「孤独死はしたくない」|孤独死の現実と孤独死の先にあるもの
こころ寄り添う研究家の九条えみです。
50代のバツ1男性が、再婚相手を探し「婚活」していると知人から聞きました。
理由は「老後が不安だから」
平均寿命まで生きれば、あと30年あります。
老後の不安について、今回は「孤独死」という面から考えてみます。
「孤独死はしたくない」その理由とは
NHKの「クローズアップ現代+」によると、孤独死を迎える人は年間3万人以上だそうです。
しかも、孤独死の7割が男性。
先の男性も、50歳を越えて婚活している一因に、孤独死を避けたい思いがありそうです。
さて、「孤独死」とは、誰にも看取られずひっそりと死を迎えることを言います。
死は、人生の最期です。
「終わり良ければ総て良し」の言葉通り、それまでの過程がどんなに辛く涙に暮れていても、ハッピーエンドの結末ならばそれまでの悲しみや苦労は報われるでしょう。
だからこそ、どんな風に死を迎えるかを心配するのです。
・誰にも悲しまれない
・誰にも気づかれぬまま、自分がこの世からいなくなってしまう
という孤独死では、たしかにハッピーエンドとは言いにくいかもしれません。
これらは孤独死を嫌う感情的な理由です。
現実的な理由として「遺体の後始末で周りに迷惑をかけるのは嫌だから」という意見もありました。
腐敗した遺体で傷んだ部屋を掃除する特殊清掃業者の方は、おびただしいハエが飛び回り、異臭がして、物が散乱する悲惨な現場を目にするたびに「こんな悲しい結末は誰にも迎えて欲しくない」と感じるそうです。
孤独死を迎えないために
孤独死を迎えないための取り組みが紹介されていました。
・施設に入居する
老人ホームや介護施設などに入居すれば、もしもの時にすぐに気づいてもらいやすく、救急車なども呼んでもらいやすくなります。
・独り身同士で支え合う「ゆるい家族」を築く
独身同士の女性を中心に「ゆるい家族」と銘打ったグループを作り、定期的に集まって近況報告し合うなど、支え合っているそうです。
誰かに看取ってもらえれば「死の孤独」は消える?
人生の最期を、夫や妻、子供などに見守られながら息を引き取れたら、心安らかな気持ちになれそうです。
しかし「たとえ孤独死でなかったとしても、死んでいくときは一人ぼっちなんだよ」と、室町時代に活躍した高僧・蓮如上人(れんにょしょうにん)は言っているのです。
まことに死せんときは、予(かね)てたのみおきつる妻子も財宝も、わが身には一つも相添うことあるべからず。
されば死出の山路のすえ、三途の大河をば、唯一人こそ行きなんずれ(次の世に旅立つ時は、妻も子供も、連れになってはくれません。
この世のもの何一つ、持ってはゆけないのです。
私たちは、死出の山路を、ただ一人で行かねばなりません)
いくら夫や妻、子供に囲まれて息を引き取ることができたとしても、死出の山路は一人ぼっちなのではないでしょうか。
なぜなら、魂は一人一人のもの。
魂の連れにはなってくれないからです。
孤独死を迎えないための準備も、人情や世間体を考慮すれば、もちろん大事なことです。
多くの人や大切な人に見送られながら終わりたい、と誰しも思うでしょう。
しかし見送られた後はたった一人で行かなければなりません。
考えてみたいもう一つの視点として「どんな死を迎えるか」に頭を悩ませるならば、「死んだあと、この私はどうなるのか?」を考えてみることも、大事なのではないでしょうか。
仏教は、この世80年、100年だけを問題にする教えではありません。
「死んで旅立つ先」も問題にしてこそ、生きる意味がハッキリすると仏教では教えられています。
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九条えみ
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