礼儀の心得|礼儀はなぜ大切?礼儀の基本とは?
こんにちは、こころ寄り添う研究家の九条えみです。
私の会社では朝礼と終礼で「礼儀を正しくする」ことを唱和の1つに挙げています。
家庭や学校、職場などで礼儀作法はことあるごとに教えられますが、礼儀の必要性や礼儀の基本について知る機会はないように思います。
今回は「礼儀」をテーマにして、礼儀が身につく思考法をご紹介します。
礼儀が大切な理由とは
そもそも「礼儀」とはどんな意味でしょうか?
辞書を引くとこう書いてありました。
人間関係や社会生活の秩序を維持するために人が守るべき行動様式。特に、敬意を表す作法。
江戸時代の儒学者・貝原益軒は礼儀作法の大切さをこう記しています。
人の礼法あるは水の堤防あるが如し。
水に堤防あれば氾濫の害なく、人に礼法あれば悪事生ぜず。
(貝原益軒)
社会生活は、他人同士の関わり合いの中で成り立っています。
お互いが礼儀を守らずに、好き勝手していては対立ばかりの世の中になってしまいます。
川や海の堤防が氾濫を防いでくれるように、礼儀が相手との摩擦の堤防になっているのですね。
礼儀が欠如してしまえば、喧嘩が頻発し、盗みや殺人といった悪事に繋がると書いています。
礼儀を欠いてお互いが好き勝手な行動をしていては、衝突が起こって共同生活が成り立ちませんから、組織の中でのルールを決めて皆が守るように努力するのです。
また礼儀を軽んじる言動は、相手よりも自分を優先するからではないでしょうか。自分は大切にされていないと感じさせる言動は相手を不愉快にさせるでしょう。
礼儀の基本とは?
何事も基本を知らないと応用が利きません。
それでは、礼儀心得の基本とは何でしょうか。
言葉遣いの研修に参加した時に、こう教えてもらいました。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
礼儀心得の基本は、相手や周囲の人たちに不愉快な気持ちを持たせないように常に自己の言動を考えることである。
こう言ったら相手はどう感ずるだろうか。
このようにしたら相手は不快にならないだろうか。
今黙っていると相手はどう思うだろうか。
常に相手のことを第一に考え自己の言動を反省することである。
礼儀の基本は、碁や将棋の定石(じょうせき)のようなものだから、是非一応は心得ておかねばならないが、相手は千変万化するから、いつでも基本どおりにやれば相手を不愉快にしないというものではない。
相手に応じてその都度、変化対応せねばならぬのが礼儀である。
そのためには、常に相手の気持ちを正確に察知しようと心掛けることが礼儀の大切な心得である。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
礼儀の基本は「相手の立場に立つ」ことです。
無人島で一人暮らしをするならば自分が生き延びることだけ考えれば良いですが、私たちの生活には“相手”がいるので、相手の立場に立つ姿勢が礼儀に表れるのです。
礼儀の3段階
ビジネスマナーセミナーに参加したときに礼儀には3段階あると習いました。
1.相手が不快に思わない
2.相手が大切にされていると思う
3.相手が嬉しいと思う
1→2→3の順で難易度が上がりますが、まずは相手を不快に思わせないことが礼儀の入り口です。
ことわざにも「己の欲せざる所は人に施す勿れ」とあり、家庭や学校でも「自分がされて嫌なことは人にもしちゃいけないんだよ」と教えられました。
まずは不快さを与える言動に慎み、その上で相手を思いやった言動を取っていくのですね。
礼儀習慣の身につけ方
具体的にどのように礼儀習慣を身につけていけばいいのでしょうか。
次の六つの心得を守れば、礼儀正しさの習慣を身につけることができる。
1.相手の話には熱心に耳を傾ける。
2.相手の話に口をはさまない。
3.初対面の人の名前はすぐ覚えて、できるだけ使う。
4.もし相手の言い分が間違っていても、そっけなくやりこめるのはよくない。
5.自分のほうが偉いといった態度を見せない。
6.自分の考えが間違っていれば、素直にあやまる。
(デール・カーネギー)
6つの心得も基本は「相手の立場に立つ」からスタートしています。
相手の立場に立って何をするかと言えば、まずは相手を不愉快にしないことです。
相手を不愉快にしないという第一段階をクリアできれれば、次に相手が大切にされていると思えるか、そして最後に相手が嬉しいと思う礼儀へとレベルアップしていきます。
どの段階も「相手を幸せにしよう」という気持ちがないとなかなかできません。
「自利利他」の精神は礼儀に通じる
礼儀の基本は、相手の立場に立つことですから、相手の幸せを思う気持ちが大切になってきます。
相手目線に立ち、相手を幸せにすることを仏教の言葉で「利他(りた)」といいます。
「いやいや、ギブ&テイクでしょ。相手のことばかり考えていたら、こちらが損をしたり不都合な状況に追い込まれるだけだよ」と思う人もあるかもしれません。
しかし「相手を幸せにして、自分が損をすることはないのだよ」と仏教では教えられています。
利他は「自利」とセットになっているのです。
相手を幸せにするままが、めぐりめぐって自分にも幸せがやってくる。
これを「自利利他(じりりた)」といいます。
「相手ばかりが得をして、自分は気疲れ損だ」などと思う心配は要らないのですね。
自分を大事にしてくれる人は、向こうも大事に思って何かと気にかけてくれますし、たとえ大事にした相手が同じように返してくれなくても、徳が備わり、人や物が自然と集まってくるようになるのです。
まとめ
・礼儀を大切にする理由は、社会生活は他人同士の関わり合いの中で成り立っているので、不要な衝突を避け、社会生活を円滑にするために必要だからです。
・その礼儀の基本は「相手の立場に立つ」ことです。
・相手の立場に立つには、相手を幸せにしようという利他の精神が大切になります。利他の精神は、まわりまわって自分の幸せとなって返ってくることを「自利利他」といいます。
最後に、チャップリンの言葉をご紹介します。
私たちがみんなで、小さい礼儀作法に気をつけたなら、この人生はもっと暮らしやすくなる
余裕が無くなると自己中心的な考え方・言動になりがちな私たちですが、相手を生かすままが己も生かす自利利他(じりりた)の精神に基づいて自己を磨いていきたいものですね。
相手を幸せにすることで、なぜ自分に幸せがやってくるのか?
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九条えみ
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