怒りは心疾患の元!心理学による怒りの正しいコントロール法とは?

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こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。

あなたは毎日腹立つことばかりで嫌になっていないでしょうか。
そしてその怒りをコントロールできなくて困ってはいないでしょうか。

怒りっぽい人もあまり怒らない人も、「今日は1回も怒らなかったなー」なんて日は少ないでしょう。

  • 上司の判断ミスをこちらの報告ミスのせいにされた
  • 部下があり得ないミスをして、その修正に半日取られた
  • プリンターの調子が悪くて明日必要な資料が作れなかった
  • マナーの悪い車が強引に割り込んできてぶつかりそうになった
  • 同僚を注意したら自分のことを棚に上げて文句を言われた

他人に対しての怒りや自分に対しての怒りなど、毎日色々なことで怒っているのはみんな同じです。

そこで「気晴らしをする」「心をしずめる」「人に話す」などの対処をして怒りを忘れようとすることがあるかもしれません。

しかし「気晴らしをする」はタイミング次第では実は逆効果です。(参考:Brosschot,J.F(1998)
「人に話す」は実はあまり意味がありません。(参考:Rime,B(1998)

怒りの感情はきちんとコントロールしないと病気につながります。
怒りを表に出す人も、表に出さずに抑える人も冠状動脈疾患(かんじょうどうみゃくしっかん:心臓に血液を送る血管の病気。狭心症や動脈硬化などが含まれる)や高血圧などの循環器系疾患になりやすいことが研究で明らかになっています。
(参考:鈴木(1994),Mendes de Leon(1992),Dembroski(1985),
Kassinove,H(1997)

怒ったときに手を上げたり、口に出すなどの目に見える行動をする場合だけでなく、ぐっと我慢して抑えても結局病気の元になってしまうのは残念です。

また、我慢してばかりで適切に怒りを表に出さないと、対人関係が希薄になったり、心身症を引き起こしたり、他人を信用できなくなったりするため、怒りは身体的にも精神的にも悪い影響を及ぼします。(参考:RR Holt(1970)

毎日何度も怒るのに、うまくコントロールしないと病気になってしまい、しかもそれが難しい。
こんな困った「怒り」の感情をどうコントロールしたらいいのでしょうか。
怒りのコントロールについて研究したこちらの筑波大学の論文を紹介します。
怒り経験の鎮静化プロセスと怒りコントロール

論文内では過去の心理学論文をまとめ、怒りを感じた後の時間別に適切な対処法を紹介しています。

怒り経験直後

怒りを感じる出来事があったすぐ後には攻撃的になっています。
怒らせた相手に対して手を上げたり、「うるせぇ!」と暴言を吐いたりしやすい時です。
こんなときはまず怒りの感情から注意をそらすために「気分転換」や「心をしずめる」などの対処をします。

怒りの感情は怒り始めてから3~5秒が最も大きく、その後理性が働いて落ち着いてきます。
ですから6秒の間は他ごとを考えたり、後ろに風景に目をやったり、目をぐるっと一周させたりして耐えます。

その後は「心をしずめる」ために胸に手を当てて深呼吸を繰り返したり、自分を客観的に「あ~、今自分は相当怒ってるな~」と見たり、他人から自分がどう見えているかを考えることで怒りの感情から注意をそらすことができます。

怒り経験から2~3日後

嫌なことがあってから2~3日経ち、だいぶ怒りの感情が緩やかになった時です。
この時期はまだ、思い出すとまた怒りがこみ上げてきます。
ですので怒った経験を思い出して、悪い方向に考え始めると、相手に対して手を上げたり暴言を吐いたりしてしまいます。

そのためこの時期は怒り経験を客観的に見ることが対処になります。
具体的には「合理化(自分なりの理由をつけて納得すること)」「冷静な話し合い」「原因究明」「相談」などです。

この時期の怒りコントロールに失敗すると、別の機会にまた怒りが再燃しやすくなるのできちんとした対処が必要です。

怒り経験から1週間後

この時期まで来ると怒らせた相手に対して直接的に何かをすることはほとんどありませんが、完全に怒りがなくなったとは限りません。

この時期にすべきことは「許し」です。
「許し」とは傷ついた人が、傷つけた人に対して復讐をしようと思ったり、心の奥でくすぶっている怒りから解放されることです。

具体的な対処法は「人に話す」ことです。
相手を許すことができていれば、怒り経験を忘れることが有効な対処になります。

瞋恚(しんに)

仏教では怒りの心を瞋恚(しんに)と言い、悪い心だとされています。
そして「悪い心は悪い結果を生み出すから、怒らないようにしなさい」と教えられています。

しかし、そこで「はい、わかりました」と出来ないのが人間です。
そこでお釈迦さまは
「怒りの蛇を、口から出すのは下等の人間。
歯を食いしばって口に出さないのが中等。
胸に蛇は狂っていても、顔に表さないのは上等の人である」

と言われました。

怒りを口に出しそうになったら「あ、自分は下等な人間だな」と客観視する。
口に出さないけど顔に出していたら「あ、自分は中等な人間だな」と客観視する。
これによって怒りを口に出しそうになれば出さないように心がけ、顔に出しそうになったら顔に出さないように心がけることができます。

まとめ

怒りは循環器系疾患の元になりますのできちんとコントロールしないと不健康につながります

怒りのコントロールは時間別に分けて3段階で対処します。

  1. 怒り経験直後は怒りの感情から注意をそらすために「気分転換」や「心をしずめる」などをします。
    お釈迦さまの教えに従えば「あ、自分は下等な人間だな」「中等な人間だな」と客観視します。
  2. 次に怒り経験2~3日後には怒り経験を客観的に見るために「合理化(自分なりの理由をつけて納得すること)」「冷静な話し合い」「原因究明」「相談」などをします。
  3. 怒り経験から1週間後には相手を許すために「人に話す」と良いでしょう。

今回の論文は基本的には大きな怒りに対しての対処法でしたが、取り上げた論文内では小さな怒りに関しても今回紹介した方法、「感情をそらし」「客観視して」「相手を許す」というプロセスは役に立つそうです。

私も腹が立ったときにはこの流れで怒りをなくせるようにしたいと思います。

怒りへの対処法についてはこちらの記事も参考になるかと思います。
イライラはぶつけるのもダメ!抑えるのもダメ!じゃあ正解は?

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こんぎつね

チューリップ企画デジタルコンテンツ事業部にてサポートとインターネット業務にも携わっているこんぎつねです。(こんぎつねの記事一覧へ)チューリップ企画に来る前は愛知県で主に60代以上向けのイベントを運営していました。人について学ぶのが好きで、大学では生物学を専攻しました。よく読む本のジャンルは心理学、脳科学など人の心や体の行動に関するものが多いです。ブログもそれらの本を参考に、この悩みは 仏教ではこう解決するという内容を専門語を使わずになるべくわかりやすい言葉で発信することに心がけています。もっともっと多くの方の悩み疑問にお答えしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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