ご存知ですか?職場ストレスを和らげるフェイスブックの効果的な活用法
こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
あなたは職場のことでストレスを抱えて悩んではいないでしょうか。
その職場ストレスを和らげるためにはフェイスブックに自分の仕事内容、職場環境などを(言える範囲で)投稿することをおすすめします。
2013年の厚生労働省の調査では「仕事、職業生活に関する強い不安、悩み」を抱える方は60.9%にのぼり、心の不調による1ヶ月以上の欠勤・休職者のいる企業は63.5%となっています。
あなただけではなく、60%以上の労働者が仕事や職場のストレスを抱えており、同じく60%以上の企業で心の不調による欠勤者がいるというストレス社会の今日、心の健康、いわゆるメンタルヘルスの問題は深刻になっています。
そのためストレスを和らげるための研究は盛んに行われているのですが、ストレスについて「ストレスは自分を強くするものだ」と考えている人ほど、ストレスによる悪影響が少なく、楽観的で、仕事の成果も良く、人生への満足感が高いことがわかっています。(詳しくはストレスは体に良い!?|ストレスは悪影響という考えが悪影響の元の記事をご覧ください)
では、どうしたら「ストレスは自分を強くする」と思えるようになるのでしょうか。
ここでストレスについて、フェイスブックでの対人関係がストレス反応を和らげる効果があることを突きとめた研究がありますので紹介します。
「SNS疲れ」の原因として最近ストレスの元になると言われているフェイスブックですが、この研究では逆にストレスを和らげる働きがあることが報告されています。
(参考:労働者におけるストレスマインドセットと精神的健康 : SNSを介した弱い紐帯との接触がもたらす影響)
論文はこちらの筑波大学のサイトからダウンロードできます。
職場ストレス軽減のカギは「弱い紐帯(ちゅうたい)」
スタンフォード大学教授の社会学者マーク・グラノヴェッターは「弱い紐帯の強み(The strength of weak ties)」という概念を提唱しました。
「弱い紐帯」とは、自分と離れた環境で過ごす、稀にしか会うことのない関係を指します。
そして新しい有益な情報はいつも一緒にいるような人(強い紐帯)からではなく、あまり会わないような人(弱い紐帯)からもたらされると言っています。
これはいつも一緒にいる人とはだいたい似たような情報を共有しているのに対し、あまり会わない人とは自分や周りの人と違う情報を持っているからだと考えられています。
弱い紐帯(ちゅうたい)と結びつきやすくするための道具にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)があります。
SNSとはインターネット上で他人とやり取りができるサービスで、代表的なものがフェイスブックです。
フェイスブックは昔友達として登録した人がずっとあなたの「友達」として残っていたり、基本的に実名で登録するという性質から、学生時代の友達や昔の知人を探し出して連絡を取ることができるため、普段あまり会わない人=弱い紐帯(ちゅうたい)と結びつくにはもってこいのサービスです。
職場ストレスは周囲のサポートによって軽減されることが先行研究によりわかっていますが、職場ストレスの軽減にフェイスブックは使えないのでしょうか。
今回紹介する論文では、フェイスブック上の弱い紐帯により職場ストレスは軽減されるかを調査しました。
職場ストレスとフェイスブックとの関係
「弱い紐帯の強み理論」を元に、フェイスブックの利用状況、職場ストレスの原因、「ストレスは自分を強くする」と思うかどうか、現在の精神的健康などについて340名からアンケートを取り、それらの関係を分析しました。
その結果、
- 仕事要求の高負荷
- 仕事の意味不明瞭
- 周囲からの評価不満足
などの職場ストレスは精神的健康状態を悪化させ、特に
- 仕事の意味不明瞭
- 周囲からの評価不満足
は、「ストレスは自分を強くする」という心の向きまでも抑えてしまうことがわかりました。
意味があるのかわからない仕事に取り組まなければならなかったり、がんばっているのに周りからちっとも評価されない職場って確かにストレス溜まりそうですよね。
一方で今回の主題であるフェイスブックと職場ストレスとの関係ですが、
- フェイスブックの投稿頻度の高さは「ストレスは自分を強くする」という心の向きを強くし、精神的健康状態を良くする
- フェイスブックの閲覧頻度の高さは「ストレスは自分を強くする」という心の向きを抑えてしまう
ことがわかりました。
このことから、日々の出来事や仕事内容などをフェイスブックに投稿することで、日常の自分とは別の生活をしている人たちからの肯定評価やコメント、アドバイスを得ることができるため、自分の仕事を肯定的に捉え直したり、これからの仕事に対しての希望が生まれ、「ストレスは自分を強くする」という心の向きが作られていくと考えられます。
さらに、自分の投稿に対して反応があることで自尊感情が満たされ、人生への満足度も増します。
このため、フェイスブックに投稿することは職場ストレスを和らげる効果があるのです。
ですが1つ注意点があります。
フェイスブックの投稿頻度は心に良い影響を与えますが、閲覧頻度は心に悪い影響を与えてしまいます。
これはフェイスブックで他人の生活を見て、自分の生活と比べることで落ち込んでしまうからだと考えられています。
フェイスブックを頻繁に閲覧するのは控え、投稿するときとその結果を見るときくらいにしておく方が良いでしょう。
言辞施(ごんじせ)
この結果を受けて、あなたが「そうか、じゃあ職場で起こったことをフェイスブックに発言してみようかな」と思ってコメントしても、誰からも反応がないかもしれません。
そんなときにはまず自分から誰かの発言に反応すれば、そのお返しとしてコメントをしてくれる可能性が高まります。
自分が優しいコメントをしてほしければ、まず自分から優しいコメントをしましょう。
お釈迦さまは
「良いことも悪いことも、自分の行為は自分に返ってくる」
と言われており、「良いこと」の1つに言辞施(ごんじせ)を教えられています。
言辞施とは優しい言葉をかけることです。
優しい言葉をかければ、優しい言葉が返ってきます。
優しいコメントをすれば、優しいコメントが返ってきます。
お互いが励まし合い、協力し合う関係がフェイスブック上で作ることができれば、職場ストレスも大幅に和らぐことでしょう。
まとめ
私たちにとって有益な情報は普段あまり会わない人からもたらされることが多いです。
普段あまり会わない人と結びつくにはフェイスブックが有効です。
そこで職場ストレスとフェイスブックとの関係について調査した結果、フェイスブックに投稿する回数が多い人ほど、職場ストレスを感じていないことがわかりました。
一方でフェイスブックを閲覧する回数の多い人ほど、ストレスを感じることもわかりました。
そのためフェイスブックは投稿することを主として使うことをおすすめします。
ですが、投稿に対して何もコメントが付かないことも考えられます。
そんなときにはまずあなたから誰かの投稿に対してコメントするのがいいでしょう。
そうすればそのお返しにあなたの投稿にコメントがつきやすくなります。
また、他人に優しい言葉をかけることはただコメントが返ってくるだけでなく、自分に幸福をもたらします。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「まだストレスでイライラしてるの?|ストレス+思いやり=幸せ(前)」
フェイスブックを使って職場ストレスを和らげ、日々の仕事を乗り越えていきましょう。
こんぎつね
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