余裕がなくてついついイライラ|これ以上、人間関係を損ねたくないなら
こんにちは。こころの悩みサポーターのこうへいです。
先日、友人からこんな話を聞きました。
職場でトラブルが発生し、時間的にも精神的にも余裕がない状態の時に、同僚からちょっとしたことを尋ねられたことがあった。
焦っていたこともあって、ぞんざいな態度と荒い言葉遣いでその同僚に接してしまった。
後で落ち着いて振り返ってみると、同僚に不快な思いをさせてしまったのではないかと悔やんでいる。
同じようなことがこれまでも何度かあったと思う、今後どう気を付けていったらいいだろうか。
ちょっとした言動で人間関係が良好になったり、険悪なものになったりします。
その友人はそれを自覚しているからこそ、自分の言動が相手を不快にさせたのでないかと不安に思い、こんなことがないようにしたいと思ったのでしょう。
目次
余裕がなくなると他人のことを考えられなくなる
その友人はいつもぞんざいな態度で人に接する人ではなく、穏やかな人だという印象です。
そんな友人がどうしてそんな言動を取ってしまったのか、仕事でトラブルがあって余裕がなく、焦っていたことに1つの原因がありました。
私たちは余裕のあるときは相手のことを気遣い、思いやることができます。
しかし自分に余裕がなくなると自分のことしか考えられなくなってしまいます。
別の友人からこんな話を聞いたことがあります。
僕には中学生の時に仲の良い、大切な友達がいた。
その友達と街を歩いている時に、ガラの悪い男たちにからまれてしまった。
身の危険を感じて、一目散に走ってその男たちから逃げた。その時に後ろを走っている友達のことを考えることもなく、自分だけは逃げ切りたいという心が出てきた。
ガラの悪い男たちもそんなに追いかけてこなかったので、僕も友達も被害には遭わなかったけれど、友達のことを見捨ててでも逃げたいという心が出てきたことにショックを受けた。
本当に危険を感じた時に私たちの本性が垣間見えるのかもしれません。
仏教では、人間の本性は我利我利(がりがり)だと教えられます。
我利我利(がりがり)とは、他人はどうでも構わない、自分が得をしたい、自分だけは守りたいという心です。
余裕のあるときは、他人のため、社会のためと言ってはいても、ギリギリの状態になったらどうでしょう。
その時に姿を現すのが本性です。
自分が助かるかどうか、追い込まれた状態でも、私は他人のために犠牲になれると言い切れる人はあるでしょうか。
自己を振り返ってみなさいと仏教を説かれたお釈迦さまは教えられています。
余裕がない状態を回避する
余裕がなくなると他人のことを思いやることができなくなってしまう私たちだということを踏まえて、どうしたら最初に紹介した友人のような失敗を少なくできるのかを考えてみたいと思います。
まずは余裕のない状況にならないようにすることが大切です。
“今日できることは今日しなさい”と言われますが、ギリギリになってからやるのではなく、ゆとりをもってできることから着実に実行していくことが大切です。
ゆとりをもってやっていたのに、トラブルが起きてしまい、余裕がない状態に追い込まれてしまうこともあります。
トラブルは必ず起きるという前提で危機管理をしていくことが大切だと言われます。
業務改善や危機管理については、もっと掘り下げて解説している記事がありますので、詳しくはそちらをご覧ください。
【業務改善】「目先の仕事で精一杯」が危うい理由と3つの改善法
余裕がないときは要注意と心得る
どうしても余裕のない状態になってしまう時はあります。
そんな時はどうしたらよいのでしょうか。
遠くを眺めるとか、心の落ち着く呼吸法や飲み物がいいと聞きますが、まず大切なのは余裕がない時はどうしても自分のことばかり考えがちになってしまうということを自覚することでしょう。
自分は今は余裕がない状態だから、言動に気を付けないといけないなと自覚するだけでも違ってくるものです。
試験勉強でも、間違えやすい問題を繰り返し解きます。
間違えやすい問題だと分かれば、同様の問題が出た時に間違えずに答えられる確率が上がります。
ここは要注意と自覚し、意識することで失敗を避けられる可能性はグッと上がります。
失敗してしまったら、フォローが大事
どうしても余裕がなくなると、冷静になれないものです。
ついつい他人を不快にする言動をとってしまうこともあるでしょう。
後で落ち着いてみると、不快な思いをさせてしまったのではと悩むこともあると思います。
相手が初対面の人などあまり接する機会のない人やお客さん、取引先の相手などの場合は、一度でもそういうことがあると大きな問題になるかもしれません。
しかし今回のように相手が同僚や友人、家族などの比較的近い人の場合は、一度で関係が大きく損なわれてしまうことは少ないように思います。
気を付けなければならないのは、お互いに気まずい状態のまま時間がすぎてゆき、心の隔たりが大きくなっていくことです。
次に会った時またはメールやLINEなどでフォローをするのがよいと思います。
「この前はきついことを言ってすみませんでした」「さっきは失礼なことしてしまったかもしれません。すみません」など一言、メールの1通があれば、印象はかなり変わるはずです。
また、相手が全く気にしていなかったということがたまにありますが、相手が気にしていないことが分かれば、不要な心配をしなくても済みます。
ぞんざいな態度に不快な思いをした人に知ってほしいこと
いろいろな人の声を聞くと、「相手のイライラした態度に腹が立った」、「荒い言葉遣いに傷ついた」、「自分は嫌われたのではないかと落ち込んだ」という声をよく聞きます。
イライラした態度をされて、腹が立つことや傷つくこともあると思います。
ところが、相手の人もどうしてあんな言動をしてしまったのかと後で悩んでいるかもしれません。
「あんなことを言われた」と傷ついている人がいる一方で「そんなつもりではなかったのに、あんなことを言わなければよかった」と後悔している人もいます。
相手がひどい人なのでもなければ、自分を嫌っているのでもない、相手の人はちょっと余裕がなかっただけかもしれません。
少しのすれ違いが大きな心の隔たりになってしまい、大切な人の縁を遠ざける結果になってしまってはもったいないと思います。
まとめ
私たちは余裕がなくなると、他人のことを考えることができなくなり、自分のことしか考えられなくなってしまいがちです。
仏教では人間の本性を我利我利(がりがり)と教えられ、限界ギリギリになると他人はどうなっても構わない、自分さえよければいいという心が出てくるのだと説かれます。
我利我利(がりがり)の自分の心を見つめて、思いやりのある言動に努めていきたいものです。
こうへい
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