取り返しのつかない失敗と後悔が「どう生きるか」を形成する
『君たちはどう生きるか』
2017年に80年の時を超えて新装版の出版とマンガ化された『君たちはどう生きるか』という小説があります。
スタジオジブリの宮崎駿監督が引退撤回をし、新作のそのタイトルが『君たちはどう生きるか』と発表されたのも呼び水となってか、大変話題となりました。
日々、この「どう生きるか」を悩む私にとっても、このタイトルは惹きつけられるものでしたので、読んでみました。
今回は『君たちはどう生きるか』の心に残った一コマから苦しみ悩みに直面した時、どう生きるかについて書いてみたいと思います。
取り返しのつかない失敗をした時に直面する自分(『君たちはどう生きるか』ネタバレ注意)
本の主人公は中学2年生のコペル君。
成績はクラスで常に一番か二番、野球では二番打者の選手、人一倍遊ぶことも大好きで、分け隔(へだ)てなくいろいろな友達と接することから、クラスで人気者の少年です。
そんなコペル君がある日、親友を裏切る卑怯(ひきょう)な言動をとってしまうのです。
彼は「取り返しのつかないことをしてしまった」と後悔し、学校に行けなくなり寝込んでしまうほど後悔の波が押し寄せ、悩むのでした。
コペル君は最初は止むを得ない出来事だったと、許してもらう言い訳を考えます。
しかしたとえそれで親友に許してもらえたとしても、心の中には嫌な記憶が残り続けます。
14歳のコペル君は初めて自分の行動や考えをしみじみと思いかえし、しっかり見つめたのです。
苦しむコペル君はお母さんの言葉に勇気づけられ、親友に謝ることを決意しました。
次の言葉は私が心に残ったお母さんの台詞です。
その事だけを考えれば、そりゃあ取り返しがつかないけれど、
その後悔のおかげで、人間として肝心なことを、心にしみ通るようにして知れば、
その経験は無駄じゃあないんです。
それから後の生活が、そのおかげで、前よりもずっとしっかりした、深みのあるものになるんです。
だからどんな時にも自分に絶望してはいけないんですよ『君たちはどう生きるか』より
このお母さんの言葉は、コペル君だけでなく、私の心にも刺さりましたし、勇気づけられもしました。
取り返しのつかない失敗が「どう生きるか」を形成する
取り返しのつかない失敗をして、人を裏切ってしまったり迷惑をかけた時に、真摯(しんし)に事実を伝えて謝罪をするのは、なかなか勇気がいります。
怒られるのではないか、冷たい目で見下げられるのではないかという恐怖から自己防衛したい心が出てきます。
何とかごまかそうとしてその場を乗り切りたい心が出てくるもので、それは子供だからということでなく、大人でもなかなかできることではありません。
私も過去を振り返ってみて胸の痛みを感じることがあります。
それを単なる後悔で終わらせてはいけないなと、読んでいて身につまされました。
同じような失敗がこれからの人生にだってあるかもしれません。
過去の苦しい思い出は、その時と違った行動を取るために、ずっと忘れてはならない胸の痛みでなければならないと知らされました。
後悔した過去に向き合う勇気を与えてくれる本でした。
まとめ
「どう生きる」が自分の問題となるのは、苦しみ悩む時です。
眠れないほどのつらい経験は望ましいものではないですが、自分の現在の立脚点や弱点を知り、それからの言動を考える好機とも言えます。
取り返しのつかない失敗を後悔だけに終わらせずに、深みのある人生にしていきたいですね。
失敗した時の後悔を活かすには「反省」ができるかどうかが大事なポイントです。
→後悔と反省の違い|後悔を反省に活かすために必要な心がけとは?
みさき
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