児孫(じそん)の為に美田を買わず|子供に本当に遺すべきものとは
こんにちは。こころの悩みサポーターのこうへいです。
先日、お会いしたある男性の方から、
「親から受け継いだ分以上に、子供に財産を遺してやるのが、親としての務めだと思っている」という話をお聞きしました。
子供思いですごく真面目で責任感のある方だと思いました。
「子供により多くの財産を遺してやりたい」
こう考えている方は多いと思います。
また、子供に家を買ってやる、土地を買ってやる、自分の会社の重役にしてやる、自分の地盤を継がせてやるなど、子供に財産や地位を与えてやりたいと考える人も多いと思います。
財産を築く苦労を知る人になってもらいたい
このように子供に財産を与え、継がせたいと考えるのは親として普通の感情ですし、悪いこととは言えないでしょう。
ところが、明治維新の立役者として知られる西郷隆盛はこのような言葉を残しています。
児孫(じそん)の為に美田(びでん)を買わず
(子孫のために財産を残すと、それに頼って努力をしないので、財産を残さない)
お金を稼ぐことは大変なことです。
そんな中で子供に遺せるだけの財産を築き、地位を手に入れるには、相当な苦労があったと思います。
その苦労を知っている人はお金や地位を大切にするでしょう。
しかし苦労をせずに手に入れたものは、粗末にしてしまいがちです。
パチンコ屋や競馬で儲けたお金をあぶく銭と言われ、“あぶく銭は身に付かない”と言われるのも、この心理を言った言葉のようです。
最初に紹介した男性は、おそらくお金を得ることの苦労を知っておられるからこそ、苦労して財産を遺してくれたご両親に感謝をしておられるのだと思います。
その気持ちが「自分の代で財産をなくしてはならない、自分も努力して子供の代に遺していかねばならない」と思われたのだと感じました。
子供には財産を遺すことも大切ですが、何かを手に入れる苦労や努力の尊さ、自分に何かを与えて下さる方への感謝の気持ちこそ伝えていかねばならないことだと思います。
財産を遺すより財を得る元を伝えたい
仏教で私たちの造る罪を10にまとめて十悪と言われます。
その中に偸盗(ちゅうとう)という罪が教えられます。
偸盗とは他人のものを盗むことですが、分不相応なものを所有することも偸盗の罪だと戒められています。
何かを手に入れるにはそれ相当の努力や苦労が必要です。
それなのに、そんな努力もしないのに多くのお金を自由に使い、高級な物を手に入れ、他人をあごで使うような人はどうなるでしょうか。
自分自身には何の力も人徳もないのに、自分は何か特別な人間だと思うようになり、他人を見下すようになるでしょう。
そしてやがてはみんなから見捨てられてしまいます。
韓国の財閥の娘で父親が会長を務める会社の重役になっていた姉妹のパワハラや傍若無人な振る舞いが話題になったことがありました。
親から与えられた権力の恐ろしさが知らされる事件ではないかと思います。
まとめ
子孫にはお金や地位などの財産よりも、何かを得るために必要な努力や苦労の大切さ、そして財の元と言われる人徳こそ伝え遺していかねばならないのではないでしょうか。
人徳を身に着ける上で大切なことが、他人から信用される人になることです。
信用を何よりも大事にしていたのが、売薬さんです。こちらの記事もご覧ください。
信用を得るために大切な意識とは|富山の薬売りに学ぶ信用三本柱
こうへい
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