大切な子供に何を残すべきか|未来を変えた米百俵の精神
こんにちは。こころの悩みサポーターのこうへいです。
前回、子供や孫に自分が受け継いだ財産や土地を遺すことが親としての自分の務めだと言われる方を通して、子供や孫にただお金や財産を遺すことよりも大切なことがあるではないかと話をしました。
そのことに関連して、学生時代に先輩から聞いて、感銘を受けた話を紹介したいと思います。
の未来を変えた米百俵の精神
この話は「米百俵」と言われる話で、明治初期の長岡藩(現在の新潟県長岡市周辺)を舞台にした実話です。
山本有三さんによる戯曲で有名になり、新潟の人で知らない人はいないと言われるそうです。
2001年に当時の小泉総理が所信表明演説で取り上げたことでも話題になりました。
江戸時代が終わり、明治新政府が樹立された頃、旧幕府軍と新政府軍が戦った戊辰戦争(ぼしんせんそう)が起こりました。
その戊辰戦争で敗れた長岡藩は焼野原になってしまい、長岡の人たちは今日食べる物にも困るような苦しい状況になりました。
そんな中、親戚関係にあった三根山藩(現在の新潟市西蒲区峰岡)から米百俵が届きます。
藩士たちはこれでしばらくは食いつないでいけると喜びますが、いつまで経っても米が分配されてきません。
それどころか、当時の長岡藩の大参事(だいさんじ・今の副知事にあたる立場)であった小林虎三郎は、届いた米を売って学校を作ろうとしているという話が聞こえてきました。
この話を知った藩士たちは、怒って小林虎三郎の元へ押しかけていきました。
そして届いた米を早く支給するように迫りました。
そんな藩士たちに虎三郎はこのように諭したと言われます。
「現在の生活に困る皆の気持ちはよく分かる。しかし届いた百俵の米を全員に分ければどれほどになるだろうか、あっという間に食いつくしてしまうだろう。それではまた困窮しなければならない。ではなぜ我々はこんなに生活に窮しているのか、それは日本人同士で戦争をしたからだ。どうしてそんな戦争になったのか、ひいては教育が不足していたからに他ならない。教育に尽力し人を育てれば、やがて百俵が一万、百万俵になるのだ」
この虎三郎の説得に、藩士たちは虎三郎の意見に従うことを決めました。
送られてきた米百俵を売却したお金で作られた学校は藩士の子弟だけでなく、庶民も学ぶことができたと言われます。
小林虎三郎の意思を継ぎ、教育に力を入れた長岡から多くの優れた人材が輩出されたそうです。
教育の中心は徳育(とくいく)
教育が大事だと考える人は多いと思いますが、その教育とはテストでいい点数を取り、いい高校・大学に進学することになっているかもしれません。
より多くの知識を身に付ける知育(ちいく)はとても大切です。
ですが、欠かしてはならないのが徳育(とくいく)だと言われます。
パナソニックの創業者の松下幸之助さんは
「日本の教育の、いちばんの欠点は、徳育が欠けているところだ」と憂いておられたそうです。
お釈迦さまはその人の値は年齢で決まるのではなく、その人の身につけている徳によって決まるとも教えられています。
そして、お金も物も人も徳のある人に集まるのだと説かれます。
夏の夜には、街灯に多くの虫が集まってくるように、徳のある光る人にみんな集まってくるのです。
では、徳のある人になるにはどうすればよいのでしょうか。
礼儀、身なり、言葉遣い、身の回りの整理整頓など日常生活を正し、日々善いことに心がけることが大切です。
時間がかかる面倒なことだと思われるかもしれませんが、一度、身につけば大きな財産になります。
先ほどの米百俵の話を振り返ってみますと、この話は教育の大切さを訴えた話ではありますが、目先の生活をとりあえず何とかする道を選ぶのか、未来への種まきに力を入れるのかという話でもあると思います。
子供に伝えるにはまず自分から
ある著名な教育者に、生まれたばかりの我が子の教育について尋ねに行ったお母さんがありました。
その教育者が「奥さん、残念ですが、来るのが遅かったです」と言うと、お母さんは「まだ生まれたばかりですが」と問い直します。
するとその教育者は
「その子を立派に育てようと思うならば、あなたのあ母さんから、はじめなければならない」
と答えたという話を聞いたことがあります。
子供や孫が徳を身につけた光る存在になってもらいたいと願うならば、まずは私たち自身が徳を身につけることが大切だと知らされます。
まとめ
子供や孫に、恵まれた幸せな人生を送ることを願うならば、まずは私自身が徳を身につけることが大切です。
そして、徳という素晴らしい財産を伝え残したいものです。
徳を身につけるのに大切なのが礼儀の心得です。
礼儀の心得とはどんなことでしょうか。こちらの記事で紹介しています。
礼儀の心得|礼儀はなぜ大切?礼儀の基本とは?
こうへい
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