「ありがとう」と幸福感は比例|「ありがとう」を言わせない心を捨てよう
こんにちは。”伝わる”技術研究家のみさきです。
大学の後輩と、2年ぶりに食事をしてきました。
外資の会社に転職して3年目の彼女を、私は学生時代から知っていますが、自信と穏やかさが顔に表れていて、素敵な大人の女性の顔になっていました。
仕事やプライベートが充実しているんだろうな、と思いました。
感謝の心と幸福感は比例する
その彼女がしみじみと、職場でいちばん大事なのは人間関係だと思う、と言っていました。
今の上司から信頼もされて、いろいろ話も聞いてもらえて申し訳ないくらいだそうです。
きっと、その上司も素敵なのでしょうが、そう感謝できる彼女も素敵だと思いました。
「鶏が先か、卵が先か」ではありませんが、上司が信頼してくれるから、彼女も感謝し、仕事にもやる気が出ている、ともいえますし、彼女が感謝の心を持って、やる気を出して仕事に取り組むから、上司が彼女を信頼してくれる、ともいえるかと思います。
感謝の心はすごいパワーを持っているんだなと、改めて知らされた思いがしました。
そこで今回は自戒を込めて、感謝の心について書いてみます。
当たり前に思うと不平になり、「ありがとう」が言えない人になる
my fellow Americans:
ask not what your country can do for you?
ask what you can do for your country.我が同胞であるアメリカ国民諸君。
国が諸君のために何をしてくれるかを問うな。
諸君が国のために、 何をなしうるのかを問うて欲しい。
これは、1961年1月に43歳という若さで、大統領に就任したジョン・F・ ケネディの就任演説の一節です。
心に迫ってくる言葉ですね。
「○○してくれない」という不平が口癖になっている人を80年代に「くれない族」と呼ばれ、流行語となったそうですが、私達でもついつい「してくれて当たり前」と思ってしまいがちです。
「親は育ててくれて当たり前」
「学校に行かせてくれて当たり前」
「仕送り送ってくれて当たり前」
「友人は悩みを聞いてくれて当たり前」
「部下は言う事を聞いて当たり前」
「上司は理解してくれて当たり前」
「夫は優しくしてくれて当たり前」
「妻は尽くしてくれて当たり前」など…
本当はしてもらって当たり前のことは1つもないのに、ですね…。
私も実家住まいの時は、食事を作ってもらうことが多かったのですが、「これは美味しくない」と残すこともありました。
結婚をして仕事をしながら家事をするようになると、母親が毎日、買い出しに出て、バランスの良い食事を作ることが大変で、偉大なことかを思い知らされました。
してもらったことを当たり前と流さず、感謝していきたいものです。
「ありがとう」を言わないと、必ず自分にツケが回ってくる
黒人として初めて米国4軍を率いる統合参謀本部長に就任、元米国国務長官を務められたコリン・パウエル氏。
氏は組織が成功するのに、どんな職員にも必ず「ありがとう」と一声かけることは欠かせないと言われています。
私は国務長官をしていたとき、警備担当者の目を盗み、きれいに磨かれたオフィスをあとにして駐車場まで下りてみたことがある。
駐車場の運営は外注で、働いているのはだいたいが移民か少数民族。給与は最低賃金に近いレベルだ。駐車場は、職員の人数に対して小さすぎた。
だから、毎朝、ものすごい苦労をして車を詰め込むことになる。
キーを預かった係員たちが、隙間がほとんどないほどきっちり縦に並べて駐車するのだ。国務長官が駐車場をぶらついたことなどなかったからだろう、係員は私が道に迷ったと思い(そういう面もないではなかったのだが、私は迷ったと認めなかった)、「帰り道」を教えましょうかとたずねてきた。
「いや、いいよ。君たちとちょっと話ができたらと思っただけだから」
そう言うと、彼らはびっくりしながらも喜んでくれた。
私は、仕事はどうか、どこから来たのか、一酸化炭素は大丈夫かなど、いろいろとたずねた。
なにも問題はないとのことだった。しばらく雑談したあと、不思議に思っていたことを聞いてみた。
「毎朝、車が次々に到着するとき、最初に出られる位置にどの車を停めるのか、2番目、3番目にどの車を停めるのか、どうやって決めるんだい?」
係員は顔を見合わせて薄く笑い、そのひとりがこう教えてくれた。
「国務長官殿、ま、どういうふうかってぇとですね……
ここに着いたとき、車の窓をあけてにっこり笑いかけ、オレらの名前を呼んだり『おはよう。元気にやってるかい?』などと声をかけてくれる人は最初に出られるところっすね。前をじっと見てオレらが何かをしてあげていると気づきもしない人、オレらがいることにも気づいてくれないような人とかは、ま、最後に回されますね」『リーダーを目指す人の心得』(コリン・パウエル)
パウエル氏は、組織の一人一人を大切にする人だったのでしょうね。
上司の立場にたつと、いつしか自分が上、部下は下とつい思うようになり、部下を気遣わなくなり、それが数年も続くと、やがて誰もついてきてくれなくなってしまいます。
上の立場になったときにこそ、支えてくれる部下たちに感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。
次回はさらに掘り下げて、人間関係が驚くほど上手くいく「ありがとう」の効果について書きたいと思います。
まとめ
誰もが知っている「ありがとう」の5文字には、言われた人も、言った人をも幸福にするすごいパワーがあります。
ところが、「相手にしてもらっていることは当たり前」と頭にインストールされてしまっていると、なかなか「ありがとう」が出てきません。
当たり前のつけどころを間違えずに、相手にしてもらったこと・支えてもらっていることに感謝の心を伝えていきたいですね。
(参考)
職場の人間関係の改善に役立つ記事をまとめました。
→好感度は回復できる!|職場で「嫌われた」と思った時の対処法
みさき
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