生きしたい|人生100年時代をどう生きる?
こんにちは。伝わる技術研究家のみさきです。
私たちは平均寿命と同時に、健康寿命を問題にします。
人生100年時代といわれる今、いかに長く健康でいられるか、テレビや広告で「あの食べ物が健康にいい」「毎日の運動が大事」というような食事術や運動法を見聞きしない日はありません。
誰もが病気の苦しみを避けたいと思っているのがわかります。
今回は「病気の苦しみ」との向き合い方について考えていきたいと思います。
飛躍的に向上するガン治療
つい最近、東芝が13種のガンを超早期発見できる技術を開発したという発表がありました。
なんと血液1滴、たったの2時間で、99%の精度でガンを発見できるそうです。
これが実現すればさらに健康寿命が延び、ガンに脅かされる生活から脱却できるかもしれません。
私は祖母をガンで亡くしているのですが、祖母は2度にわたるガンの痛みから「もう治療も嫌だし、死んだ方がまし」と何度も口にしていました。
健康な私には想像の超えた病苦との闘いがあったのだと思います。
病気の苦しみは、身体が辛いだけでなく、生きようとする意思さえも奪ってしまうのだと感じました。
ガンの早期発見技術が発達し、早期治療ができれば、平均寿命とともに健康寿命も延びますので、東芝の技術に期待したいところですが、一方で今後の「病気の苦しみ」について別の見方があります。
健康な人が病気になる
『サピエンス全史』の著者で有名なユヴァル・ノア・ハラリは新作『21 Lessons』の中で、将来「健康」状態の概念が変わるかもしれないことをこう予測しています。
人々は史上最高の医療を享受できるが、まさにそのせいで、おそらく四六時中、
病気になるだろう。(『21 Lessons』より)
これまでは、人が痛みを感じない限り、あるいは足を引きずるなど明らかな障害が出ない限り、完全に健康だとされていました。
しかし将来は、病原菌の飛躍的な早期発見や膨大なデータの蓄積・分析のおかげで、病気は痛みや障害につながるよりもはるか以前に診断され、治療されるようになります。
血液一滴でガンが早期発見され、遺伝子診断で何歳までにアルツハイマーになる可能性○%とデータを知らされ、病原菌の早期発見で自分の身体の中に恐ろしい病原菌を多々抱えていることを知るようになる時代、人々はどうなるでしょう。
本人は自覚がなくても、「いつも体のどこかの具合が悪い。いつも改善できるところがある」と指摘されるのです。
四六時中、身体のどこかしらで病気がある状態を常に自覚させられ、気を揉む羽目になるかもしれないというのです。
これまで「健康だった人」が「病気を持つ人」となる。
健康という概念が変わる時代がくるだろうという見方です。
誰もが病気の苦しみを避けたい
仏教では病気の苦しみは「病苦」といわれます。
お釈迦様は人間が生きていく中で避けることのできない四つの苦しみ(生・老・病・死)のうちの一つと説かれています。
18世紀以降、ワクチンや抗生物質の開発により、感染症は劇的に減少し、インフルエンザやはしかで死ぬ人は、ほとんどなくなりました。
近年は生活習慣病といわれるガンや脳疾患などが主な死因となっていますが、これも克服されつつあります。
しかし平均寿命が延びれば、認知症などまた今まで少なかった病に脅かされることになります。
うつ病やパニック障害などの精神疾患も増えています。
歴史を振り返ってみると、病苦の形が変わっているだけで、病気の苦しみから離れられないことを知らされます。
医療技術の著しい進歩も、2600年前、お釈迦様が指摘された病苦を克服するにはいたっていないようです。
今後はどうでしょう。
医療技術は人工知能、バイオ工学などにより、さらに人類の想像を超えた進化を遂げるだろうと予測されますが、果たしてその進歩は「健康」という人類が求めてやまない幸福をもたらすのでしょうか。
それともハラリ氏の言うように「病気」に束縛される不幸を告げるものになるのでしょうか。
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みさき
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