突如やってくる人生の最期と生きる目的|亡くなった祖父の最期の教訓

こんにちは。こころの悩みサポーターのこうへいです。

最近、知人のお父さんの訃報を聞きました。
翌月に一緒に旅行に行こうと計画をしていたのに、こんなことになるなんてと知人は残念そうに言っていました。
自分たちの都合や予定など関係なしに訪れるのが人生の終わりなのだと痛感させられました。

望みを果たせず亡くなっていった祖父

私はこの話を聞いて、私の祖父のことを思い起こしました。
祖父が亡くなったのは、私がまだ大学生の時のことでした。
亡くなる2年ほど前に心臓のバイパス手術をし、退院してからも家から出ることもままならない状態が続いていました。
歳も歳だし、祖父はもう寝たきりになってしまうのではと心配していました。
ところが、そこから徐々に回復していった祖父は、家の周りを散歩し、近場への外出もできるようになっていました。
東京で働いていた姉が結婚したこともあったのか、祖父は「家をきれいに直したい、そのためにもっとお金を貯めようと思う」と言っていたそうです。
ところが姉の結婚式から数か月後に祖父は突然亡くなりました。
祖母が畑に行っている間に脳梗塞で亡くなったのです。
もちろん、お金も貯まらず家も直っていないままでした。

祖父は若い時は医者を目指していたそうですが、戦争により医者になることは叶いませんでした。
戦後は農業に従事する傍ら、地域の活動に積極的に携わり、政府から表彰されたこともありました。
葬儀では表彰式の写真が飾られ、参列者は立派な人生だったと口々に言っていました。
私にとっても祖父は誇りです。
そんな祖父でも最後は望みを果たす前に、まだまだやるべきことをやり残したままこの世を去っていきました。
自分の思いや都合とは関係なく訪れる死という現実を突きつけられたように感じます。

命の終わりに向き合われたお釈迦さま

お釈迦さまは私たちが死んでゆくことを虎に襲われることに例えておられます。
その理由の一つが私たちの都合に関係なく襲ってくる虎の獰猛(どうもう)さにあると言われます。

家を新築したばかりとか子供が生まれたとかもうすぐ結婚するとか関係なく、人生の終わりは待ってはくれません。
浄土真宗の葬式で読まれる『白骨の章』は、結婚式当日に花嫁の家族を襲った悲劇をきっかけに書かれたものだと言われます。

涙なしでは読めない話ですが、別の記事で詳しく紹介していますので、こちらをご覧ください。
子供を亡くした悲しみを抱える人へ蓮如上人が書かれたお手紙

悔いのない人生を送りたいと誰もが考えていると思います。
そのために自分のやりたいことをやろうと考えている人も多いでしょう。
ところが、自分の計画や予定とは関係なく、人生の終わりが突如やってきます。
そんな現実を見つめると自分のやりたいことをすべてやりきることは不可能なのかもしれません。

自分の思いとは関係なく、突如やってくる己の死という問題に誰よりも悩まれ、真面目に向き合われた方がお釈迦さまでした。
お釈迦さまは、死の実体をさまざまに説かれています。

旅立つ先こそ大問題

そのお釈迦さまは、この世を終えて旅立つ先こそ大問題だと教えられています。

一般にも死ぬことをよく「旅立つ」と言われます。
この世の旅を終えて別の所へと旅立つということでしょう。

今年はさまざまな自然災害が発生し、多くの方が犠牲になりました。
地震で家族を亡くした男の子が、「みんなはどこに行ったのだろうか。みんなに会いたい」と泣いている姿が報道されていました。

一息切れて旅立つ先のことは誰もが気になることでしょう。
その旅立つ先がどうなっているのか、はっきりしているでしょうか。

行く先がはっきりしないほど、不安なことはありません。
ですから一息切れた行く先がはっきりしないままで、心からの安心はあり得ないのです。

このことをお釈迦さまは「後生の一大事」と説かれます。
そしてこの一大事を解決し、心から人間に生まれてよかったと言える喜びの身になることが生きる目的だと教えられます。

まとめ

祖父の最期に接して私はお釈迦さまの説かれた仏教の深さを知らされました。
厳しいながら、私たち家族のことを想ってくれていた祖父からの最期の教訓だったのだと感じます。

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こうへい

チューリップ企画で動画制作を担当しています。 大学生のときに同じことの繰り返しの毎日にどんな意味があるのかと悩みました。しかも友人に相談しても分かってくれる人がなかったことが大きな苦しみでした。 その時に読んだ仏典の言葉に励まされました。その後、講演会の運営の手伝いをする機会があり、さまざまな悩みを持って参加した多くの人たちの声を聞かせてもらいました。私も学びながら、皆さんの悩みに寄り添っていける情報を発信していけたらと思っています。
心が穏やかになった人へ
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