和顔愛語でみんな幸せ!(前)|笑顔のチカラを科学します
こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
あなたは和顔愛語という言葉を見たり聞いたりしたことがあるでしょうか。
和顔愛語は「わげんあいご」と読みます。
額や色紙や掛け軸などで見かけたことがあるかもしれません。
和顔愛語は元は「大無量寿経」というお経に出てくる言葉です。
和顔とは和やかな顔をいうことで笑顔のことです。
愛語は優しい言葉のことです。
『人を動かす』という本で有名なアメリカの実業家のデール・カーネギーは、「笑顔は1ドルの元手もいらないが、100万ドルの価値を生み出す」と言っています。
笑顔の人を見るとこちらも明るくなりますよね。
先日Facebookを見ていたら、笑顔にまつわるこちらの映像が流れていました。
グリコCM 妻夫木 聡「smile.Glico 笑顔トリビア」篇
この映像は早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員の菅原徹博士の監修により作られており、菅原博士は笑顔学という”笑顔のチカラを最新の科学的な知見を通して学習し、実践する”学問を研究されている方です。
菅原博士は笑顔について
「笑顔は見てよし」
「笑顔はつくってよし」
「笑顔は伝染する」
と言われています。
どうしてそう言われているのでしょうか。
気になったので根拠を調べてみました。
笑顔は見てよし
まず「笑顔は見てよし」についてです。
笑顔を見るとミラーニューロンという脳細胞が活発になります。
ミラーニューロンは相手の行動を見聞きすると活動する脳細胞で、相手の行動をさも自分がしているかのように感じ、これにより共感をもたらすとされています。
タンスの角に小指をぶつけてうずくまっている人を見て「うわぁ、痛そう…」と感じるのはミラーニューロンによる、と考えるとわかりやすいかもしれません。
このミラーニューロンにより、笑顔の人を見ると自分も幸せを感じているかのように思い、幸せな気持ちになれます。
ですからもしもあなたが今苦しいことがあったり悩んだりしていたら、笑顔の人に近づけばミラーニューロンにより自分が幸せになったかのように感じて、あなたの苦しみが和らぎます。
逆にあなたの身近な人が苦しんでいたら笑顔で接することで相手の苦しみを和らげることができます
笑顔はつくってよし
次が「笑顔はつくってよし」です。
これは表情フィードバック仮説によります。
表情フィードバック仮説とは、表情により感情が作られるという仮説です。
つまり楽しいから笑顔になるのではなく、笑顔を作るから楽しくなるということです。
楽しいから笑顔になるのは当たり前ですが、楽しくなくてもまず笑顔を作ることで楽しい幸せな気分になれるのでしょうか。
心理学者のストラック、マルティン、ステップラーらは人工的にしかめっ面と笑顔を作るために実験参加者を2グループに分け、片方には唇でペンをくわえさせ、もう片方には歯でペンをくわえさせながらマンガを見せて、そのマンガがどれくらい面白いかを評価させました。
その結果笑顔を作った参加者のほうがマンガをより面白いと評価しました。
(参考論文:Inhibiting and facilitating conditions of the human smile: a non-intrusive test of the facial feedback hypothesis)
この研究により、しかめっ面でいるよりも笑顔でいた方が世の中のことが楽しく感じられるということがわかりました。
笑顔は伝染する
最後に「笑顔は伝染する」です。
これはミームによります。
ミームとは動物行動学者のリチャード・ドーキンスが作った言葉で、人から人へ伝えられ、広まっていく、習慣や技能、物語のような情報のことです。
聞き慣れない言葉ですので、ここでは「情報」という言葉で置き換えます。
ここでは笑顔という「情報」についてマインド・ウイルスの考え方を使います。
ウイルスというと悪いイメージがありますが、ウイルスの特徴の「侵入」「複製」「指令の発信」「拡散」の概念が「情報」の概念と似ているのです。
他者の笑顔を見たとき、笑顔という「情報」が私たちの心に入り込みます。(侵入)
すると笑顔を見た人もまた笑顔になります。(複製・指令の発信)
そしてその人の笑顔を見た人もまた笑顔になります。(拡散)
こうして笑顔という「情報」が伝染していきます。
実践する
以上が笑顔の効果ですが、実際に自分がやらないと効果がありません。
笑顔は表情筋が作るものです。
いつも笑顔の人を見て「なんであの人はあんなに笑顔でいられるんだろう」と思うことがあるかと思いますが、それは意識しているか無意識かは別として表情筋の筋トレをしているからです。
表情筋も筋肉ですから筋トレをしないと笑顔を作れません。
重いバーベルを持ち上げるときには筋トレをしないといけませんよね。
あなたがあまり笑顔を作っていない場合、満面の笑みを1分も続けると顔がプルプルしてくると思います。
重いものをずっと持っていると腕がプルプルするのと同じです。
ではどうすれば表情筋の筋トレができるのでしょうか。
表情筋の筋トレについて、ウンパニ体操という具体的な表情筋の鍛え方を菅原徹博士が開発しています。
こちらで詳しいやり方が解説されていますので参考にしてください。
和顔愛語
これまで笑顔について解説してきましたが、和顔愛語を教えられた仏教では「雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)」というお経の中に、お金や物を持っていない人でもできる善の1つとして「和顔悦色施(わげんえっしょくせ)」という善が教えられています。
「和顔悦色施」とは優しい温かいまなざしで周囲の人を明るくすることです。
「和顔愛語に励みましょう。優しい笑顔を施せば、その善は回り巡ってあなたが幸せになれますよ」
とお釈迦さまは教えられています。
ぜひ今日から和顔愛語に励んで幸せになっていただきたいと思います。
まとめ
笑顔には
- 笑顔は見てよし
- 笑顔はつくってよし
- 笑顔は伝染する
と菅原博士が言うように自分にも周りにも幸せをもたらします。
なかなか笑顔が作れない人も表情筋を鍛えて、笑顔ができるようにしましょう。
今回は和顔愛語の中の「和顔」の話でした。
もう1つの「愛語」の話はこちらへ
こんぎつね
最新記事 by こんぎつね (全て見る)
- 「あの人大嫌い!」そんな人は永遠に敵なの?|敵を味方にする方法 - 2021年1月4日
- 左遷されても諦めないで|左遷先で歴史に名を残した司馬光に学ぶ(後) - 2018年11月8日
- 左遷されても諦めないで|左遷先で歴史に名を残した司馬光に学ぶ(前) - 2018年11月1日