山本五十六の言葉から気付いた|やる気がない人を動かす方法
こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
あなたの周りにはなかなか動いてくれない人、やる気のない人はいないでしょうか。
「これやってくれない?」
と言っても
「それは彼のほうが適任です」
「今忙しいんです」
「やったことがないのでできません」
と返ってくる。
「バカ!俺がやれと言ったらやれ!」
と怒鳴りつければ動くかもしれませんが、相手のやる気を引き出すことにはなりません。
そのような人にやる気を出して動いてもらうにはどうすればいいのでしょう。
やり方を伝える
カーッと腹を立てても相手がやる気になってくれないのならばあなたが疲れるだけです。
「すべての結果には原因がある」
とはお釈迦様の教えですが、どうして彼は動かないのか、原因を考えてみましょう。
彼は毎日残業続きで、ものすごく忙しいのかもしれませんし、それ以外にのっぴきならない事情があるかもしれません。
本当にどうしようもない状況ならば仕事を頼むことは難しいですが、「やり方がわからないので時間配分がわからない。だから引き受けることができない」ということならば解決できます。
あなたがやり方を伝えればいいのです。
あなたも今まで提出したことのない役所の書類を作成して、平日の真っ昼間に会社を休んで提出しに行かなければならなくなったとき、面倒だと思って後回しにしたことはないでしょうか。
今までにやったことがあるのならば手間や所要時間がわかるのでいいのですが、初めてのことには手が付けにくいものです。
それと同じで、彼もやり方がわからないから動いてくれないだけなのかもしれません。
山本五十六の言葉
率先垂範の勧め
山本五十六とは太平洋戦争時に連合艦隊司令長官を務めた人物です。
アメリカに10年以上駐在・留学した経験から圧倒的な国力の差を見ており、戦争が始まる前は連合国との戦争に反対していました。
しかし、いざ開戦となると職務を全うするため司令長官として作戦を立て、真珠湾攻撃で大成功をおさめ、ソロモン群島で連戦し、その最中で戦死しました。
その山本五十六の言葉にこのようなものがあります。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」
「まず率先垂範で自分が手本を示し、『こうやるんだよ』と説明して、実際にやらせてみせ、『上手くできたな』と褒めてやることで、やっと人は動く」ということです。
口だけで「あれをしろ」「これをしろ」と命令する上司はあなたも嫌だと思います。
ただ「やれ」と言われても「それをしなければならないことはわかりましたけど、どうやるのか教えてくださいよ」という気分になりますし、既に確立したやり方があるのなら教えてもらったほうが早く終わります。
しかも山本五十六は、ただ手本を示すだけではダメで、上手く出来たら褒めてやらないと自分で動き出すようにはならないと言っています。
上杉鷹山
この山本の言葉は上杉鷹山の「してみせて 言ってきかせて させてみる」にヒントを得た言葉だと推測されていますが、上杉鷹山は財政破綻寸前の米沢藩を立て直したということで名君と慕われています。
その上杉鷹山は徹底した節約を自他ともに徹底し、殿様の身分でありながら一汁一菜の食事で通し、自ら畑仕事をして家臣、藩民たちに身をもって倹約と勤労を勧めた率先垂範の人でした。
ハーロックの実験
上杉鷹山の言葉に「ほめてやらねば」を加えたのが山本ですが、「褒める」ことは相手にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
人のやる気を出させるには叱るのがいいのか、褒めるのがいいのか、ご褒美を与えるのがいいのかを調べた、1925年にエリザベス・ハーロックが行った実験(論文名:An Evaluation of Certain Incentives Used in School Work.)では、
- 叱った場合は相手はやる気を起こさない
- ご褒美を与えた場合は一見がんばるが、ご褒美を出さなくなった途端にやらなくなる
- 褒めた場合は褒め方の程度にもよるが、自主的にがんばるようになる
ことがわかったそうです。
山本は「褒める」ことが人を動かすのに大事なことをよく知っていたのでしょう。
「褒める」ことを勧めたお釈迦様
仏教を説かれたお釈迦様は人を褒めることを勧められています。
仏教では人に親切をする善を「布施(ふせ)」と言いますが、その中に「言辞施(ごんじせ)」という言葉の布施(ふせ)を教えられています。
「言辞施(ごんじせ)」とは「優しい言葉をかけること」を言います。
「優しい言葉」ですから褒め言葉以外にも感謝の言葉や励ましの言葉も入ります。
褒められたら誰でも嬉しくなります。
人を褒めるときには
「この前の書類、○○な所が良かったよ」
「君の作ってくれた資料は読みやすいね」
「前もって報告してくれてありがとう。おかげでスムーズに準備ができたよ」
と具体的に褒めるとより心が伝わりやすくなります。
褒められれば「よーし、次もがんばろう」という気持ちになります。
部下がやる気になればあなたも仕事がしやすくなります。
「俺の言うことを聞け!さっさとやれ!」と部下のやる気を削ぐのも、
「よくやってくれたね、ありがとう」とやる気を出させるのもあなたの言葉次第なのです。
まとめ
人を動かすには口であれこれ言うのではなく、率先垂範して自らが動かなければなりません。
まず自分が手本を示して見せて、その通りやらせ、上手くできれば褒めることで相手はやる気を起こします。ここまでしてようやく人を動かすことができるのです。
なお、山本五十六の言葉は後にこう続きます。
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
承認する、任せる、感謝する、信頼する、と人材育成と信用獲得のために大事なことを残している山本五十六は、だからこそ連合艦隊司令長官を務めることができたのでしょう。
こんぎつね
最新記事 by こんぎつね (全て見る)
- 「あの人大嫌い!」そんな人は永遠に敵なの?|敵を味方にする方法 - 2021年1月4日
- 左遷されても諦めないで|左遷先で歴史に名を残した司馬光に学ぶ(後) - 2018年11月8日
- 左遷されても諦めないで|左遷先で歴史に名を残した司馬光に学ぶ(前) - 2018年11月1日